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「沖原くん」
琴、と呼びたかった。
「ん?」
「順子を幸せにしてあげてね」
来世は、私と一緒になろうね。
「うん」
「順子、本当にいい子だから」
私は今、貴方と一緒になりたい。けど、そんなこと叶わないから。
「うん」
「素敵なカップルでいてね」
来世は、沖原琴を絶対に離さないから。
「さゆりも」
名前を呼ばれた瞬間、死んでもいいと思った。
琴が私の名前を呼んでしまうぐらい、少しは動揺していたのかと思うと嬉しく思った。
「岡峰さん、でしょ」
私は琴の方を見ながら、柔らかく微笑んで訂正した。




