第47話 カタリナ、報告する
これにて……第2章完結です!!
皆さんの応援があったからこそここまで来られました!本当にありがとうございます(ノД`)・゜・。
第3章も頑張りますので是非ともこれからも応援よろしくお願いします!!
次回は幕間を挟んでから第3章に入ります。
朱雀討伐が完遂したその後、カタリナ達は一度アガレスへと戻った。そして、すぐにギルドマスターであるクレドの部屋へと向かった。
カタリナはギルドマスターの部屋の前へと来ると三回扉をノックする。
「入れ」
クレドの声を聴いてすぐに部屋の中へと入った。
「失礼しますマスター」
「うぃーーす」
「失礼しますね」
「おっひさー」
4人が大量の本が積み上げられたクレドの机の前に並んだ。クレドは一口だけ紅茶を啜りながらカタリナ達に目を向ける。
「大分、装備がボロボロじゃないか。朱雀討伐の進捗は順調なのかね?」
「はい、たった今……朱雀を討伐して参りました……」
「……何? 本当か?」
クレドは手に持っていたカップを置いて、驚いた顔で立ち上がる。
「勿論、私たちだけでは太刀打ちできないほど強力な敵でした。ですが、現地で出会った我々と目的が同じであった無名の冒険者パーティと協力し、見事討伐までに至りました。いや……殆ど、その冒険者パーティの者たちが朱雀を倒したと言っても過言ではないでしょう」
「……ほう、そうか」
クレドはゆっくりと椅子に座り直し、椅子をまわして窓の方を見る。そのクレドの後ろ姿からはまるで朱雀討伐に対しての喜びの様子を感じ取ることができない。寧ろ、カタリナの報告を聞いて想定外だったと思わんばかりのリアクションをカタリナは気のせいだとこの時は思うしかなかった。
クレドもギルドマスターとしての仕事が忙しい。バールのギルドが解散してしまったことによって2国分のギルドの運営をしなくていけなくなり、仕事の量はクレドの机の上から察することができる。そんな状況下ではしゃぐ者もいないだろう。
「みな、ご苦労だった。これからの処置としては現場に密偵を送り、討伐の確認が取れてから後にまた連絡しよう。それまで、ゆっくりと体を休ませ次の仕事の準備をするように。カタリナだけここに残れ。それ以外は下がれ」
こうして、この部屋にはカタリナだけが残り、他の者たちは部屋へと出ていく。クレドとカタリナが二人きりになると、クレドが立ち上がり、カタリナのいる正面を向いた。
「カタリナ、改めて朱雀討伐の依頼ご苦労だった。しかし、私は君たちを助けたその冒険者パーティと言うのが気になる。リーダーは誰だ?」
「はい、回復術師のフールと言う男です。バールの国からやってきたと聞きました」
「フール? ……フールだと?」
そう言うと、クレドは机の引き出しを開けると一つの封筒を取り出した。そして、封筒の中には手紙が入っており、それを見た。
手紙の見出しには”要注意人物について”と書かれている。その手紙には、
「今回、エンシェントドラゴンがバールの国に襲来し、国は多くの被害を受けた。しかし、私たちが問題としているのはそれではない。その、エンシェントドラゴンを倒し、国に称えられた男についてだ。その男の情報は”フール”と言う名前と”回復術師”である職業、そして”人間離れした魔力”と言う事しか知らない。”人間離れした魔力”は恐らく、特殊能力によるものだと予想するが彼の力は我々の計画の妨げになる可能性が非常に高い。また、この男とS級冒険者の証言によってアーカムは捕えられた。今後、”フール”と言う男に動きがみられるようなら報告書として適宜まとめるように。また、我々の計画に影響を与えると思われる者たちは何者であっても『排除』しろ。君の活躍を期待している。 ギルド総取締会長より」
そう書かれていた。
