25『似た者同士』
「アクタ! アクタ! 生きていたのね! アクタ!」
「アオちゃんも……良かった。良かったぁ……」
二人は、数年ぶりのないと思っていた再会に涙で目を濡らし抱き合っていた。
マリーゴールドも聞きたいことは一杯あったが、主従契約が行使され、今は何も言えない状態になっており完全に二人だけの空間が出来上がっていた。
「アクタ……腕、直ったんだ」
「うん……もうフライパンとかは握れないけど……こうやってアオちゃんに会えただけで幸せ……アオちゃんは、魔女になってもアオちゃんなんだ。大変だった?」
「うん……色々あったけど、アクタのくれた命、大事にしたよ」
それから二人は、長く語らおうとしたが、トリカブトが、二人の間に入ってくる。
「あー、懐かしいところ悪いが、アクタさん……、仕事でここに来たのはお忘れずに」
「トリカブトさん! も、もちろんですよ……あ、あはは……アオちゃんに説明しても良いですか?」
「良いですよ。不死と収集は、明日から忙しいので、連絡用の電話も準備させますが、アクタさんもお忙しいでしょうに……ほれ、不死、受け取れ」
トリカブトは、アオケシに一台の古い端末を投げ渡すとアオケシもその端末を手にして、目を輝かせた。
「わあ、これって、携帯電話だ! すごい! 魔法を介さない古ツール!」
「まあ、普及している魔導電話や魔導式タブレッドとは違う良さがあるからな。アクタさんとはこれで電話を取れ……よーし、俺の仕事は終了。後はなに話してもいいですよ、アクタさん」
トリカブトは、用件を済ませると、アクタはチラチラとアオケシを覗いてきた。
「……あ、あはは、そのアオちゃん、私」
「おお、古の携帯電話! きゃあ! すごいボタンがある! しかも……」
「あ、アオちゃん…………」
「それでこれは……おお! 緊急ボタンで……って! あ! アクタ! 返してよ!」
アクタは、にんまりとアオケシの携帯電話を奪い、走り出す。
「あはは! 不死身になってもアオちゃんは、アオちゃんのままですね! 興味のあるモノがあれば、寝食も忘れるし、久しぶりに再会した親友すら放置! やっぱり、アオちゃん大好きです!」
「あーくーた!」
アオケシは、アクタを人間離れした速度で追うがアクタも、猿のように飛び回りアオケシから逃げる。
「あーん」
「まって、アクタ!」
アクタは、天井に力で張り付くと携帯電話を口の中にほおりこみ、ごくんと飲みこむ。
「なはは! 私の話を聞かなければ、この携帯は、私の胃袋で消化されます」
「くぅぅ……アクタはそうやっていつも。はーいお手上げ、話は、聞くから携帯返して」
「話を聞いてくれたら返しまーす」
「アクタの意地悪!」
アオケシは涙目になり頬を膨らませるのだが、それを見てメハジキは、少しドン引きしていた。
「おい、中央から勇者パーティーの僧侶が来るって聞いたがあれが本当に僧侶か? あの狂人と対等に同じ次元で話すなんて……愚者の間違えじゃ」
「なはは、メハジキはおもろいな! アクタはんは、確かに賢者やけど、それ以上に……うーんかなりヤバいで」
アオケシが手玉に取られている光景など見たことのないメハジキをよそに、アクタは、両手を上げたアオケシに天井から飛び込んだ。
「アオちゃん……やっと私を見た……私の大好きなアオちゃん」
「アナタは昔から……本当めちゃくちゃよね。今は何をやっているの?」
アオケシがアクタの今を聞くと、アクタは、抱き着いたままアオケシの顔を見て答える。
「私は勇者パーティー『僧侶』アクタ……その、この世界で言う転生者らしいの」
「……」
『殺し……ませんよねこの雰囲気、はあ……ちょっと空気になりますね』
一瞬口封じを解除したマリーゴールドが、アオケシに聞くが、その優しい表情から、殺意が無いと知った服形態のマリーゴールドは、スンッと反応がなくなる。
「私、知らなかった。隠していたの? アクタ」
「いやいや、本当に知らなかったのよ。子ども狩りで中央の奴隷賞に売られた時に判明してね。そこからは、教会で、転生者の僧侶として育ち、健吾さんのパーティーとして魔王の書を討伐、今は、落果にも勇者を支えた中央神教会を広めるために来た、シスター兼『落果領事館の副領主』って所かしら」
「へえ……ということは、魔王の書について結構知っているのね教えて!」
アクタは、自分の強調したかった所とは見当違いの事を聞き呆然とする。
その顔を見てアオケシは首をかしげるがアクタは、その顔を見て、ついつい笑ってしまった。
「あはは! やっぱりアオちゃんは、面白いな! 私の興味は尽きないよ!」
「それはそうよ! 親友のこともそうだけど、私は魔王の書が欲しいし、欲しい知識は死ぬほどいっぱいあるもん!」
「分かった! アオちゃん一杯話ししようか! どうせこの後は、私も健吾さんのサポートに入らないといけないし」
「あ、やっぱり忙しいの?」
「アオちゃんもでしょう! これから、中央監査機構の入隊訓練でしょう」
「そっか!」
二人は笑いあい、再開後、今までの自分を語り合い、時間は過ぎていった。
アオケシにとってそれは、一瞬の様な幸せな時間であった。
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「おえ……うぷ……ふう、どうにか、携帯電話は昇華されませんでしたね」
「良かった! もう、壊れたら大変だから、あんまやらないでねアクタ」
「はいはーい」
アクタは嘔吐物と一緒に携帯を器用に吐き出すと愛おしそうにアオケシは吐しゃ物まみれの形態を愛おしそうに持ちポケットにしっまった。
「あ、あれええんか? メハジキ、アオケシはん、吐しゃ物まみれの携帯を」
「あきらめろ、アオケシにしては真面だった。腹を裂いてでも奪い取ろうとしなかったし」
「判断基準物騒やなかい」
「せやな」
とある一幕。
ドラセナとメハジキの三分漫才を聞いているものはクロノワールだけであった。




