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「マキさんって料理上手だよね」


 テーブルを挟み煮物を美味しそうに口に運ぶのは金髪の美少年。

22歳らしいけど、男臭いところが全くなく『美少年』という言葉がしっくりとくる。


「そう? 口に合ってよかったわ」


 『コウ』という名前と年齢以外は全て不明。

そんな怪しい彼は『あの日』から一週間、私の家に大きなボストンバッグを一つ抱え転がり込んでいる。

 それを許してしまった私も私だけど──



「この肉ジャガ今まで食べた中で一番美味しいよ」


 ──これにやられたの。私、彼のこの笑顔に弱いの。


 少し照れたようにこっちを見ながらする満面の笑顔が子犬みたいで。

 ついつい握りしめてしまった箸がミシッと嫌な音を起てた。

っと、危ない危ない。

この一週間で物を壊し過ぎなのよね。


「……ねえコウくん、大学へ行くのはこのアパートからだとやっぱり遠いんじゃない?」


 そう、今日こそはっきりと言わないと!

さすがに私を婚約者と勝手に呼ぶコウくんとの関係をどうにかしないと!

断ってもコウくんは一歩も譲らないし。


「確かに遠いけど…」

「そうよね。だったら!」

「でも、僕は…マキさんと一緒にいたいんです」


ああ、ごめんね。私が悪かったわ。だからそんな潤んだ瞳で上目使いで見上げないで。

 私はいつも通り一瞬で敗北した。



  …… U^ェ^U♪ ……


「マキさん、いってらっしゃい」


 月曜日の朝、仕事へ出かける私をコウくんはいつもの可愛い笑顔で送り出してくれた。

新婚の新妻に送り出される夫って、きっとこんな気持ちなんだろうな。


 コウくんが私の家に転がり込んで早一週間。

 何度も追い出そうとしてはみるんだけど、彼の悲しげな顔を見てしまうとどうしても『出て行って』という言葉が言えなかった。

 仕事から疲れて帰ると『おかえり』と声がする。

たったそれだけなのに、一人暮らしが長かった私にはコウくんがいる生活はとても温かかった。


  …… U*^ェ^*U ……


電車に揺られること20分と駅から徒歩15分。

立ち並ぶ高層ビルの中の一つ。


我が職場『高坂商事』。


 さて、今日も仕事を頑張りますか!



「おはようございます皆川チーフ! これ午後からの会議の書類です」


 企画科の扉を開けると、待っていましたとばかりに部下の『原澤 結菜』が元気よく書類を差し出した。

今年新入社員として入社したユナちゃんは、明るくみんなに妹的存在として可愛がられている。

自称150センチだと言い張る小柄な身長とすこしぽっちゃりとした可愛い子だ。


「ありがとうユナちゃん、今日も可愛いよ」


 そう言ってユナちゃんを抱きしめると突き刺さるような鋭い視線を感じた。


……だが無視。



 少しぽっちゃりとした身体がコンプレックスだといつも言っているけど、女の子は抱きしめ心地がいいのが一番だ。


「チ、チーフ!」


 視線に気が付いたのか、ユナちゃんが必死に逃げ出そうと腕の中でもがいた。

そろそろ放してあげないとユナちゃんの『お仕置き』がきつくなるしね。


「……皆川」


 おや、嫉妬男からの呼び出しだ。


「何ですか……原澤部長」



11.04.06 改稿

12.06.09 誤字修正

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