第58話 "知神"玄武と"幻神"白虎
後書きにて新情報があります!
突然に姿を現した”知神”玄武の姿を目の当たりにした俺たちは、すぐさま武器を構える。
しかし、玄武は落ち着いた口調で片方の竜が淡々と話始める。
「安心せい、儂は今すぐにお前達を襲うことなどせん……白虎よ! 出てこんか!!」
玄武がそう言うと、暗闇から姿を現したのは黄色い目以外、真っ白な色をした虎が重い足取りで歩みを進め玄武の隣へとやってくる。正しくこいつも四神災害の一柱”幻神”白虎だ。
「さっきの魔物はこやつの力じゃ……ここに姿を潜めておったのじゃが、まさか人間が迷い込んでくるとは思わなかったのじゃよ。じゃから、白虎の力でちょいと追い出してやろうかと思ったのじゃけれども、まさかまさか……突破されると思いも寄らなかったわい! カッカッカ!」
人間のように流暢に話し、笑う玄武の隣で白虎は静かに佇んで俺たちの事をその鋭い目でじっと見ていた。
「魔物が会話できるなんて……不思議……」
「そうじゃろお嬢さん……儂は四神の中でも唯一、人間と口がきける老いぼれじゃよ」
セシリアの言葉にも反応して会話が出来ている様子から、こちらの言葉も理解できていることが証明された。
口がきけるのなら話は別だ。今、こいつらは一応敵対的ではないためここは穏便に話を聞くことにしよう。
「お前達はどうしてここにいいる?」
「どうしてここにおるかじゃって? 儂らは逃げてきたんじゃよ……儂らを復活させたものから」
「復活させたもの?」
「儂らはもともと……アビスフォールと呼ばれる場所で長い間封印されておったのじゃ。しかしある時、儂らの封印を解いた悪しき人間がおったのじゃよ……」
玄武は心なしか少し悲しそうな口調でそう話す。
「その悪しき人とは誰なんですか?」
ソレーヌの質問に玄武は少しだけ言うまいか踏みとどまるが、もう玄武のもう片方の頭が口を開く。
「バルバドス王国の王である男……名はバルバドス」
「バルバドス……だと?」
「バルバドスって……あの?」
俺とセシリアはバルバドスという男の名を知っていた。いや、知らなくては成らない人物だった。なぜなら、その男は王で有りながらこのソローモ世界のギルドの頂点に君臨する ギルド総取締会長なのだから……
2人が驚いている様子を見て、老人口調の竜が口を開いた。
「その顔は知っておるという顔じゃな? それならば話が早い……あやつはただならぬ悪意のオーラを纏っていた。儂らを復活させ、儂らをだしにしてはギルドの評判を上げ莫大な富、バルバドス自身の名声、そして儂らと一体化し力を手に入れようとしておった。儂らの仲間である朱雀が暴れ回っていたのもバルバドスによる命令による物じゃ。そして、各地のギルドがこぞってかの魔物を討伐せんとやってきては命を落とさせ、まるでギルドが必死で民の為に戦っていると見せかける……間接的な自作自演を行おうとしていたのじゃ……勿論、普通の人間が勝てるような相手でもないのじゃから、最早負け戦状態なのじゃ……」
「じゃあ……それならカタリナ達は……」
セシリアは顔を青くする。勿論、俺もそれを考えていたところだ。
「恐らく……そのうちの1人になるところだったのかも知れない……」
最初から勝てるはずがない敵へカタリナ達を派遣したのか……
そう、俺たちとカタリナが出会っていなかったら恐らく本当にカタリナ達はこの世からいなくなっていただろう……
そう考えると……幸運なのか……それとも……
「じゃが……朱雀は倒され、アビスフォールへと魂は戻った。お前達じゃろ? 朱雀を倒したのは? なに、隠さなくても良い……白虎の幻術体を突破したその力が証明じゃよ。だからと言って儂らはお前達に手出しなどせん……まぁお前達が敵対するなら話は別じゃがな。話は戻すが儂らはバルバドスから逃げて、ちょいとここに暮らしておったんじゃよ」
なるほど……白虎はよく分からないが玄武の言うことは聞くようだ。それに、玄武は俺らに対しての敵対心はないようだな。しかし、この質問でその話も変わってくるかも知れない。
「玄武、お前達の暮らす地下の上にはウッサゴという商業都市があるのは知っているだろ? 最近、地盤が至るところで変化し続けていると言う話があるんだが……知らないか?」
俺がそう聞くと、玄武の顔色が変わった。
「それは儂がやってるんじゃよ」
やっぱりそうだった。こんな大がかりなことはS級モンスターでさえごく一部のものしか出来ない。しかし、ウッサゴのような大きな都市の土地を動かすとなると膨大な力が必要になってくる。
「どうしてだ?」
「勘違いして欲しくないのは儂らが悪意を持って行っている行為ではないのじゃ。この上の都市は賑やかで明るい……しかし、その反面に真っ暗な闇も存在するのじゃ。儂らはそんな悪意を持った者から大切な物を地盤を変えは奪い、儂たちのコレクションにしておるのじゃ」
「コレクション?」
「では特別に見せてやろう」
玄武は2つの首を伸ばすと大きな雄叫びを上げる。すると、地面の土が変形していき、平らな地面はどんどん隆起して行く。俺たちが立っている地が揺れ、小刻みに揺れる。まるで地盤が生命を持って移動しているようだった。
そして、最終的に隆起された土が割れると中から眩い光を発して輝く金銀財宝が目の前に現れたのである。
「これが本当の”財宝”じゃない!!」
「ま……眩しい!」
セシリアは耳を立てて興奮し、ルミナはあまりの眩しさに盾で顔を隠す。
「これほどまでのお宝……初めて見ました」
「こ……こんなにお金が」
「凄い……」
ソレーヌを含め、アルとイルもその財宝の輝きに見とれていた。
「ほっほっほ! 凄いじゃろ? この土地の貴族という輩から奪ってやったのじゃ。今頃、汚い人間たちは焦っておろう。富しか持たぬ愚かな人間たちじゃ」
得意げに財宝を見せ、上機嫌な玄武だったが俺には疑問があった。
「人から物を盗むなど、それではお前も悪党とやっていることは変わらないではないか? それに貴族が一体何をしたって言うんだ?」
俺がそう言うと、もう片方の冷徹な口調の玄武の頭が口を開いた。
「簡単だ、この国の”貧困区”を作ったのはすべて貴族たちの仕業だからだ」
「パパ……」
その時、イルがふと小さく呟いた。
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