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23.『=青芥子』

「……ああ! ウザイ! もうやっちゃう! マリー!」

『ああ! もう! 勘弁してくださいよおぉぉぉ!』


 ロボットの軍団に囲まれ、何度も圧殺されては、蘇るアオケシ。収集が追い付かない量で生成され襲ってくるロボットにミンチにされは復活を続け、ようやくできた隙間に腕を出すと、マリーゴールドは、変身を解除して人皮の張り付いた魔導書の姿になると、その腕を持って空に逃げるとマリーゴールドの上に立つ裸のアオケシが、全身に銃を持って地上に向けて乱射する。


「やっぱり戦争は空中戦よねえぇぇぇ! あーははははは!」

「ああ! ご主人様もっとエイムを合わせてください!」


ロボット兵を一方的に殲滅し始めるアオケシであるが、阿久津は、それを遠くから観察する。


「おい! 魔女! どうせ裸になるなら、相棒のグリモワールにしろよ! 俺の魂が言っているんだ! そのグリモワールは、美ロリ少女であると! 俺は、豊島には興味がねえんだよ! まじで頼むよ!」


阿久津は自分の性癖を話すとアオケシは、一瞬何を言っているのかできずにフリーズするのだが、普段なら笑い出してしまう顔がこの時だけは、恐ろしく歪み怒っていた。


「もしかしてアナタ、ロリコンなの?」

「そうだよ! 俺はロリッコとハーレムを築いて……ぎゃああ!」

「それで、信者全員の体に爆弾を埋め込んだの? ハーレム要員のあの子や子供の信者にも爆弾を植え込んだの?」


アオケシは、マリーゴールドを足場に阿久津に見えない速度で飛び出し、阿久津の正面に移動し両肩を握って怒っていた。


「植えこんだよ! こうやってなあああ! いってえええ!」


阿久津は、アオケシの体内に爆薬を生成して爆破する。

火花が飛び阿久津はやけどを負いアオケシは体が吹き飛び距離を取られてしまう。


「ご主人様!」

「お、おお! 俺の理想のロリ美少女!」


阿久津は、マリーゴールドが人間の姿になりアオケシの首を抱える姿を見ていやらしい目で見るが、マリーゴールドに抱えられたアオケシの顔はゆがんでいた。


「許せないわよね……」


「は、なにが? 別に僕に従っていれば爆弾は起爆させないよ。僕のためにすべてをささげるのなら全然殺さないし」

「許せないわよ。子供は、知識を生み出す宝庫。その子供を殺すなんて許せないわよね。そしてあまつさえ選択肢をなくして成長を制限するなんて余計許せないわよね」

「は、お前だって、人を殺すだろ何が違う? それにあの親父だって金で人を支配していただろう」


アオケシは子供の成長が制限されることに怒るが、それを理解できない阿久津は、理解できないのか阿久津は、アオケシを言い負かそうとする。


「あぁ、お前は、相手の意思を捻じ曲げて強制的に将来を制限。カネノムシーンは、金を求めて自分の意思で将来を制限する。選択肢が違うのよおぉぉ!」

『ご、ご主様が驚くほど怒っている……』


マリーゴールドは、アオケシの叫びと共にアオケシの服の姿に戻るとアオケシの手には、鉈と斧が握られていた。


「未来ある子どもを脅かすお前はしねええぇぇぇぇ!」

「ひぃい! 生成! 矛盾を跳ね飛ばす盾!」


無限の性質を付与された斧と鉈を弾け飛ばす阿久津は、距離を取る。

盾を展開しており不死殺しの種子をまくこともできないが、アオケシに慌てて聞く。


「な、なんで、お前はそんなに子供の将来を制限して怒るんだよ!」

「子どもって言うのはね! 小さいころ学んだことが基盤になるの! 知識のために

努力すればその子はなんだって開発できるのよ! 無限の可能性がある! それを潰すな! 私みたいに選択肢のない人生を送らせるなあぁぁぁぁ!」

