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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第30話 ヘレンを追いかけろ!

サラスティさんとの食事から一夜明け、俺は冒険者ギルドへと急いだ。

占い師がどうのこうのって話を聞いたせいですっかり忘れてたんだよな。

ヘレンのことを。


冒険者ギルドの戸を開けて、辺りを見回す。

それらしき人物はいない。


ヘレンどころかカレンとアレンの姿もない。

今思ったけどレンがつく名前多すぎ。

間違えそうになるわ。

俺のいた世界でいう田中や佐藤みたいなもんかもしれないな。


「すみません、昨日小さな女の子がいたと思うんですけど」

「ああヨワマルさん。それならカレンさんと一緒に出掛けましたよ」

一緒に出掛けた?

一日で仲良くなったもんだな。

でも確かにカレンさんは子供好きそうだし、当然といえば当然か。


いやそれよりも今普通にヨワマルつったな。

受付嬢にまでヨワマルって呼ばれる始末。


「じゃあどこに行ったかとか分かります?」

「いえ、そこまでは。ただカレンさんが服を見に行こうと言っていましたが」

服だと?それはヤベェぞ。

ヘレンの正体がバレちまう。


「こ、この辺りで一番近い服屋はどこですか!?」

「うーん、通りを出て左に真っ直ぐ行ったところにある店でしょうか」

「分かった!ありがとう!」

俺は急いでその店へと向かった。

正体がバレることはあってはならない。

魔族だと知られたらヘレンどころか俺もヤバい。

何せ魔族を匿ってたってことになるからな。


ギルドの受付嬢に教えてもらった店の前へと到着すると、俺の足は止まった。

ピンクの看板に花柄の壁。

極めつけはフリフリのリースで飾られたドアだ。

中に入るにはなかなかの勇気がいる。


かといってここで待っていても仕方ない。

俺は意を決して扉を開いた。


「「「いらっしゃいませぇ〜!」」」

入店と共に聞こえてくる明るい挨拶。

店員も全員がフリフリドレスなんて着ちゃって俺の場違い感が凄い。


「何をお探しでしょうか?」

「え?ああ、えっと……ここに小さい女の子とムキムキの女の子が来ませんでしたか?」

自分で言っててアホらしい。

店員も首を傾げていた。

そりゃあそうだろうな、ムキムキの女の子ってまず見かけねぇよ。

でもカレンさんの印象はムキムキの女の子なんだから仕方ないだろ。


「あ、もしかしてカレン様のことでしょうか?」

「それそれ!その人が小さい女の子を連れてたと思うんですけどどこに行ったか分かりますか?」

「それなら広場の先にある公園に行こうって話をしながら退店しておりましたよ」

今度は公園か。

デートみたいなことしやがって。

俺はそそくさと服屋さんを出て公園へと急いだ。



「おお……これは……また」

公園、とはいっても子供が遊ぶような公園じゃなかった。

花壇が沢山置かれていてどう見ても男一人が来るような場所じゃなかった。


辺りを見回してみても若い夫婦だとかカップルだとか、デートしているような雰囲気の人達ばかりだった。


俺は気まずい思いをしながら公園を散策するが、どこにもカレンとヘレンの姿はなかった。


こうなりゃあもう聞くしかねぇ。


「すみません、ちょっといいですか?」

「はい?」

俺はベンチに腰掛けている若い夫婦に話しかける。


「ここにムキムキの女の子が来ませんでしたか?」

「ああ、それなら小さい女の子を連れていたよ」

「それです!その人達ってどこに行ったか分かります?」

「確か……時計台を見に行こうって言ってた気がするよ」

「ありがとうございます!」

今度は時計台かよ!

ウロウロしやがって!

俺の気持ちも考えやがれってんだ。


時計台は走っても五分はかかる。

俺の足なら九分だな。


ゼェゼェ言いながらも俺は時計台まで走った。

無駄に色んなところに行ってやがる。

パスィーユの街の観光満喫してるな。


「ここか……」

時計台まで到着すると俺の息はあがっていた。

北海道の時計台と同じくらいの大きさだな。

レンガ造りでまあオシャレっちゃあオシャレか。


入ろうとすると警備員に止められた。


「君、入館証は?」

「なんですそれ?」

「そこの受付で入館証を買わないと入れないよ」

面倒くさいな!

