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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第27話 突然の遭遇!!

「眩しい……」

地下道から出るとヘレンがフードを深く被り視線を落とす。

一ヶ月以上薄暗い地下道にいたのだから、外の光は刺激が強いのかもしれない。


「時期に目も慣れるだろうさ。それより街を見てみたいって話だがどこに行きたいんだ?」

「冒険者ギルド」

「なんだ、冒険者が見たかったのか?それなら俺も冒険者だぞ。……下級だけど」

「もっと強い人を見たい」

へーへー悪かったですね、弱くて!

……そうか、ヘレンから見ても俺は弱そうなのか。


ヘレンの要望で冒険者ギルドへ向かう道中、知っている顔が正面から歩いてきていた。


「やぁ、マルじゃないか。今日は早いんだね」

声の主はレオンだ。

いつもなら下水道掃除を終えてギルドに顔を出すのは夕方だが、今日はヘレンの案内があった為掃除はある程度で終わらせてきた。


「まあたまにはな。そういうレオンは一人か?」

「今日は休養日なんだ。各々一人で趣味に時間を使ったり買い物したりしてると思うよ」

休養日か、一応この世界にも休日の概念があったんだな。

俺はほぼ毎日働いてるけどな!

じゃないと稼ぎがカスみたいなもんだから……。


「ん?その子はどうしたんだい?」

レオンめ、やはり目敏いな。

俺の後ろに隠れていたヘレンに気がついたらしい。

さて、なんと答えるべきか。


魔族なんだ、なんて答えられるはずもないし当たり障りのない答えを伝えるしかない。


「あーっとこの子は俺の……なんだ、その、遠い親戚みたいな感じだ」

「親戚?そういえばマルの故郷はどこなんだい?」

おっと、そう来たか。

レオンには俺の素性を適当にはぐらかして伝えているしな。


「まあ遠い遠いところだ」

「遠い?東方の国から来たにしては訛りがないしレザリア帝国辺りかな」

でたでた、もう似たようなやり取りはパスィーユの令嬢でやったんだよ。


「そ、そうそう。レザリア帝国から来たんだよ」

「うーん、それにしては帝国人によくある青い目をしていないよね」

知らねぇよ!どんどん知らん国の情報が出てくるな!

生粋の日本人だよ俺は!


とは言えないし、モゴモゴしてるとレオンは何か察したような表情で話題を変えてきた。


「ああ、そうだ。その親戚の子とどこか行くのかい?」

「ん?ああ、まあな。この街は来たことがないらしいから案内してやろうと思って」

「そうか。じゃあ僕も案内手伝うよ。マルもこの街に来て三ヶ月ほどだろう?」

いらんいらん!ありがた迷惑すぎる!

