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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第28話 クセ強冒険者参上!

棚に置かれた仮面は五つだけ。

ただしどれもが不気味なオーラを放っている。


「なんだコレ……」

「これは仮面舞踏会で使われたりするものよ」

俺が呟くと同時に店員と思われる女性が声を掛けてきた。

女性は妖艶な見た目だった。

長い黒髪に整った顔立ち。

この世界は整った顔立ちの人間しかいないのか?

……いや、そうでもないか。

ガルシアなんてガタイのいいおっさんだしな。


「それで?どれがいいの?」

「あー、これとかマシかな」

その中の一つを手に取ってヘレンを見る。

フードに隠れて目元は見えにくいが、別に嫌そうな顔はしていなかった。

魔族の美的センスだとアリなのかもしれない。


「これください」

「それなら十七銅貨ね」

やっす。不気味すぎて売れないから激安にしてんじゃない?

まあ買う側からすれば有り難いけど。


店を出ると早速ヘレンに手渡す。

着けてフードを少しだけ浅く被るとまあ不気味なことこの上ない。犯罪者かな?


「怖っ」

「これでもう大丈夫?」

「まあ大丈夫だろ。ただフードは取るなよ。ツノが見えたら意味ないからな」

レオンにバレないよう小声で話すと、ヘレンも理解しているようで無言で頷いていた。


「お、いいね。舞踏会にいそうなお面だよ」

レオンは全肯定マンだな。

ニコニコ笑顔で褒めていたが、全然褒める要素ないと思うけど。

不気味なお面を着けた子供が全身を隠すようなローブを着てるんだぜ?

俺だったら近寄らないね。


とにかくこれでヘレンの素性はバレにくくなっただろ。

後はどこに連れて行くか……。


「冒険者ギルドとかいうとこに行きたい」

ポソッとヘレンが呟く。

レオンもその声が聞こえたのか優しそうな笑みを浮かべて頷いている。

まあここから近いし行くかと歩き出すと俺の裾をヘレンが掴んだ。



数分歩くと冒険者ギルドの前まで辿り着く。

ヘレンは大きめの建物を初めて見たのか興味深そうに眺めていた。


「中に入らないのか?」

「……ここからでも分かる。強そうなのが数人いる」

ヘレンの強さがいまいち分からないからな。

何を基準に強そうと言っているのか俺には判断がつかない。


「この時間ならそうだね、彼がいるかもしれない」

「彼?」

「ああ、マルはまだ会ったことがないかもしれないね。とにかくクセの強い人さ」

レオンほどの真人間がいうクセの強い人というのが気になる。

変な絡まれ方しないだろうな。それだけが不安だ。


ギルドの前で立ち往生していても仕方ないと、俺はギルドの扉を開いた。

相変わらず中は騒がしい。

どれどれ、レオンの言うクセの強い人というのは誰かな?


「……あれかもしかして」

俺は該当するであろう人物を指差した。

レオンは笑顔のまま頷く。


「そう、彼さ」

彼、ね。レオンが強調するのも分かる。

その該当するであろう人物はフリフリのミニスカートを履いて頭にはリボンを着けている。

髪型なんてツインテールだ。

さぞ可愛らしいんだろうな、女の子が身につけていれば。


「あらぁん!?レオンちゃんじゃない!」

おっさんの裏声みたいな醜い声色でこちらへと話しかけてくる。

歩く度にドスドスと音が響いてきそうな筋肉モリモリの身体つき。


そう、彼とは日本でいうところのオカマというやつだった。


「お久しぶりですカレンさん」

「ほんとねぇ!?一月ぶりくらいじゃないかしら!?」

「遠征から帰ってきたんですね。どうでした?」

「そうねぇ――」

レオンと筋肉ダルマが和気藹々と話しだしたので俺はヘレンを連れてソッと離れた。

あれはやべぇよ、ムキムキじゃねぇか。

しかも名前がカレンだって?どこが可憐なんだよ。

どちらかといえばゴリラじゃねぇか。


「……人間の街に魔族が紛れ込んでるの?」

「そんな訳あるかよ。あれでも多分人間だぞ」

ヘレン、何気に辛辣だな。聞こえてないからいいけど。

でも分かるぜその気持ち。

同じ人間とは思えないほどムキムキだし背も高いしな。



「ヘレン、さっき言ってた強そうなのがいるっての誰のことだ?」

「あの人」

ヘレンが指差す方向にはゴリラがいる。

まあそんなことだろうと思ったよ。

あれで弱いはずねぇもん。あの人の二の腕俺の顔くらいぶっといんじゃねぇかな。

丸太だよもう。


「あらぁ!?どうしたのお嬢ちゃん!」

ヘレンが指差したからかゴリラの首がグリンッと回ったと思うとこっちへと歩み寄ってきた。

ああ、これが獲物の視点なのだろうな。

恐ろしすぎる……。


「お嬢ちゃん、とそこの男の子は……ああ!レオンちゃんが言ってた子ね!?」

「あー、えっと……夜葉杉丸です」

「マル君ね!よろしくぅぅぅ!」

ゴリラからの唐突なハグ。

その後すぐ俺の意識は飛んだ。



――――――

「ハッ!?俺の身体!」

目が覚めると俺は見知らぬベッドに寝かされていた。

ヘレンはどこだ?アイツとはぐれたら不味い!

