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弱そうに見えて本当に弱い俺が魔王を倒すまで  作者: プリン伯爵『虹色魔導師は目立ちたく無い』発売中!


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第25話 謎のナニカとエンカウント!

サラスティさんと話をした二日後。

俺は全快になった身体で冒険者ギルドへと足を運んだ。

寝込んでいた二日間で街は殆ど元通りになっていた。

土木魔法とかで直したのかな。


瓦礫もほぼ残っていないし、魔物の群れが襲ってくる前と同じような光景が広がっている。


冒険者ギルドの扉を開くと、相変わらずの人の多さに辟易しながら受付へと足を向ける。

俺の姿が目に入ったのか受付嬢は少しだけ驚いていたが、まあこの二日間姿を見せなかったからな。

死んだと思われてても仕方がない。


「どうも」

「マルさん、生きておられたのですね」

「これでも一応下級冒険者ですから。多少の自衛はできますよ」

「その冒険者が何人も亡くなっておりますが」

俺は運が良かったかもしれないな。

もし出会った魔物がゴブリンじゃなくてオークだったら死んでただろうし、ハイオークだったらミンチにされてたかもしれない。


「とりあえず依頼受けてもいいですか?」

「いつものですね。少々お待ちくださいませ」

いつもの、で通じるところが居酒屋感があっていいよな。

常連客になった気分だ。

居酒屋殆ど行ったことないけど。


「ではこちら下水道掃除の依頼受理いたします。……生き残ってくださってありがとうございます」

「え?」

「いえ、何でもありません。さっさと仕事をしてください」

冷た。

この受付嬢、急に突き放してくる。


とりあえずいつもの仕事をするか。

と思って振り返ると丁度ギルドに入ってくるレオンが目に入った。

挨拶の一つくらいしておいた方がいいよな。


「ようレオン。無事だったんだな」

「!?マル!無事だったか!」

レオン達"夜明けの青雷"の面々は俺を見つけて目を見開いていた。

そんなに俺死んでると思われてたのか?

確かに弱いけども……やる時はやる男なんだぞ。


「良かったよマルが無事で。魔物の群れが襲ったと聞いて気が気じゃなかったんだ。それにここ二日ほど姿を見なかったからね」

「いやぁ悪い悪い。筋肉痛で寝込んでた」

「はぁ……そういう事か。とにかく無事で良かった」

レオンは安堵のため息をついていた。

二日いなかったら死んでると思うもんなのか。

サラスティさんに伝言頼んどけば良かった。



「ヨワマル、筋肉痛って言ってたわよね。なんで筋肉痛になってたのよ」

「ん?ああゴブリンと大立ち回りしてたんだよ。いやぁ、あれはきつかったぜ」

俺がゴブリンという単語を口にするとミーシャは相当驚いていた。

いやいや、ゴブリンくらい倒せるし。一応。


「ゴブリンを倒したの?ヨワマルが?」

「凄いではないですかマルさん」

ミーシャとアリシアは驚愕した表情だ。

いやいや、俺だってやる時はやるんだぞ。

自分の命が掛かっていれば火事場の馬鹿力くらい出せるわ。


「ちなみにそのモップで戦ったの?」

「モップじゃない。いや、モップといえばモップだがこれは黒龍丸って名前があるんだ」

「黒龍丸……」

おい、なんだそのダセェなみたいな目は。

いいだろ、男はみんな一度は経験するもんなんだよ。

厨二病ってやつをな!



