5 薬膳ランチと、動き出す物語
ついに!600PVを超えました!
はじめましての方も、いつもみてくださる方も本当にありがとうございます。
今は、PV数の伸びを楽しみに書き進めております。
どうぞ今後ともよろしくお願い致します!
午後のランチを終えた頃、私は甘味の仕込みに手を伸ばす。
白玉粉と薬草蜜。
夜用に、《月しずく団子》を仕込んでおく。
――遠野は“境”の土地だ。
人と妖、夢と現の境目が、ときどき重なる。
今日みたいな日は、たしかに“境”が薄い。
「美千流」
朧が名を呼ぶ。
「満月までに準備をしておけ。
学校へ行くだけの話ではない」
「分かってます」
鍋を新井、ふきんをかけて並べ、いつもの店の光景を整える。
でも、胸の奥が少しだけざわざわしていた。
(願いの階段……
たぶん、あれは“ただの怪談”じゃない)
人間の願いは、妖より甘い。
その甘さを吸って育つ妖は、とても厄介だ。
妖は恐れを糧にする。
願いは、その中でも最も濃く、危険な餌だ。
放っておけない。
その気持ちが、私の中で静かに膨らんでいく。
(満月の夜。
きっと、最初の戦いになる)
私はそっと拳を握った。
『千の実』の一日は今日も騒がしく、賑やかで、そしてどこか不穏だ。
でもそれでいい。
ここは、人と妖が、
“食べて、話して、立ち直る”ための場所なのだから。
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