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「私はね、愛に殺されるの」
あの時、彼女が僕に放ったその一言がずっと頭から離れない。
まだ僕たちは高校生で、甘ったるいだけの苦みの知らない恋愛。恋に溺れることに快感を覚え、僕は彼女の距離感を大事に抱きしめていた。
不器用な愛し方しか知らなかったけれど、彼女に一つしかない僕の心を渡した。
君に愛された僕に価値があった。
君が愛おしそうに僕の頬を撫でる瞬間が好きだった。
君が嬉しそうに些細な出来事を報告してくれる時の表情が好きだった。
君が僕の話を「うん、うん」と真面目に相槌してくれるのが好きだった。
君が階段を一段ずつ飛ばしながら降りて、髪がサラサラと靡くのが好きだった。
君の全てが愛おしかった。
僕の退屈だった日常が彩り、煌めいていた。この世界では君なしでは生きていけないと思うほどに……。