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20.『火が無いならどうしよう』

「ぎゃははは! まさか、魔導書や転生者を管理する中央監査機関のお前が管理される側になるとはな!」

「うるさい。今回の案件は、俺だって乗り気じゃないんだ。できればカネノムシーンをしっかりと裁いたうえで任務を達成する。それが一番いいんだよ。あのいけ好かないデブを狙う雑魚は、あのゾンビみたいなやつらに任せておけばいい」


 メハジキは、地下牢の一室で閉じ込められていた。

クロノワールの能力を使えばすぐにでも脱出はできたが、カネノムシーンを追い詰める決定的な証拠を掴むなら皆が寝静まる夜を狙っていた。


「……だけどよ。良く入れるよなこんな臭い場所に」

「もう慣れたよ」


数か所ある地下牢には、衛生環境が最悪な状態で閉じ込められる人間たちが何人も横たわっていた。皆何かを求めるようにその場で床をひっかいていた。


「くすり……まだ……」

「あああああ! 薬! はやく!」


全員、何かの薬を求めているのか、男も女も子どもも全員が屍のように倒れたり、叫び続けている状態でメハジキは、一人ゆっくりと目を閉じろうの中でゆっくりと機会をうかがっていた。


「別にいけどよ。よくこんな所にいて精神がおかしくならねえよな」

「だから、慣れてんだよこの程度の地獄」


メハジキは、呆れて溜息をついていると、爆音が廊下を鳴らす。


「たく! あの馬鹿共! 肌に始めやがったな! クロノワール!」

「あいあい、全くアオケシの姉さんと居ると飽きないぜ」


クロノワールは、メハジキの中に入ると、メハジキは停止の魔法を使い牢屋を壊そうとした時、黒装束の男たちが地下牢に入って来た。


「くせえ! マジでこんなところに俺たちの仲間がいるのかよ!」

「まあ、いるのは確かだ」


大量の黒装束の男たちが入ってきて、先頭に立つ二人は近くの牢屋を見渡し鼻をつまみ歩く。

そしてその男に近寄る囚人、目はうつろで焦点が合わず、全身は汚れが目立っていた。


「あ……あずけて……たずげて……情報、あつめたから…」

「……げぇ、これがスパイかよ」

「まあ、そう言う事だな。おい、お前、情報を寄こせ」

「あ、あい……」

「……」


メハジキは、黒装束の集団にバレないように隠れながら、話を盗み聞きする。

最悪こっちの事情を話せば一緒に助けてくれ、護衛対象の命を狙う輩を止められるかもしれない。最悪、この集団がカノムシーンを狙う敵だとしても騙されたと言えば、懐に潜り込めるとメハジキは踏んでいたが、その予想は大きく裏切られた。


「よし、情報は、手に入ったし、後は証拠の隠滅だ……火を付けろ」

「まっで……だすげ……」


刹那、銃声が響く。

硝煙の香り弾ける肉片と断末魔。黒装束の集団は、敵、それも話が通じないタイプの物である。メハジキは、黒装束を丸め込み情報を手に入れることを諦め、情報の強奪に目標を変えた。


「へへ、どうすんだ? アオケシの姉さんみたいに正面突破か?」

「うん……まあちょっとは、工夫をするさ。俺は人間だからな」


狭い空間で集団との戦闘。アオケシやマリーゴールドであれば、不死にものを言わせて無理やり皆殺しになる所であるがメハジキは、二丁の銃を袖の中から取り出す。


「クロノワール……俺の合図で時間加速フルスロットル2秒」

「あいよ」


クロノワールの声を聴きメハジキは魔法で、牢屋をけ破ると黒装束の軍団がメハジキに一斉に目を向ける。


「な、何者だ!」

「通りすがりの本屋だよ! クロノワール!」

「あいよ!」


メハジキは、瞬間動きが目にも止まらない早さに速され、マリーゴールドからもらったゴム弾を発砲。加速度が、普段より早い弾丸に銃は、耐えられず爆散。

しかしそこから放たれた弾は次の瞬間情報を受け取った黒装束と、もう一人の男に直撃、ゴム弾とは言えあまりに早い弾丸は、二人を一瞬で気絶に追いこみメハジキは、情報端末を奪い取る。そのまま地下牢から脱出しようとするが、部下の黒装束に阻まれる。


「通すかよ! その情報は、俺達、菫三色の物だ!」

「ああ? 情報を集めた仲間はもう死んだんだろう? ならこれはだれのものでもねえよな!」


メハジキは、籠手をはめると、数十人の黒装束相手にファイティングポーズで構える。


「や、やっちまえ!」


あまりの速さに驚いた黒装束たちは、少しおびえながらも手に持つ銃や剣でメハジキに襲い掛かるが、メハジキは、加速のページを脳と目に使用する。


「『加速』……おえ!」


視界の加速と脳の処理能力加速で一瞬吐き気を催すメハジキであるがその後はまるで世界が止まるように遅く動き出し、メハジキは、剣や銃弾を避け、一人ひとり殴って気絶させていく。


『ぎゃははははは! 結局やっていることは、アオケシの姉ちゃんと一緒じゃねえか!』

「ばかだろ! 俺は、ちゃんと必要なものを手中に抑えてからこいつらを処理しているし、殺す必要が無ければ殺さねえ! あいつとは違うだろう」


急な乱戦、意識外からの拳などがかすりながらもメハジキはすべての攻撃を避けきり、黒装束の集団を叩き伏せていく。


「……ラスト!」


メハジキは、全員を叩き伏せると倒れた黒装束の山に座り、一人のポケットから煙草を取る。


「ふぅ……たく……ヤなこと思い出しちまった」

「まあ、ドンマイだぜメハジキ」

「うるせえ……一服したら、こいつらを拘束して、あのゾンビまがいの女どもと合流だ」


メハジキは、休みの日しか吸わない煙草を吸いたくなりつい一服しようとしライターの火をつけようとするが、オイルが無いのかライターの火はつかない。

暑くなる脳内を冷やすように煙を求める、メハジキは、少し、イライラし、気絶した人間のポケットを漁りだす。


「畜生、普段は吸わないから、つい吸いたくなる時に火がねえんだよ!」

『ち……ちっ……』


どこからか聞こえる秒針の音。

黒装束の体内から聞こえる音は、まさに爆弾そのものであった。

正常な状態に戻ったメハジキは、その以上を探知すると何かを察して煙草を持ち地下牢から飛び出た瞬間、気絶した黒装束の男たちは爆発し木っ端みじんになってしまった。


「……だからってそんな強い火はいらねえよ。はあ……」


メハジキは、ため息をつき飛び散った火の粉で煙草に火をつけ、ゆっくりと地下牢に続く階段に座りタバコを吸った。

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