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第4話 死者たちの記録

死ぬたびに強くなるスキル。

それは、ただのチートじゃない。

何度も死んだ誰かの、痛みと苦しみの上に成り立っている。


これは、『異世界来たけど俺の能力は死なないと強化されない件』


少年・蓮が“死の記録”に触れ、はじめて他人の痛みを背負い始める物語。

案内されたのは、村の北端にひっそりと建つ小屋だった。


扉を開けると、空気が変わった。ひんやりと冷たい。湿った紙の匂い。空気そのものが重く沈んでいる。


 


中には、無数の古文書や帳面が所狭しと並んでいた。棚ではなく、床にも。机にも。全てが“記録”だった。


 


老人「ここが、“死者の記録庫”だ」


 


そう言って、老人は小屋の中央に置かれた木の箱から、一冊の黒い手帳を取り出す。


表紙は擦り切れており、誰かの手の跡が焼きついたように残っていた。


 


老人「これが、君と同じスキルを持っていた男、“レイ”の記録だ」


 


手渡された手帳を、蓮はゆっくりと開く。


最初のページには、達筆な文字でこう記されていた。


 


『何度でも死んでやる。生きるために、俺は死ぬ』


 


ページをめくるたび、息が詰まった。


書かれているのは、ひとつひとつの“死”の記録。どう死んだか、何を得たか、どんな苦しみだったか。


 


『右腕を喰われ、内臓を破裂させられた。痛みは全身に広がり、意識は10秒で闇に沈んだ』


『全身を焼かれ、視界が白く塗りつぶされた。次に目覚めた時、俺は“火耐性”を得ていた』


『守れなかった。強くなっても、間に合わなかった。だから俺は、もう一度死ぬことにした』


 


蓮はページをめくる手を止められなかった。


ページの中に、生きた“声”があった。


何度も死んで、それでも誰かのために死のうとした男の想いが、焼きつけられていた。


 


老人「――君に読ませたかったのは、この部分だ」


 


最後のページ。レイの記録は、こう締めくくられていた。


 


『この力が、“次に持つ者”に渡るのなら――どうか、もう“死ぬ痛み”をひとりで抱えることがないように』


 


蓮は、思わずページを閉じた。


喉の奥が熱い。何かが、心を締めつけてくる。


 


蓮「……本当に、こんな人がいたんだな……」


 


老人「レイは最後、己の命を“村”と“誰か”に託した。詳細は、いずれ君自身が知ることになるだろう」


 


扉を出ると、夕陽が森を赤く染めていた。


目を細めたその先に、誰かの影があった。


立っていたのは――アイリスだった。


 


蓮「……来てたのか」


 


アイリス「“見ておくべき”って、長に言われたから」


 


表情は変わらない。でも、瞳の奥には何かがあった。


それは、懐かしさのようで、痛みのようで――それでも、静かに蓮を見つめていた。


 


蓮「……なあ、アイリス。お前、レイって人のこと――」


 


アイリス「……知ってるよ」


 


一瞬の風が、ふたりの間を吹き抜ける。


その場に言葉は落ちた。けれど、そこから始まる何かが、確かに動き始めていた。


 


蓮「俺……もう、戻れないんだな」


 


アイリス「うん。ここからは、本当に“異世界”だよ」


 


蓮は頷いた。


その瞳に、覚悟の色があった。もう、ただ流されているだけの少年ではなかった。


 


夜が近づく中、ふたりは並んで、村の中心へと戻っていった。


背中にそれぞれの“死”を背負いながら。

第4話を読んでくれてありがとう。


今回は、“同じスキルを持っていた男”――レイの存在と、彼の残した記録を通して、

蓮がはじめて“自分以外の死”に向き合いました。


そして少しずつ見え始める、アイリスの過去と、彼女が抱える想い。


次回、蓮は再び“死”の力を使うことを迫られます。

それは、誰かを守るためか、それとも自分の弱さを超えるためか。


どうか、次回も見届けてください。






※この作品はAIの協力の元作成されています

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