ただそのまま強行突破なんてしようものなら多分組み伏せられるから、俺は言われるがまま受付で入館証を購入した。


「十五銅貨って高いな……」

千五百円くらいか。

まあ観光地ならそんなもんなのかもしれないが。


時計台に入ると果てしなく螺旋状に続く階段があった。

俺の足がもつかどうか……。


数十分かけ俺は頂上まで辿り着いた。

もう俺の足はガクガクしてる。

膝が笑ってるよ。

せめてエレベーターつけといてくれ。



「どこだ?」

パスィーユの街が一望できる高さの展望台で俺は二人を探した。

しかしどこにもいない。


まさかとは思うが入れ違いになったのか?

いやそんなはずはない。

螺旋状の階段は一つだけ。

すれ違える程度の広さはあったが、すれ違ってたらまず気づく。

あんなムキムキのフリフリドレスマンがいたら誰だって目を引く。



おいおい……やめてくれよ。

まさかとは思うが俺ただ無駄に階段ダッシュしただけか?

体力も底を突きそうだ。


「君、誰か探してるのかね?」

あまりに不審な行動だったのか、展望台で一人の老紳士が話しかけてきた。

俺は二人の特徴を事細かに伝えるとある方向を指差した。


「それはあそこにいる方かね?」

「ん?……あっ!」

かなり距離があるせいでボンヤリとだが、確かにフリフリの服を着たムキムキが小さな女の子を連れてどこかへ歩いて行くのが見えた。


「ありがとうございます!!」

「何があったのかは知らんが、転ぶでないぞ」

老紳士に頭を下げ俺は全力で螺旋階段を駆け下りる。

膝が笑っているがそんなことも言ってられない。


時計台を降りきった時にはもう足が棒のようになっていた。

自分の体力の無さには呆れる。


とりあえずカレンさんのいた所まで急ぐが、既に時計台で見た場所にはいなかった。


俺は手当たり次第にその辺を歩く人に声を掛けた。

ムキムキのせいか通行人は指を差した教えてくれる。

まあ目立つからなあの人。



「ここどこだ……?」

やがて俺は見覚えのない場所へと辿り着いた。

辺りに住宅はなく、古びた遺跡のようなものがいくつかあるだけ。

デートスポットというには無理があるような閑静な場所だった。


昔使われていたであろう古びた小屋を見つけ、ソッと窓から中を覗く。


中にはカレンさんとヘレンさんがいた。

なにやら話をしているようでボソボソと会話が聞こえてくる。


中に入るべきか、それともこのまま観察を続けるべきか。

悩んだ俺は思い切って扉を開いた。


「誰!?」

「俺ですよ!マルです!」

カレンさんが構えたため俺は急いで名乗りを上げる。

極太の上腕二頭筋がピクついていて、あと少し遅ければぶん殴られていたかもしれない。


「何よ、驚かせないで頂戴」

「いやいや、こんな所で何やってるんですか……」

カレンさんが呆れたようにため息をついた。

ため息をつきたいのはこっちだよ。

どんだけ走り回ったと思ってんだ。


俺がずっと探していたと言うとカレンさんはケラケラと笑う。


「大変ねぇ〜。なに?もしかしてヘレンちゃんを取られると思ったのかしら?」

「いやそういうわけじゃないんですけど」

「それともヘレンちゃんの正体がバレるかもって焦ったのかしら?」

カレンさんの口からヘレンの名前が出てきて俺はつい黙り込む。


「図星ね。もうとっくに分かっているわよヘレンちゃんのこと」

「わ、分かってるって何がですか?」

「魔族でしょう?ヘレンちゃん」

俺は咄嗟に背中に担いでいた黒龍丸を掴もうとして、手が空を切る。

そうだった、急いで出てきたせいで黒龍丸を置いてきていた。


武器があってもなくても弱いことには変わりないが、

ある方が幾分か俺の気持ちに安心感を与えてくれる。


俺が焦った表情を浮かべたからかカレンさんはクスリと笑う。


「安心しなさいな、アタシは気にしないわよ?」

カレンの言葉に俺は呆けてしまった。

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