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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第32話 スタンピードが始まった!

「さ、さ、三千?三百の間違いじゃないか?」

「間違えようがないよ。斥候の一人が数を確認したところ三千を超える魔物の群れだそうだよ」

「さ、三千を超える……?」

「数えられたのが三千までだったらしい。だから多分数百の誤差はあるんじゃないかな」

三千の魔物はやべぇだろ。

俺が想像してたのは多くて数百。

千はいかないだろうと思ってたのに。


「そ、そ、それくらい問題ねぇよ!」

「声が震えてるじゃないか。悪いことは言わない、マルは下がっててくれ」

「いやいや!何のこれしき!」

俺が腰に両手を当てて胸を張るとレオンは呆れたように笑った。

まあぶっちゃけるとめっちゃ怖い。

ゴブリンですら腕とか足がムキムキだったしな。

オークとやばいんじゃないか?

多分親指が俺の顔くらいあるだろ。


「む?マルも来たのか」

ふと背後から聞き覚えのある声が飛んでくる。

振り向くとガチガチに装備を固めたサラスティさんがいた。


「あ、どうも」

「なぜ逃げなかった?今回のスタンピードは前回の比ではない。だから下級冒険者は避難誘導してもらっているのだが」

まじかよ……じゃあ俺も逃げたら良かったじゃねぇか。

でも今更逃げ出すのもカッコ悪いしな……。


「あーいや、少しでも力になれるかなと思ったんですよ」

「ふむ……良い心がけだな。しかしマルではなんの役にもたたんぞ」

「いやいや!ほらゴブリンとかスライム雑魚の相手は任せてくださいよ!」

「ううむ……しかしな……」

サラスティさんは腕を組んで唸る。

よほど俺を避難させたいらしい。


「ほら!これ!黒龍丸が活躍する時ですよ!」

だから俺はサラスティさんから貰ったモップもとい武器を見せつけた。


「まあ猫の手も借りたいところではあるが……」

「そうでしょ?任せてくださいよ、俺も一匹二匹くらいなら倒してみせますから」

「三千の魔物がいるのに一匹二匹減ったところでな……」

まあそれはそう。

でもここで逃げたら男が廃る!