「そっちも大変だったらしいな。なんでも高位魔族が現れたんだろ?」

「ああ、聞いたんだね。そうだよ、男爵級魔族だった。少しきな臭い事になってきたかもしれないね」

「きな臭い……それあれか?魔王がどうのって話か?」

「そこまで知っているのか。もしかして騎士団長から聞いたのかい?」

俺が頷くとレオンはそのまま話を続けた。


「魔王の復活が近いとなると、大規模な戦いになるかもしれない。早い内にマルは王都に逃げた方がいい」

「おいおい、俺だけ除け者か?俺だってパスィーユの冒険者だぜ?まあ殆ど役には立たねぇけど避難誘導くらいは手伝える」

俺が魔王の軍勢と戦っても何の役にも立たない。

でも住民の避難誘導くらいなら俺でもできる。

こういう時は協力あってのもんだろう。



「魔王の軍勢が押し寄せればマルはすぐに死んでしまうよ」

「安心しろって。俺もただでは死なねぇよ。てか死にたくねぇしな」

どうあっても俺には逃げてほしいみたいだな。

その気持ちは嬉しいが俺だって男だ。

英雄に守られているだけなんて性に合わない。


「ヨワマル、悪い事は言わないわ。魔族が押し寄せればいくらアタシ達がいても守り切れないのよ」

「いや、守られなくたっていい。俺は俺のやりたいように動いて住民の救助とか避難とかそっち方面で手を貸すつもりだ」

ミーシャも心配してくれている。

女に守られる男ってどうよ?恥ずかしいだろ。

まあディーナさんに守られた俺が言うのもなんだけど。



「まあアンタがそう言うなら無理にとは言わないけど……。死んでもしらないわよ」

「大丈夫だって。流石に一人で動くつもりはないしな」

「もしかして騎士団長と一緒に行動するのかい?」

「いや、それは無理だろ。サラスティさんが避難誘導とかするなんて勿体なすぎる」

サラスティさんとパーティー組んでたら俺が足を引っ張って思うように動けないだろう。

かといって一人は危険だ。

まあ下級冒険者同士適当に仲間を見つけて動けばいいだろ。


「おっ、長話しすぎたな。わりぃ、俺もちょっと仕事行ってくるから」

「ああ、悪かったね。足を止めてしまって。じゃあ今日も安全に頑張ってね」

レオン達と別れ俺は一人寂しく下水道へと向かう。

下水道掃除をやってる冒険者、他にいないか探したけど全然いなかったな。

ギルドの人が定期的に掃除しに行ってるとは聞いたけど、やっぱり冒険者には不人気らしい。



俺はひとり寂しく下水道へと降りた。


「相変わらずくせぇな……」

この臭いだけはなかなか慣れるもんじゃないな。

でも他の人と比べたらもはや下水道掃除のベテランといっても過言ではないはずだ。


俺がモップを掛け始めておよそ一時間。

不意に気配を感じて俺は下水道の奥を見つめる。

なんだ?もしかして魔物か……?

いやいや、今まで一度も出てきたことないぞ。

可能性として有り得るのは他の冒険者だが、受付で聞いた限りでは俺以外にこの依頼を受けている奴はいない。


ゆっくりと近付くにつれて、何者かの気配は徐々に濃くなってくる。

気配、というかなんというか……俺第六感に目覚めた?

おいおい、ここにきてついにチート発現しちまったか?



「あのー……誰かいますか?」

恐る恐る奥の暗がりに声を掛けるとナニカが動く音がした。

衣擦れのようなカサカサッとした音だ。


え?もしかして虫?あのGから始まるヤツなのか?

それは勘弁願いたい。

どう考えても今の音的に人と同じくらいのサイズ感だった。

そのデカさのGだったら俺は失禁する自信があるぞ。


「あのー……誰ですか、ね?」

「………………アッ」

なんか聞こえた!

やっぱ何かいるじゃねぇか!

アッって聞こえたぞ!俺の幻聴である事を願いたいが!


まあでも無視しておくのも怖いしな。

とりあえず何がいるのかを知っておきたい。


俺は黒龍丸を両手で構えながら一歩ずつ近付いていく。


いやもうめっちゃこえぇぇ!

いきなりおそいかかってくるのだけは止めてくれよ……。


二メートルほどの距離まで近づきランタンで照らすとナニカの姿が露わになった。


薄汚れた黒いローブに身を包んだ俺の背丈ほどもない人間っぽい何者かが蹲っていた。

近づいていいものか悩んだがここまで近づいて襲ってこないなら大丈夫だろう。


「あの、大丈夫ですか?」

「…………ア」

ちっさ。

声がちっさいな。

でも若干高い声だったぞ。

てことは女、なのだろうか。


「とりあえずこれどうっすか?」

俺は鞄の中から水筒を取り出し謎の生命体の目の前に置いた。

多分手渡しでは受け取ろうとしないだろうと配慮したが正解だったようで、謎の黒ローブはそっと手を伸ばして水筒を掴んだ。


中身が水だと分かったのか一口飲んだ後、がぶ飲みし始めた。

俺の分なんだけど、まあ今日はこれで依頼も終わるつもりだったしいいか。



水をたらふく飲んだ謎の黒ローブはゆっくり顔を上げる。


その顔は紫色の肌をした女の子だった。

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