「俺は、この世界でチートを使って世界を支配してロリッコハーレムを作るんだあぁぁぁ」


アオケシの鉈は、何度も阿久津の盾を打ち付け火花がアオケシの過去を写していく。


***********************************************************************************


 雨、ごみだめに一人の黒髪の少女は、うずくまっていた。


「お腹すいた」


落果のスラム街には、親に捨てられた子供が住み着く場所があった。今はもうない子捨ての墓場。そこの子どもは、生きるためく立った食べ物を奪い合い争いあう。

そんな中、少女は、落ちていたボロボロの本を数日間何も食べず繰り返し読んでいた。


「アオ、何か食べなよ」

「いい、アクタがたべなよ」


そんな、地獄にいる変人アオ……のちのアオケシは金色の髪が薄汚れた灰まみれの少女アクタに少ない食べ物を分けてもらい生きていた。


「ありがと」


アオは、ここに来るまでの記憶は一切なく、名前すらもなかった。

だからか、自分は何者なのかということに固執し、本を読み字を覚え、本を読み続ける毎日であった。

そんな変人に話しかける変人、アクタは、アオという名前を少女に与えた。


「ねえねえ、アオは、何で本が好きなの?」

「私、何もないから。自分は何なのか知りたい」

「えー、アオはアオだよ。お腹はすくし、喉は乾く。しっかり生きた人間なんだよ。

別に過去は分からないけど、今のアオが私は好きだよ! だからこれ、食べて」


アオは、アクタにカビの生えたパンを半分にして渡す。


「やだ。パンは嫌い。苦いしお腹がまた痛くなる。水もいっぱい飲んだら病気になる」

「もー、アオは、冷めてるなー。もっと今を楽しもうよ。笑って」

「笑うのは無理。面白くない」


アクタは、アオに笑いかけるが、それを青は無視する。


「もー、アオは意地っ張り! なら秘密兵器! たらーん!」

「なにそれ? 火を通してないお肉?」

「いや、これはジャム、甘いんだ! これをパンに塗って! はい!」

「あむ! やめ……美味しい」


アオは、カビパンに塗られたジャムを無理やりほおりこまれると、初めての味にアオは、美味しいと感じてしまう。


「でしょ! 私、将来は、料理をする人になりたいんだ! アオにも食べさせてあげるね」

「そ、アクタならなれるよ」




しかし幸せな時間はすぐに終わった。





「そっちにガキが逃げたぞ!」

「アオ! 逃げないと……」

「うん! 逃げて二人でお店作るんだもんね!」


 子捨て墓場の解体に伴う子ども狩り、捕まった子どもは、売り飛ばされ、奴隷のように一生を過ごす。どんどん捕まる子どもたち。

アオたちは、体が小さく幸い今まで逃げられていたが、その瞬間アオの隣で血が舞い散る。


「きゃああああああ!」

「あ、アクタ!」


アクタの利き腕はライフルで吹き飛ばされていた。痛みで叫ぶアクタであったがアクタは痛みをこらえ叫んだ。


「にげろおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」



そして、アオは、走って逃げ続け、『BAR肉欲』に駆け込むと、そこには、厳ついスキンへッドの男が、アオを見ていた。


「嬢ちゃん、匿うのは良いが、ウチは、いやらしいことを売る店でもある。覚悟がねえなら消えろ……お前ならまだ」

「……お金、生活基盤。つまり衣食住を保障してほしい。覚悟はできてる。ここを出たら私は……もうだめになる」


覚悟の決まった目、男は少女に聞いた。


「嬢ちゃん、名前は?」

「あお……」


アクタの顔が浮かぶ。異世界からきた言葉でアオは青、青色を意味する。アクタは芥、ゴミやチリ……少女は、ゴミの山で生まれた子ども、皮肉を込めた名前は、怪物の始まりであった。


