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8.『ぎゃあああああbyアオケシ』


 扉を壊した先には、大広間が広がり2階に続く階段、1階、2階の左右には、扉があり地下室に向かう扉などがいくつも並び、辺りは薄暗く湿っぽかった。


「……埃っぽいな」

「やあーメハジキ、さっきぶり。さっきはゴメンね。必要があったとはいえゴメンよ~。いや~私の演技、迫真だったでしょう」


返り血の付いた緑色の仮面を被ったアオケシの表情は見えないがどこか楽しそうな声でメハジキに声をかける。


「あれはいつものお前だろう。演技なんてどこにある?」

「えへへへ~。私ね、実は、ゲームは結構好きでね~。クソゲーとか言ったけど実は結構うきうきしているんだ」

「……俺はゲームを一切やらないから知らんが、こんな、埃っぽいのが楽しいのか」


湿気や埃で息苦しい洋館ゲームを普段しないメハジキから見ればただの事件。

楽しい要素なんてどこも見つけられなかった。。


「楽しいよ! だって、洋館にゾンビ、攻略は、きっと楽しいよ。あ、クロちゃん、コレ、新しい私とメハジキの記録として残して、問題があれば記録しなくていいよ」

「そんなものか……て、おま! クロノワールになにを記録した!」

「うーんなるほど! これは、問題ないな」

「おま! クロノワール! お前何を記録した!」


メハジキは、アオケシがクロノワールに一枚のメモを飲ませると、メハジキとアオケシの間に新しい記録……契約が行われた。

メハジキは、慌ててクロノワールに記録の内容を確認しようとするが、クロノワールの反応は思ったものと違った。


「わり―けどこりゃ、メハジキには、まだ開示できねえ。ただお前には、何の振りもないから安心しな」

「安心できねえ! マジでアオケシお前何をクロノワールに記録した! 内容次第じゃ」

「内緒。それより、さっさと攻略行こう! まずは……食堂の方から奥の暖炉のある部屋に」

「待て、なんでお前は、来たことがあるような感じで歩きだせる? 来たことあるのか」

「えー、ゲームのお決まりゾンビとの初遭遇シーンを……」

「そう言うのは良いからとっと攻略だ。あのゴミみたいに趣味の悪いグリモワールを回収しに行くぞ」

「えー。分かったけど。ドーン! 最短ルート!」


アオケシは残念そうに、別の部屋につながる鍵のかかった扉をけ破る。

息を吸う様に理解のできない行動をとるアオケシに理解に苦しむメハジキは、おとなしく後ろを付いて行くことにした。


「おー、第一ゾンビ、発見!」

「……駆除!」


通路でうごめくゾンビを見て、アオケシがはしゃいで指を指すがそんなのを無視して、メハジキは目の前のゾンビを一気に処理する。



「……」



「どうしたアオケシ、お前の好きそうな光景なのにつまんなそうだな」

「いや、あの、ゾンビ物の洋館に来て初遭遇のゾンビ、なんでこうテンションも上がらずいつもみたいに処理しちゃうかな? 人生楽しい?」

「いや、楽しいも何も仕事だ。それも命のかかっているんだ。そうやって楽しむなんて……」


いつもと立場が逆転して少し戸惑うメハジキにアオケシは教師のように話し出す。


「いいですか? まず、ゾンビとの初遭遇は、恐怖で一度逃げ、体勢を立て直す。そこからは武器を拾いさっきまで苦戦していたゾンビを快感に任せて殺すもので、その間には……」

「ゲームの話だろ。大人になれ」

「のんのん、なら私が、このクソゲーの楽しみ方を教えましょう!」


アオケシはそう言うと、鉈を構え、じりじりと窓ガラスから、月明かりが指す通路をじりじりと歩くと窓ガラスがバリンと割れる。

『ウワン! ウワン!』


犬型ゾンビが、ガラス窓を割り数匹がアオケシたちを襲うのだがアオケシは、ワザとらしい声を上げる。


「きゃー! 何この生き物ぉー!」

「おいアオケ……あー、結局いつものなのかよ」


ぶんぶんと鉈を振り上げゾンビ犬の脳天を割り、その死体を鈍器の代わりにして群がって来たゾンビ犬を薙ぎ払い一匹ずつ丁寧に細切れミンチに変えていく。

なれた光景にもうメハジキは何も言うまいと思ったが、そこから数分、ゾンビ犬を殺しつくしたアオケシは、顔を青くしてメハジキに近寄って来た。


「どうしようゾンビにかまれた……私はもう……ゾンビになっちゃう」

「……なる訳ないだろう。ゾンビは魔導生物、繁殖しないしウィルス感染でも増えない」

「もう私はダメ……せめて私がゾンビになって人を殺してしまう前に……私を殺して……」

「殺しても死なねえだろう」

「ちぇ……」


アオケシの茶番を聞いてメハジキは、呆れて先を進む。

ノリの悪いメハジキにアオケシは少しつまらなそうに後ろを付いて行くのだがその足取りはどこか退屈そうだった。


「あ、ここ何かありそう!」

「アオケシ、テメエちょっと待て!」


アオケシは、古くて見逃しそうな扉を見つけ、その扉に入っていくと、メハジキは、慌ててアオケシを追おうとしたのだが、扉が開かない。


「おいアオケシ! 開けろ! 扉を今すぐ開けろ!」

『やーメハジキ。この扉に入ったらいきなり鍵が締まって出られなくなっちゃた』

「それなら扉を……」

『やめて……壊しちゃダメ』


アオケシの真剣そうな声にメハジキは、一瞬つばを飲み込む。この先にいったい何があるんだ。そう思った瞬間、アオケシの入った部屋の隅から、何かモーターのようなものが回る音が聞こえた。


『おお……目の前から鉄の甲冑が掘削ドリルを振って私に寄ってくる……うーん、駄目だ、機械で壊しようもなさそう』

「おい今、開け……」


メハジキは扉を揺らし無理やり開けようとするが、鍵は開かずにモーター音が近づいてくる。


「おい! アオケ……」

『ぎゃあああああ!』


しかしモーター音は、何かを砕くような音と同時にアオケシの叫び声が聞こえた。

メハジキは、即座に停止のページを使い強引に開けるとそこには砕け散った鉈と、壊れたドリルのついた大きな斧を背負う甲冑が壊れていた。


「おいアオケシ……生きてるなら言えよ」

「うぅぅぅ……鉈が……鉈が壊れちゃった」


アオケシが愛用していた鉈は、木っ端みじんになりアオケシは、結構本気で落ち込んでいた。


「……まあ、生きててよかった」

「……おお、メハジキがデレた」

「違うわ! 大体、武器ならその甲冑についている奴持って行けよ」


アオケシは、トラップを愛用の鉈で防ぎ難を逃れたようであったがメハジキがハルバードを指さすとアオケシは嬉しそうに笑った。


「やった! 新しい武器ゲット! 鉈子ちゃんもまた拾えばいいし、今は、この斧子で我慢しますか」


アオケシは斧を持ち嬉しそうに笑ったのだが、メハジキは呆れるしかなかった。


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