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第51話 ヒーラー、商業都市へ向かう

 バール国での報告を終えたフール達は再度旅立ち、アガレス国の最北端にある商業都市ウッサゴへと荷馬車を走らせた。商業都市ウッサゴはその名の通り商業が盛んな都市で色々な商品がそこでは絶えず取引が行われていると言うのだ。一般市民から商人までやってくるので人口も比較的多い。

 俺は今回ウッサゴへ行くのは初めてだったから、ウッサゴ出身のパトラに案内を任せようと思う。


「パトラ、ウッサゴってどんな所なんだ?」


「すっごくお店が多くて面白いんだぞ! ただ、ちょっと治安が悪い面もあると言うか……」


「治安が悪い面?」


「ウッサゴは一つの都市だけど4つの区に分けられてるんだぞ。様々なお店が建ち並ぶ"商店区"、普通の市民達が住んでいる"一般住宅区"、上流階級謂わば『貴族』達が住んでいる"高級住宅区”、貧困な者たちが集う”貧困区”に分けられているんだぞ。しかし……オイラが住んでた時からある噂だけどウッサゴにはもう一つ隠された区がある。それは”奴隷区”と呼ばれる場所で闇商人たちが取引する商品として様々な種族達が住んでいると言われてるけど、オイラは見たこともないだぞ。だから噂程度にしか聞いてないけどそういう噂が立つほどだから注意は必須だぞ!」


「うぅ……今からそこへ行くのに怖いこと言わないでよ……」


「セシリアも裏路地に連れて行かれて売り飛ばされちゃうかもだぞ?」


「ちょっと怖いこと言わないでよパトラ!!」


 住んでいたパトラが言う事だから、かなりの説得力がある。とりあえず商都を歩くときはこいつらの為にも注意しなくては。

 そして、俺たちは丸一日をかけてようやく商業都市ウッサゴに近づくことができた。日は沈み、薄暗くなってきていたので早く都市に入りたいと思った。しかし、近づいていくにつれて俺たち以外にもこの都市に入ろうと長い列を成していた。周りの荷馬車の中身を見ると果物や武具などから恐らく行商人であろう。

 ウッサゴは裏は山脈、正面は防壁に囲まれた隔離都市で人が行き来できる入り口は一つしかないため、こうやって列ができるらしい。


「な……何だこれ?」


「うわ~~凄い並んでる」


「なんだか人がいっぱいいると楽しみですね!」


「き……緊張してきました。こんなに人がいっぱいいるところに行くのは初めてです」


 セシリア、ルミナ、ソレーヌは荷馬車から顔を出して外を興味津々に眺めている。


「おお!! 懐かしいな!! オイラには分かるぞ! これあと2時間かかるやつだぞ!!」


「2……2時間か……」


 そして……俺たちは2時間、セレナから頂いたドライフルーツを食べながら空腹を満たしていると、ようやく入口へ入るための検問が俺たちに回ってきた。

 長槍(ロングスピア)持った大柄の男二人が前に立ち、ウッサゴへ入る通路を遮ると横からペンと紙を持った男が俺の方へと近づいてくる。


「長旅お疲れさんです。入場の前にいくつかの質問と資料提出を。まず、滞在期間と目的を教えてください」


「大体1週間、ウッサゴで起こっている地盤変動の調査をしに来たんだ」


「え⁉ てことは聖騎士協会の方ですか?」


「いや、そんなのではないけど訳ありでね。これが証拠だ」


 そう言って、俺は自分の冒険者証とバール王から頂いた特別階級証を見せた。


「こ、これは特別階級証⁉ しかも、バール王がお認めになった冒険者の方でしたか!! まさか、バール国からの応援が来ていただけるなんて思いもしませんでした!! お待たせしてしまったことをお詫び申し上げます!!」


 突然驚いた顔をした兵士の男は何度も俺に頭を下げてくる。凄いな特別階級証……


「いや大丈夫だ。そんなことより、この商都で起こっている地盤変動の事件について教えて欲しいんだが」


「その話なのですが、私たちよりも調査をされている聖騎士協会の方々の方が詳しいと思われます。この件に関しては聖騎士協会が受け持つと言い、住み込みで現在調査を行っているみたいです。聖騎士協会は高級住宅地を拠点にしているので宜しければ明日にも訪ねてみてはいかがでしょうか」


 バール王の言っていた聖騎士協会とやらがすでに調査をしてくれているのか、それならば大体の情報を集めているに違いない。期待はできそうだ。

 しかし、拠点が高級住宅地とは……全くいいご身分だ。


「ありがとう、明日にも訪ねてみるよ」


「はっ!! それでは入場を許可いたします。ようこそウッサゴへ!!」


 男の言葉と共に道を塞いでいた二人がロングスピアを納め、ウッサゴへの道を開いた。俺は再度馬を歩かせる。

 ウッサゴへと入る頃には日は完全に沈み、商都に火が灯される時間になっていた。少し遅くなったが、俺たちは商業都市ウッサゴへと入場することができたのだ。



最後までお読みくださりありがとうございます!


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