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5 願いのあとさき

学校の外に出ると、女子高生の子がベンチに座っていた。

友達の姿も隣にある。


影が消滅したことで、意識の霧が晴れたらしい。


「美千流さん……!

ありがとうございます……!」


少女は泣きそうな顔で頭を下げた。


友達の子は、最初はぼんやりしていたが、やがて目がはっきりした。


「……わたし、なんでこんなに不安だったんだろう」


少女が袖をつかんで泣き出した。


「よかった……!本当によかった……!」


私は二人の肩に手を置いた。


「もう大丈夫。

“願い”は叶わなくても、その気持ちが本物だったことは消えないから」


朧が、後ろから静かに言葉を足した。


「願いというものは、叶うことより“叶わないままでも前に進めるか”のほうが何倍も大事だ」


少女たちはその言葉をゆっくり飲み込むように頷いた。


帰り道、私と朧は並んで歩いていた。


夜風が冷たい。

遠野の街灯が点々と光っている。


「朧さん」


「なんだ?」


「……さっきは助けてくれてありがとうございました」


「仕事だ」


「本心は?」


朧は一瞬立ち止まった。


月明かりが彼の横顔を照らす。


「……危なかったんだ」


そう言った声は、意外なくらい小さかった。


「お前があそこで願っていた、俺でも助けられたかどうか分からなかった」


「そんなに……?」


「“願いを餌にするもの”は、喰う対象が“自分の弱さを認めた瞬間”を最も好む」


朧は真っすぐ前を見て歩き出す。


「お前は、弱かった」


「えっ、ちょっと傷つきますよ、それ」


「弱かったが――」


朧ちらりと私を見る。


「折れなかった」


その言葉が、階段の影が言った“綺麗だよ”と重なって胸に響いた。


「……朧さんって、意外と褒め上手ですね」


「褒めてはいない」


「はいはい」


自然と笑いがこぼれる。


こんな夜なのに、なぜだか心は少し軽かった。

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