魔族なんてバレたら確実に殺されちまう!

俺は咄嗟にベッドから飛び降りると部屋の扉を勢いよく開いた。


「ん?」

扉の前にはヘレンがいた。


「あ、起きたのヨワマル」

「ヨワマル?おい待て、どうしてその名を……いやそれよりも俺はあの後どうなったんだ?」

ヘレンによるとゴリラの強烈なハグにより、俺は意識を失いそのまま倒れたらしい。

当たり前だろ、あんなもん万力で潰されたかと思ったわ。


すぐにゴリラがギルドの二階へ連れていきベッドに寝かしつけたとのこと。

その際全力で回復魔法をかけたらしく、もう少し遅ければ死んでいたそうだ。


「あのゴリラ――いや、カレンさんはヒーラーなのか?」

「そうみたい。てっきり拳闘士かと思った」

ヘレンだけじゃない、俺もそう思ってた。

あのナリしてヒーラーかよ……。


「というかあの後大丈夫だったのか?ヘレンは」

「問題ない」

「そうか……そう言えばあの時ヘレンをお嬢ちゃんって呼んでたよな?どうして性別が分かったんだ?顔もお面を被ってるし全身ローブで覆ってたのに」

「乙女センサーが働いたって言ってた」

……もう考えるのは辞めよう。

あのゴリラは色々とチートなキャラクターだ。

そう思っておこう。


「あ、マル。起きたんだね」

「お?おお、レオンか。悪いな、俺が弱すぎたらしい」

「いや、それは僕が悪かったよ。マルはそんなに身体が強くないって言っておけば良かった」

それはそう。あんなゴリラが抱きついたら骨が折れてもおかしくねぇわ。


「で、そのカレンさんはどこ行ったんだ?」

「ここにいるわよ?」

「うおぉぉお!?」

いつの間に俺の背後を取っていたのかわからないが、耳元から悍ましい声が聞こえてきたらビビる。


「ごめんねぇマル君……アタシが強く抱きしめちゃったせいで内臓破裂だなんて……」

え?俺よく生きてたな。というかそんな状態からでも完全に治せるってどんな魔法使ったんだよ。


「あ、いえ大丈夫です」

「そう?ごめんなさいね……レオンちゃんには怒られちゃったわ」

レオンをチラッと見ると申し訳なさそうな顔をする。

ほんと反省してくれよマジで。

次は死んでるかもしれないんだからな。



「あっ!そうだわ!自己紹介が遅れちゃった!アタシはカレン。魔法少女って聞いたことはないかしら?」

「ま、魔法少女?」

「そうよ〜。魔法少女カレンといえば有名なのだけれど」

魔法少女って柄か?いや、口には出さないがどう見てもゴリラじゃねぇか。

でもよく見るとスネ毛もしっかり処理されてんな……。


「カレンさんは白金級の冒険者だよ」

「白金級!?なんだよ、このパスィーユって街は強いやつしかいないのか?」

レオンしかりディーナさんしかり。

目の前のゴリラも強者に分類される。

もしかして俺がいるこの街は危険な事が多いのか?

これだけ強い冒険者が集まっていればそんなことまで勘ぐってしまう。



「そうだ、マル。時間は大丈夫かい?そろそろ日も暮れてきたけど」

レオンに促され窓の外を見ると既に日は傾き薄暗くなってきていた。


「やべっ!サラスティさんと食事の約束が!」

俺は急いで自分の宿へ戻る事を伝えるとヘレンがジッと見つめてくる。


「ヘレン、この人達と一緒にいるんだぞ」

「……分かった。レオン、カレンよろしく」

「あらぁ!可愛いわねぇ!よろしくねヘレンちゃん!名前まで似てるなんてアタシ達ベストフレンドになれるかもしれないわ!」

どうやらカレンのお眼鏡に叶ったのかヘレンを気に入っているようだ。

素性さえバレなければいい。

もしも魔族だとバレれば……。


後ろ髪引かれながらも俺は冒険者ギルドを飛び出した。

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