「おう!マル!やる気満々じゃねぇか!」

そんな問答を繰り返しているとまたも聞き覚えのある声が。


「ガルシアか。俺だって一応冒険者だからな」

「でもよぉ、オメェじゃ一瞬で死んじまうぞ」

「ストレートに言うなよ。ゴブリンなら任せろ!」

「お、おお……」

無駄に張り切った態度にガルシアもそれ以上突っ込んでくることはない。



「分かったよマル。その代わり絶対に前線に出てはだめだよ」

「もちろんだ。レオン達の邪魔はしねぇよ。後ろに零れてきた魔物は任せてくれ」

レオンもこれ以上言うのも野暮かと思ったのだろう。

仕方ないと言わんばかりに肩を竦め許可をだしてくれた。

いやまあ許可がなくてもいたけど。




冒険者達と騎士団が配置についたときには地響きのように聞こえてくる魔物の足音が耳に入ってくる。

防壁の上から覗いてみたが凄い数だった。


地平線が全て魔物に埋め尽くされているからか、黒一色。


防壁が開いたかと思うとレオン達のパーティー"夜明けの青雷"が姿を見せた。

どうやらこの街で一番の実力者が最初の攻撃を放つらしい。


レオンの周りが徐々に歪んでいく。

魔力を高めているのか剣を両手で握り目を瞑って集中しているようだ。


そんなレオンにミーシャとアリシアが次々と魔法をかけていく。

多分バフ系統の魔法だろう。

ゲームとかでよく見るやつだ。

青とか赤とか様々な色のオーラがレオンに纏わりついている。



「そろそろ来るぞマル……耳を塞いでおけ」

「え?」

「レオン殿が放つのは超高威力の魔法だ。凄まじい音に耳がやられるぞ」

なぜか隣りにいたサラスティさんの助言に従い俺は両手で耳を塞いだ。


極天招雷(トールハンマー)!」

レオンが魔法名を口にすると共に剣を大きく掲げ振り下ろした。


目が眩むほどの光に空は真っ白に染まる。


一瞬光った、と思ったその後すぐに耳を劈く轟音が響き渡った。


「うおおおお!?」

耳を塞いでおいても脳を揺らすほどの激しい音だ。

鼓膜が破れるかと思った。


「流石はレオン殿だな……一撃で数百の魔物が消し飛んだぞ」

サラスティさんが指差す方向には落雷があったであろう黒く焦げた地面がよく見える。

煙もあがっていて相当数の魔物が灰になったのが分かった。


「これが魔法か……凄いですね。俺もあんなのが使えたらなぁ」

ほんとにそうだよ。

俺に魔法の才能は微塵もないが、せっかく異世界にきたのならあんなド派手な魔法を撃ってみたかった。


しかしそれでも魔物の行進速度は衰えていない。

仲間のことなんて気にもしていないのか魔物たちは一目散にパスィーユへと向かってきていた。



「削りきれなかったか……魔法が使える者は全員防壁上から狙い撃て!」

サラスティさんの号令と共に火や水の魔法が各所から放たれた。

俺からしてみれば打ち上げ花火を真横に向けてぶっ放してるようにも見える。

色とりどりで割と綺麗だなぁという感想しか出てこない。


「マル!何をボーっとしている!そこに弓があるだろう!使え!」

「ええ!?」

黒龍丸しか使ったことのない俺が弓を引くなんてできるのか?

いやまぁ言われた以上はやるけども。


いそいそと弓を取り矢を番えようとすると思っている以上に重くて全然引けなかった。


「ぬぅ!うぉぉ!」

全力で引くがそれでも殆どしならない。

これ俺が力なさすぎなのか。


「何をしているんだ……弓もマトモに引けんとは」

「だってやったことないっすよ!!」

「仕方ない……その辺の石でも投げておけ」

サラスティさんには凄くガッカリされた。

石を投げるって子供じゃないんだから……。


まあ投げるけど。

当然腕力なんて毛ほどもない俺の投石は何の意味もなく魔物の群れどころかだいぶ手前の方に落ちた。



魔物が近づいてくるにつれて防壁の上にいる冒険者や騎士たちにも緊張が走る。

防壁を抜けられれば街は蹂躙されるだろう。


「そろそろ接敵するぞ!騎士団は盾を構えよ!冒険者は各自の判断で行動せよ!」

「「「「おおおお!」」」」

サラスティさんが指揮できるのは騎士団のみ。

冒険者連中は騎士団の戦い方は真似できないようで、各自パーティーで動きつつ迎撃を始めた。



戦闘開始から一時間。

既に千を超える魔物が死んだ。

防壁の上から見えるのは死屍累々の光景。

中には魔物だけではなく人の死体もあった。



「恐れるな!!ここを抜かれれば街が滅ぶぞ!」

「やらせはしねぇ!強撃ィィ!」

「怪我人はすぐに下がりなさい!」

「こっち支援魔法を頼む!」

「矢がなくなるぞぉ!次の矢をくれぇ!」

色んなところから聞こえてくる声には焦りと恐怖と怒りが籠もっていた。

そんな中俺は防壁の上からただ眺めているだけ。

黒龍丸の出番はまだなさそうだ。



勇猛なる一閃(ブレイブスラッシュ)!」

時折聞こえてくる勇ましい声が他の冒険者達を奮いあがらせていた。

声の主はレオンだ。

パスィーユ所属の冒険者で最強の名は伊達ではないらしい。


「ちょっとぉ!服が汚れちゃうじゃないのぉ!!」

もう一つ聞き馴染みのある声がする。

そっちに視線を向けるとフリフリのドレスを身に纏ったゴリラが獅子奮迅の活躍を見せていた。


「いける!行けるぞ!みんな気を抜くな!」

隊長格であろう騎士が剣を高く掲げ士気をあげる。

そんな騎士も次の瞬間には首と胴体が離れていたりと、戦争というものを身に沁みて味わう。



「まだ終わらないのか!?」

「おーい!防壁の上にいる連中!教えてくれ!あとどれくらいの魔物が見えるんだッ!」

突如下から声がかかったが俺は口を噤んだ。

既に戦闘が始まってから二時間近い時間が経過している。

なのにも関わらず防壁の上から見る光景は殆ど変わっていないのだから。


「おーい!答えてくれ!魔物はあとどれだけいる!?」

「それは……」

俺が答えづらそうにしているのと同じく、防壁の上にいる弓手は顔をしかめていた。


「魔物は残り4080体です。全部で八千はいたかもしれないです……」

悲壮な声色でそう答えたのは"銀の月"のメンバーであった。

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