第64話 ヒーラー、奇跡の男と対面する
期間が空いてしまいすいません……就活きつい……
p.s.良い会社ないかな……
俺たちは聖騎士協会の人間である女騎士に高級住宅区に存在する支部へと案内して貰っていた。噂について知っている俺たちを知ってから女騎士は上機嫌な顔をして軽やかな足取りで俺達を建物へと導いていた。先頭を歩くその女性は何かに気が付いたかのように俺たちの方を振り向く。
「そう言えば名前をおっしゃっていませんでした! 私、聖騎士協会部隊長ウォルター様率いるウッサゴ支部担当隊、副隊長のクラリスです! 宜しくお願いします!」
クラリスと名乗るその女騎士は騎士の挨拶として胸に手を当て、俺たちに向けて目を合わせ、軽く腰を低くした。
「副隊長様でしたか、俺はフールと言います。こっちは仲間の……」
「セシリアよ!」
「ルミナです♪」
「私はソレーヌって言います!」
「……です。こちらこそよろしく」
「フール? 何処かで聞いた名前のような……」
クラリスは俺の名前を聞いた時、何か疑問に思っている顔をしていたが、思い出すことはできなかったようだ。
俺……そんなに有名人なのか?
「ねえクラリスさん」
「は、はい! 何でしょうセシリア様?」
「クラリスさん達が所属している聖騎士協会って一体何をしてるところなの? 」
「私達、聖騎士は基本的には派遣された都市や街の平和や秩序を保つ為に都市で守護者として、困っている人達を助けたり、仕事を受け持ったりするのが私達の役目なのです!」
クラリスは胸を張って、鼻を高くし、得意げに聖騎士協会の役割を説明した。まるで聖騎士協会の綺麗なところだけをさらに誇張している感覚があるのは俺だけだろうか?
「凄ーーい! かっこいい!」
「人々の為に働くなんて、素敵です!」
「そうでしょ! そうでしょ!?」
ルミナとソレーヌが話に食いつくとそれに乗っかるようにクラリスも嬉しそうに答えた。
「ふーーん、それでその聖騎士協会も勿論、この都市で起こってる噂も調査してるのよね?」
「う゛っ……」
セシリアのその言葉にクラリスが急に焦り始める。
「あ、えっと、その……調査はしっかりとしております……おりますのですが……」
「……余り進展が無いのか?」
俺がそう言うとクラリスの身体がまるで痛い所を急に突かれたようにビクンッ!っとする。図星か?
「そ、そうなんです……お話を聞こうにも手がかりとなる情報を此処らでは余り出ず、途方に暮れておりました」
「貴族にも聞いたのか?」
「はい……ですが、正直参考になる情報は余りありません。寧ろ、愚痴などを聞かされるばかりで……はぁ……」
クラリスは大きな溜息をついてどんよりとした様子だった。確かに、ここら辺の貴族は話にならないと言うか、他力本願と言うか……クラリスが溜息をする気持ちは分からなくはない。
「大丈夫よクラリスさん、フールと私達が必ず力になってみせるから!」
セシリアはクラリスの肩に手を乗せるとそう言い諭した。
セシリアの言葉を聞いて、クラリスが瞳を潤わせながらセシリアの手を握った。
「セシリア様ぁあああああ‼︎ ありがどうございばずぅ‼︎」
「あはは……」
食い気味のクラリスに少し引き気味のセシリアだった。
こうして、話しながら歩いていると十字架の紋章が付いた建物が見えてくる。
「あれが私達の拠点でございます!」
クラリスが建物に指を指して言う。無事に着けたことに安心しながらそのまま、クラリスについて行く。建物の中へと入り、エントランスを通って左と右に分かれた道の右の道へと案内される。廊下の途中にあった一つの扉を開けるとその先にはテーブルと椅子だけが置かれた一室だった。
「こちらは一般のお客様とお話しする為の面会室となっております! ただ今、ウォルター隊長をお連れしてきますので少々こちらの部屋でお待ちになって下さい。それでは……」
クラリスが軽くお辞儀をすると直ちに部屋を後にする。
残された俺たちは静まり返った部屋の中で椅子に座り、ここに隊長が来るのを待った。静かにしているのも何か間が持たないと感じたのかルミナが口を開いた。
「それにしても……危なかったですね。ここに来て早々、貴族の人に絡まれるなんて。クラリスさんが来なかったら大騒ぎになってたかも……でも、あんな酷い事を言われるなんて思わなかった」
「本当よ! 私達の事……あんな風に言うだなんて……最低よ……」
セシリアとルミナが貴族に言われた言葉を思い出し、視線を下に落とす。
「……すまなかったな2人とも」
俺は2人に向けて頭を下げた。
「え⁉︎ どうしてフールさんが謝るの⁉︎」
「そ、そうよフールは悪くないわ!」
「俺が、感情的になってしまったせいで危うく面倒事が増えてしまうところだった。ごめんな」
俺がそう言うとセシリアは俺の右手をルミナは俺の左手を握り、俺と目を合わせた。
「フールは悪くない。寧ろ、正論を言ってた。あんな風に貴族に向かって正論を言える人は少ないわよ。それに……私、心の底から嬉しかったから」
「はい! フールさんは私たちを庇ってくれたんですから! それだけでも感謝感謝です!」
セシリアとルミナが笑顔で俺に言う。その言葉も2人に握られたてもとても暖かった。
「2人とも……」
「全く……かっこよすぎなんだから……」
「……なんか言ったか?」
「何でもない!」
「セシリー顔真っ赤♪」
「う、うるさい!(顔に出てた⁉︎)」
2人のいつも通りの会話が目の前で起こり、笑顔になっているのを見て少し安心した。すると、後ろから俺の腰に手を回してソレーヌが抱きついてくる。
「ソレーヌ?」
「わ、私だってフールさんは良い人だと思ってますから‼︎」
ソレーヌの顔がよく見えなかったが、耳の先が真っ赤に赤くなっているのだけ見えた。一体どうしたのだろうか……
取り敢えず、俺はソレーヌの頭を優しく撫でてやった。
「ありがとな」
「むぅ……(フールさん……♡)」
静かに撫でられ続けるソレーヌ。ソレーヌも優しくて良い子だ。
そんな感じで話していると、突然客室のドアが開けられる。入ってきたのは白いスーツを身に纏った、銀色で短髪の美青年が入ってくる。俺たち4人の光景を見て、一つ咳をすると、俺たちの目の前に立った。それに合わせて、3人はいそいそと席に座り直す。
「クラリスから話は聞いているよ。貴方が有力な情報提供者らしいな」
「ああ」
「お初にお目にかかる。私は聖騎士協会ウッサゴ支部、新第一大隊隊長のウォルターだ」
そう言って、ウォルターは俺に向けて右手を差し出してくる。
「ああ、改めて俺は……」
そう挨拶をしながら俺もウォルターに右手を差し出そうとした時だった。
ウォルターが口を開く。
「君の事は知ってるよ……フール君」
その言葉に俺は差し出そうとした右手が止まる。
「……クラリスさんから聞いたのか?」
「勿論、クラリスからも聞いたが……君は有名人だからね」
「何だって?」
この時、俺の中で嫌な予感がした。そして、その予感は的中することになる。
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