くそ……レオンの人の良さが今だけは煩わしいぜ。


「大丈夫大丈夫。ほら、レオンだってせっかくの休養日なんだろ?案内に時間を割かせるのも申し訳ないからな」

「それだったら気にしなくていいよ。もう用事は終わらせたんだ」

レオンのやつ、案内する気満々だな。

これは何を言っても意味がなさそうだ。

チラッとヘレンの方を見ると、何とかしろと言わんばかりの視線を向けてくる。


レオンみたいな冒険者にヘレンが魔族だとバレれば即座に斬られてもおかしくはない。

俺ではヘレンを守りきれないしどうしたものか。


「む!そこにいるのはマルか!」

レオンをどうやって撒こうか考えているとまたも俺の知っている声が聞こえてくる。


振り返れば満面の笑みを浮かべるサラスティさんがいた。


「あ、どうも」

「ここ数日訓練をやっていないだろう。少しばかり私も仕事が立て込んでいてな、申し訳ない」

「いえいえ、大丈夫ですよ。じゃあ俺はこれで」

とにかくサッサとこの場を切り上げようとヘレンの手を掴みそのまま立ち去ろうとするとレオンがスッと真横にくる。


「観光案内なら任せてくれ。君名前は何ていうんだい?」

レオンが深くフードを被ったヘレンの顔を覗き込もうとしゃがむ。

顔を見られたら一発アウトだ。


「うおっとぉぉ!」

俺の大根演技が火を吹いた。


レオンが覗き込んだ瞬間、俺は何も無い地面に躓きヘレンの腕を強く引っ張った。


「……いたっ」

ヘレンが小さい声を出す。

悪い、今だけは我慢してくれ。

ここには街を代表する冒険者と騎士団長がいるんだ。

魔族だとバレようものならどうなるか想像もつかない。


「む!今何もない所で躓いたな……?」

サラスティさん鋭いぜ。

よく見てらっしゃる。


「鍛え方が足らんぞマル!」

「え?」

「何も無い所で躓くとはなんと情けない。足腰の鍛え方が足らんな。む、そこの子供はなんだ?」

腕を組んで説教が始まるかと思うとサラスティはヘレンに目を向けた。


「この子は俺の親戚です」

「嘘を付くな」

即答された。

サラスティさん、ちょっとは信じてくれよ。


「お前に親戚がいたなど聞いたことがない」

「いやまあ言ってなかったので」

「何故言わんのだ!」

サラスティさんの目がクワッと開く。

情緒どうなってんだよ。


「聞かれなかったので……」

「む。これはいかんな」

「いかん、とは?」

「共に訓練に明け暮れる仲だというのにお互いの事を知らなすぎる。よし、夜は空けておけ。飯に行くぞ」


唐突な飯の誘い。

ヘレンがいるしな、有り難い申し出だが今日は断っておくか。


「いえ今日は――」

「今日はなんだ!」

こわ、サラスティさん数日ぶりに会ったけどこんな勢いバグってたかな。


「あ、良いこと考えたよ」

俺がサラスティさんとコントじみたやり取りを交わしているとレオンが何か思いついたのか突然会話に参加してきた。


「良いことって何だよ……」

「この子は僕が案内しよう。マルはサラスティ殿と食事に行くといい」

いやもうそんなことだろうとは思ってたけども。

ヘレンの素性がバレるじゃねぇか。


「ふむ、それは名案だレオン殿。では夜いつもの宿に迎えに行くからな」

「え?俺の意見は?」

なし崩し的に夜の食事が決まってしまった。

レオンもヘレンが気になっているのかちょこちょこ視線を送っている。


「では、また後で」

サラスティさんはそのまま去って行った。

残された俺はもう一つの課題に臨む。

レオンにヘレンを任せるという課題だ。


これはなかなか難しい。

何しろヘレンの顔を見られれば一発アウトだ。

顔を見られないようにするには仮面を被るのが一番効率的。

そうと決まれば早速服飾系の店に行くしかない。


「レオン、まずは服を見に行きたい。この辺で一番近い店は何処か知ってるか?」

「ああ、それならすぐそこにあるよ」

レオンの指差す方向には女性ものばかり置いているであろう店があった。

外観はピンクで店内にはドレスみたいな服が沢山置かれているのが目に入る。


「あ、あそこか」

正直言って入りづらい。

男が行く店ではないだろう。

レオンのような男なら女の引く手数多だろうから、ああいった女性向けの店にも何度か足を運んでいるだろうが俺は一度もない。

悲しいことに日本にいた時からな。


とりあえず行かないことには何も進まない。

ヘレンを連れ立ってその店へと入ると店内は更に気後れしそうな装飾が施されてあった。


「こういう店は初めてかい?」

「あ、ああ。あんまり女性と出歩くなんてなかったからな」

「そうか。なら覚えておくといいよ。この店は女性に人気でね。パーティーメンバーもよくこの店を使っているから」

レオンのパーティメンバー、ミーシャとアリシアか。

あの二人もかなり美形だからな。

こういった店が似合いそうだ。


「ヘレン、まずは仮面を探す。夜は確実に俺と離れ離れになるからな。我慢してくれ」

ヘレンの耳元でそう囁いてやるとヘレンは小さく頷く。


「レオンはよくこの店に来るのか?」

「まあたまに、かな。ほら、プレゼントを貰ったらお返しをするだろ?その時に利用したりとか」

ねぇな。悲しいことに俺は女性からプレゼントなど貰ったことなど記憶にない。

そんなさも当たり前のように言われても俺には経験がないんだ。

とりあえず頷いておく。


「で、この子の服を探すのかい?」

「ああ、仮面が欲しくてな」

「仮面?変わった子だね」

レオンは不思議そうにヘレンを見つめる。

あまり見てやるなよ、ヘレンが俯いて俺の後ろに隠れちまったじゃねぇか。


「まあいいか。仮面ならあそこに置いてあるくらいかな?」

そう言ってレオンはある棚へと足を進める。

俺達も付いていくとそこには綺羅びやかな装飾が施された店とは思えないような不気味な仮面がいくつか置かれてあった。

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