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第52話 ヒーラー、パトラ行きつけの宿屋へ

 商都に入るとまず耀げな”商店区”が俺たちを迎えてくれた。明かりがともったその商店区は一本道の脇にいくつもの店が立ち並んでいた。武具や道具屋、レストランに雑貨屋など幅広いジャンルのお店屋さんが立ち並んでいた。馬車が走るための道路をゆっくりと進みながら周りを眺めているが絶えず人が流れてくる。中央都市よりもこんなに人がいるのは凄いことである。


「うわーー見て見て!! あそこの服屋さんの服可愛い!!」


 セシリアが目を光らせて荷馬車から顔を出し、ガラスのショーウィンドウに並べられたマネキンに着せられている服を見て大興奮している。運転席に風圧が伝わるほどに尻尾を振っている。女の子はあーーゆーーフリフリしたの好きだもんな。でも、セシリアなら似合うかもしれないな。


「クンクン……んんぅ~~♪ 良い匂い♪ お腹減っちゃうよぉ」


「凄い! あの人、人前で歌ってる! 恥ずかしくないのかな」


(うふふ……明かりが綺麗)


 レストランから出る料理の臭いを嗅いでお腹を鳴らすルミナ、ギターを奏でながら歌うストリートミュージシャンに驚いているソレーヌ、そして急に話始めて少々驚いたがシルフもウッサゴに来てから楽しそうにしていて何よりだ。


「うはぁ~~おいらもお店欲しいんだぞ……」


 運転席の助手席にちょこんと座り、外を眺めるパトラは一軒一軒のお店を羨ましそうに見ていた。俺はパトラの頭を撫でるとパトラがこちらを向く。


「大丈夫だ。いつかお前は大きなお店を作れる」


「お、おう! オイラ体は小さいけどどの店よりも大きな店を絶対建ててやるんだぞ!! そしたら、フールたちをお得意さんにして商品もお安くおもてなししてやるんだぞあっはははーー!!」


 パトラの機嫌が戻ってよかった。会話をしながら渋滞続きの道路を進みつつ、ある程度のところまで向かうと荷馬車を預ける”有料駐馬場”に入った。

 ここでは長距離移動で用いられる馬車を預けていくことができる施設で大体ここに来ている人々は使用しているところだ。一週間500Gと値段もそこまで高くないので前払いでお金を出して馬を預けた。

 そこからは徒歩でこの商都を歩くこととなる。とりあえず、宿泊先を見つけなくては。

 ここは宿泊施設も充実しており、格安から高級な宿屋まで幅広く置かれている。

 勿論、俺たちはそんな高価な宿屋に泊れるほどのお金は持っていないので中級クラスの宿屋を探すことにした。


「オイラに任せろ! ある程度のウッサゴの施設は把握しているつもりなんだぞ。オイラも見習い時代にお世話になった宿屋があるから案内するぞ!!」


 自慢げに言うパトラの言葉を信じてパトラの言うおすすめの宿屋へと向かうことに決めた。

 俺たちは商店区から少し離れた一般住宅区まで歩いてやってきた。商店区とは違い、人の数は減って住宅の窓から火の光が点々と見えている。ある家からは夕食の匂いが風に乗ってやってきたり、楽しそうな笑い声が聞こえてきて生活感を感じることが出来る。


「着いた! ここだぞ!!」


 気がつくともう宿屋の前へとやってきていた。外見は至って普通の宿屋だが別に看板があるという訳でもなく、派手な装飾もあるわけではない。まるで隠れ家のような場所だった。


「へぇ~~落ち着いたところね」


「私こういうところ好きです」


 早速、木製の扉に手をかけて宿屋の中へと入った。入った瞬間、小さなロビーで床を箒で掃除している金髪ポニーテール少女の後ろ姿が見えた。


「おーーい、カナーー! オイラが来たぞーー!!」


「えっ?」


 パトラの声にポニーテール揺らしながら振り返る少女はパトラを見ると箒を投げ捨て、パトラに抱きついた。


「パトラーー♪ また来てくれたのねーー♪」


「おう! 元気だったかカナ?」


「元気だよ~~今、お母さん連れてくるから。おかあーーさーーん!!」


 そういって少女は受付の奥へと駆けていく。そして、数秒でも戻ってきた。


「お母さん!! パトラがまた来たよ!!」


「おう! カリンさん、また来たんだぞ!」


「あらあらいらっしゃい♪ 後ろにいらっしゃるのはパトラちゃんのお友達かしら?」


 1つにまとめて編んで横に垂らした金髪と口元のほくろが色っぽい女性が奥からやってきた。


「こいつらはオイラの仲間達だ!」


「フールです。冒険者をしています」


「私はセシリア!」


「ルミナです♪」


「ソレーヌって言います」


 全員が揃ってお辞儀をすると突然少女がセシリアとルミナを見て、目を光らせた。


「獣人さんだーー♪ 頭の耳が可愛い!! もふもふしたいよぉ!!」


 そう言って少女はセシリアの猫のような肌触りの良い獣耳を、ルミナの犬のような柔らかい獣耳をもふもふし始めた。


「ひぇ!? ちょっとくすぐったいわよぉ!?」


「急に耳はだめですぅうう!!」


 突然耳を触られた2人はくすぐったそうに顔を赤くしていた。そんなことも知らずに少女は2人の耳をモフり続ける。


「こ~~ら、いけませんよカナ! お客様がお困りですよ」


 そう言って、女性は少女のコツンと叩いてセシリアとルミナから少女を引きはがした。


「申し遅れました、私はここの宿屋の女将であるカリンと申します。この子は私の娘のカナです」


「よ、よろしくお願いします!!」


 2人の丁寧なふるまいから人の良い方たちで安心した。ここなら、みんな安心して寝泊まりができる環境を提供してくれるかもしれない。

 ここを紹介してくれたことに感謝しないと……


「じゃあ、早速なんですけど宿泊の手続きをお願いしたい」


「分かりました……ではこちらへ……」


 カリンの言葉で宿の受付をしようとした瞬間、後ろの扉が勢いよく開かれる。そして、息を切らして駆け込んできた者たちが居た。


「お願い!! 私たちを匿って!!」


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