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2.『虐殺×魔女=識欲』

「おい、アイツやっぱり魔女だ。異世界から来た魔女だぜ! くぅ、体が元に戻っているってことは、また犯し放題じゃねえか」

「あほが……まずは、駆除だ。魔女は、意味わからん力を使うから、きぃ付けろ」


 百人ほどの武装した憲兵。

科学の発達した落果で、銃を使わず、剣や槍を使う憲兵。

古いが、彼らは、死を体で感じ、それを愛する。ただただ落果に染まっただけの人間。

アオケシの表情は、つまらないものを見たような呆れた表情。


「ヤッホー。憲兵の皆さん! 私の新衣装! 可愛いでしょう」


白を基調とした服は、スカートをひらひらとして、ピッチりした上着に鉈を持ったアオケシ。表情とセリフが全くかみ合わず、憲兵は一瞬たじろいだ。


「おい、アイツ、イカれてやがる」

「憲兵相手に鉈一本とか正気かよ!」

「ええい! やっった後は、やり放題だぞテメエら!」


憲兵の指揮官は、そう言うとアオケシに向かって襲い掛かるが、ここでようやくアオケシの表情とセリフ、行動が一致する。

それは、満面の笑みとおもちゃにはしゃぐ子どもそのものであった。


「私の本たち(子供たち)を殺した恨み。奴ら……全員死んでもいいよね。彼らは、全員殺人犯、犯罪者は死刑だから……やっちゃおうかぁ!」


アオケシは、信じられない速度で走り出し、鉈を指揮官の首に振り下ろす。


「これは私の本の分!」

「ぐぎゃ……」


指揮官の首が飛んだ瞬間、アオケシの頭に殺した指揮官の記憶が流れ込む。

腐った憲兵で真面目に生き、家族が帰りを待っているようだ。


「……駄作だねぇ! 家族がいるのに私を抱いたのかい! ハイつぎぃ! これは私の本の分パート2!」


真っ二つに身体を裂かれた憲兵の記憶。

薬、薬。妹のために薬が必要。


「つまんない! だったら私に金を払って、抱く必要なくない! この下手糞! もっと刺激的なものをチョウダイよ!」


アオケシは自分が不死の魔女としての存在を理解しだした。

殺した相手の記憶が記録される。

それは本来、不死身の体で自らが後悔するためのデメリットになるはずだった。

だがアオケシには、それ自体が自らの『識欲』を満たすおもちゃになっていた。


「3~30! 駄作ぅ! きゃあ!」

「調子に乗んなよ! こんなメス一匹に俺たちは!」


しかし多勢に無勢、アオケシの服は全方向から引っ張られ破けていき、バランスを崩したアオケシは、憲兵の一人に袈裟斬りされ、終わったと思った憲兵は汗をぬぐうのだが、その安寧は一瞬にして終わった。


「ばあ!」


体が二つに分かれそうなアオケシの手に握られた鉈が憲兵を引き裂く。

アオケシをめぐる記憶。腕利きの兵士であったがケガで女、酒、ドラッグに溺れる。


「いい作品も中に入るのねぇ……」

「ば、化け物ぉ!」


アオケシは、何度も裂かれは、黄泉がえり、憲兵を執拗に追い惨殺していく。

それはもう戦いではなく、一方的な虐殺であった。


「95! まだ私は殺し(読み)足りない!」


暴れるうちにアオケシの服は、完全に破け、全身には鮮血がこびり付きまるで赤い服を着ているようであった。

そして最後の一人、明らかに無理やり連れてこられた憲兵は、全身から訳の分からない退役を流し続け、アオケシからあとずさる。


「よ、寄るな! 化け物!」

「化け物なんてひどーい。私は、実験好きの美少女・だ・ぞ。という訳でじっけんたーいむ!」


憲兵に馬乗りになったアオケシは、自分の手首を鉈で切り落とし、その鮮血を最後の憲兵に飲ませ続ける。憲兵はその血の鉄臭さから吐き気を催すが、吐くことは許されなかった。


「私の血は、他人に飲ませれば不死なのでしょうかあぁ? 正解は……」


そして降ろされる鉈。

憲兵の記憶は、娼館に恋人を売られ、客として入店。そして、その欲望は、いじめのように色々な女性に吐き出されていく。

つまり憲兵は、簡単に死んだのだ。


「うーん。私の血は、回復薬にならないと……というかこれこそ一番つまらない作品ね。じゃあ、さてと」


死体の山。

アオケシはその上を、まるでひまわり畑をかけるように走り出す。

臓物で縄跳びをしてみたり憲兵の目を入れ替えたりなど、必要のない死体蹴りは一時間にもわたり続き、アオケシは、鉈を死体の上に投げ、その上に座った。

ああ、足りない。

もっと知識が欲しい。物語が欲しい。それなら虐殺……そう思った瞬間アオケシは立ち上がり鉈を拾い立ち上がった瞬間、アオケシの頭にクロノワールの声、一文が流れる。


『無意味な殺戮は禁止だぜ! お前はその鉈と服を受け取り使っただろう』


欲のままに人は殺せない。

なら仕方がない。ちゃんと理由のある殺戮をしよう。中央監査官として許される限りの読書……殺戮を。

だがそう思いどこか物足りない感じにアオケシはつぶやいた。


「ああ、喉、乾いたな」


 死体から一つ緑色の鼻のない仮面をアオケシは手に取る。


「はぁ……、とは言えあんまり顔は見られたくないよね……あ、何この人、良いもの持ってるじゃーん。あはははーいいかもー! 可愛いかもー!」


アオケシは、仮面をかぶりはしゃぎだす。血と臓物の海で。

その光景を見ていたクロノワールは、メハジキに呆れたようにい聞いた。


「なあ、どんな気分?」

「最悪だ。気持ちわりぃ。あんなシリアルキラーが俺の部下かよ。それよりクロノワール。俺が死んだらあいつに抱かれるらしいな。おめでとう」

「血まみれの女には興味がねえ。俺のページに余分なものが付いちまう」


制約の結界が解けたメハジキは、アオケシが、死体遊びで遊び飽き、眠るのを待ち、自宅へと連れて行ったのであった。

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