表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

人魚が願うこと

作者: 珠歌
掲載日:2021/02/11

私はこの深い海の底他の人魚たちと一緒にお魚たちと戯れながらのんびりと過ごしていた。

たまには、海面にまで上がって星々を見たり人間達の様子を遠くから見たりと……気ままに生活をしていた。


そんなある日、海上から凄まじい音が聞こえた。

私は今まで聞いたこともない大きな音に内心びっくりしながらも興味津々だった。

何がこんなにも大きな音を出しているのだろう……

その音と同時にぴかぴかと色んな光が輝いているのも気になった。


思い切って私は、皆の制止を振り切り海上へと飛び出した。

そこには大輪の花が夜空を覆っていたのである。

それは……後々人魚の長に聞いた話なのだが「花火」というらしい……

人間の世界のことをよく知らなかった私はその「花火」のことを聞いてもっと人間のことが知りたいと思った。

でも、私の周りの人魚は人間の事をよく思っていないみたいで人間界のことをあまり教えてくれなかった。


「何で……皆人間の事を教えてくれないの……?あんなに綺麗なものを作り出すのに……」


私は居てもたってもいられず「花火」の事を教えてくれた、長のところへ向かった。

長は私のことを待っていたかのように人間の事を沢山教えてくれた。

いつからか私は人間の世界に行きたいと強く願うようになっていた。

でもやはり、人間の世界に行っても何も良いことはない!と反対されるばかり……

それから、この海には願いをかなえてくれる神殿が奥底にあるらしくそのことをこっそりと教えてくれた。


そして私は意を決してその教えてくれた神殿へと向かうのだった……




その神殿は本当に海の奥底にあり、私は怖くなった。

でも願いを叶える為なら……自分の身がどうなっても構わなかった。

神殿にあった神像の前に私は泳ぐと、願いを強く込めて


「私を……人間の世界へ連れて行ってください。お願いします……」


と願った……


その時、私と友達であった人魚達は急に私が居なくなって探しに行ったが何処にもおらずてんやわんやな状態だったらしい。

それは後から聞いた話だ。


願いを言った後、神像がうっすらと光だし私はその光に包まれた……

目を覚ますと、人魚であったひれは人間の足へと変わり私は砂浜に横になっていた……あたりは薄暗く今誰も居ないのではないかととても不安になった。

ついに人間の世界へと来れたという喜びでいっぱいだったが、誰も居ない恐怖のほうが上回った。


私は、人魚の世界で暮らしていたほうが良かったのではないか……?人間の世界へ来てはいけなかったのかと後悔の念が押し寄せてきた。

気が付くと私はぽろぽろと涙をこぼしていた。

こんなにも行きたかった人間の世界なのになんと無慈悲で怖い世界なのだろう……すると海から人魚の長が出てきて私に一言こう言った……


「後悔しておるか?」


私は無言でこくりとうなずいた。

「花火」を見て人間の世界に憧れたがこんなにもひどい仕打ちだとは思わなかった……

その様子を見た長は私の足を人魚のひれへと戻してくれた。


「長……ごめんなさい!ごめん……なさっ……!!」


私は長が怒らなかったことに安心してわんわんと泣いた。


「良いんじゃ、もうこれで懲りたじゃろうよ。」


「はい……もう私人間の世界に行きたいなんて言わない。でも……」


「なんじゃ?」


「海上に上がるのは良いでしょう……?」


「……仕方ないのぉ。それぐらいなら良いじゃろう。じゃがもうあの神殿には行くでないぞ。」


「……分かりました。」


そして私の人間の世界へ行くという願いは叶えられたが、やはり今まで暮らしていた人魚の世界のほうがずっとずっと素晴らしいと改めて気付かされたのであった……

海の底で歌うこの歌が……海上にも響き渡りますように……


END

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 願いを叶えてくれた神様(?)は、主人公がそのまま陸の世界で暮らし続けないように、わざと心細い体験をさせたのかなと思いました。怖い思いをした主人公ですが、それでも好奇心は枯れなかったというの…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