「青芥子……アオケシと呼んで!」


***********************************************************************************


思い出される記憶。

自分にとって古い記憶であるごみだめの生活。

そして、ごみだめの子ども狩りをしていた大人たちの顔は、阿久津そのものであった。


「私はねえ! 初めて私怨で人を殺すよ! 記憶も何もいらない! こいつだけは」

「意味わかんねえ! 勝手に切れて殺しにかかるなんて! 頭おかしいのか!」


阿久津は必死に攻撃を防ぐのだが、次第にアオケシに押されてしまう。


「ああ! もう! ウザイわ! 盾よのびろおぉぉぉぉ!」

「きゃあ!」


盾は急に伸び、アオケシたちを吹き飛ばす。

アオケシは、着地して、戦闘態勢を立て直すと、そこに、ニャミが全力で走り、阿久津に近づき抱き着いた。


「アオケシ! その子を止めろ!」

「分かった! って! また盾!」


阿久津は盾で自分とニャミを囲み全員の攻撃を防ぎ、ニャミと阿久津、二人の空間を生成すると、二人は見つめ合い話す。


「ごしゅじんさま」

「ニャミか……こいつらを……」


阿久津は、ニャミを抱きしめようとするが、違和感を感じた。

ニャミは、自分の手に菫三色の黒装束の体に埋められていた爆弾を抱えていた。


「にゃ、ニャミは何をもっているんだよ!」

「爆弾です。さっき、あの男から、全部聞きました。私たち全員に爆弾を埋め込み、意にそわない人間は殺していたと聞きました。本当ですか? 世界平和、苦しめられているみんなを助けてくれるって! それに、私のお父さんは?」


メハジキの拘束を無理やり破りボロボロなニャミは、涙ながらに阿久津に聞くが阿久津は、自分の本心を隠し偽る。


「ぼ、僕はそんなこと。それにパパたちもこの世界を救って……」

「コレ、お父さんの心臓、獣人はね、身内の死体は臭いで分かるの。でねその爆弾が入っていたんだ。ご主人様は、家族をみんな救ってくれるって言いました! 嘘なんですか!」


あの爆発に巻き込まれ死んだ黒装束の中には獣人ニャミの父親もいた。

心臓に爆弾を植え込まれ命令を強制された一人。

だが、その事実を話され阿久津の顔は醜く歪む。


「うるせえ! 俺の肉奴隷が! 俺はロリが好きなだけだ! お前だって成長したら人間爆弾にしてぶっ殺してやるつもりだったんだよ! 俺の人形が口答えするなんて! 許せない! 人形なら人形らしく俺の言う事だけ聞いていろよ!」

「……そう、ですか」

「お、お前何を!」


ニャミは、爆弾の起動スイッチに手をかけると、泣きながら、阿久津に最後の希望を託した。


「ご主人様、あなたが私の思う人なら助けてくださいね」

「やめ! やめろおぉぉぉぉ! 『生成』堅牢牢獄!」


阿久津は、ニャミの周りに鉄の層を作り、自分だけを爆風から守る。

その一瞬が、彼にとって命とりだった。


「お前は、もう死になさい! 記憶もいらない! 見たくもないわよ!」

「あ……え……」


アオケシは、全力で阿久津に飛び込み、その鉈で阿久津の首を思いっきり振り落とした。


「『使用』無限の性質付与」


そしてアオケシは首だけになった阿久津が苦しみながらしゃべる。


「にゃ、にゃんでいきてるの……」

「アナタも信者の気持ちを知ってから死ぬべきなのよ。無限の性質付与で、これが爆発するまでは生きられるようにしたから」


アオケシは、『収集』していた信者の死体から爆弾を取り出すと起爆スイッチを押し、阿久津の口に突っ込む。


「や、やら、死にたくない、しにたくなああああ」


ぴ、ぴ、ぴ。

規則正しい秒針と共に爆弾は吹き飛び、阿久津は、恐怖野中氏を迎えていった。

アオケシは振り返らない。阿久津の記憶もいらない。

初めて、人の死後記憶を奪う行為を彼女は拒んだのであった。


「読む価値もない」


それは、彼女にとって最も人を侮辱する言葉であった。

こうして、教会の敵は、アオケシたちを除く全員の死により終幕を迎えた。

この更地と同じようにアオケシの心には何も残るものなどなかった。

教会編は、これにて終わり!

次回からは落果の平和編です!

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