その手紙をクレドは何度も読み返す。特にフールの名を。
クレドは手が震え、スキンヘッドの頭から脂汗がにじみ出てきた。そんな様子をみたカタリナが不思議そうに見ている。
「マスター? どうかなさいましたか?」
「……い、いや何でもないんだ」
クレドはその手紙を雑多に引き出しに戻し、カップを手に取って紅茶を啜った。ポケットからハンカチを取り出し、頭から顔へと全体の汗を拭きとる。
「分かった……カタリナよ、その冒険者について何があったのかリーダーの責務として報告書にまとめ、提出を頼む」
「了解した。マスター、一つだけ宜しいだろうか?」
「なんだ?」
「フールと言う冒険者は私たちの恩人だ。だから、朱雀討伐の確認が取れたら報酬を渡してやって欲しい。私の分などどうでもよい、私は……あいつらに命を救われたのだから」
「……そうか、お前がそう言うのは珍しい。考えておこう」
カタリナはクレドの言葉を聞いて深々と頭を下げた。
「ありがとうございます」
「うむ……ところでカタリナよ、セシリアと言う名の獣人の娘についてはどうだ?」
「はい、手掛かりをつかむことができました」
「何⁉ 本当か⁉ どこだ? どこにおるのだ?」
セシリアの話を聞いた時、クレドの顔が変わった。朱雀討伐の報告の時よりも反応が良いクレドをみてカタリナはやはり疑問に思ったが言葉にはしなかった。
「その……冒険者パーティの一員として活動しているようです」
「どこだ⁉ そのパーティは? 誰がリーダーだ?」
「フールです。先ほど申した朱雀討伐の一人として共に戦いました。彼女の戦闘センスは天才的です……私も学ばなくてはならないところが多いです」
「ま……まさか……セシリアが……奴の元に……?」
カタリナはクレドの顔が青ざめていくのが見えた。やはり、カタリナもクレドの挙動が明らかにおかしいのを感じることができた。
「マスター、セシリアと何かご関係があるのですか?」
カタリナがそう聞くと、クレドは机を力強く叩く。
「貴様には関係ないことだ!! 要らんことに口を挟むな!! もう良い!! 下がれ!!」
「……失礼します」
カタリナは疑問符を浮かべながらも激怒したクレドの様子を見て、これ以上触れないようにと考えると静かに部屋を後にした。
カタリナが部屋を出た後、一人になったクレドは頭を抱えていた。
「お……おのれぇ……フール……貴様、私の可愛いセシリアを……たぶらかしおって……ばかな⁉ セシリアはこのギルド屈指の落ちこぼれだったはずだ⁉ なのに今は天才? 前衛として活動? ふざけおって……」
クレドは一枚の紙を取り出すと密偵に対しての調査依頼を急いで書き始めた。
「あいつはいつでもクビにできたんだ……それをくみ取って、私がどれだけ面倒を見てやったと思っている!! 許せん……すぐにでも私の元へと帰ってきてもらうぞ……ふふふ……ふっはははははは!!!! 待っていろセシリアーーーー!!!」
クレドの頭から血管が浮き出し、狂ったかのように仕事を始めるのであった。
一方でギルド内の廊下を歩くカタリナはクレドの対応に疑問を抱いたままであった。
「クレドは朱雀討伐の件……あれでどう処理されるのだろうか? 言い方が悪いが……少し乱雑ではなかっただろうか……それに、討伐したと聞いた時のあのクレドの顔……まさか、私たちが朱雀の討伐などできるはずないとでも思っていたのか? 分からない……一体何なのだ」
そう考えながら歩いていると、向こうから歩いてくる人影が見えた。高身長で大きい胸、特徴的な黄色いぼさぼさの髪で誰なのかすぐに分かった。
「カタリナ……」
「ライナ、どうした?」
「め、飯食いに行かねぇ⁉ あ……あたいと食いたくねぇのか⁉」
ライナは顔を赤くして言うその様子を見て、カタリナはさっきまで考え事で凝り固まっていた頭が少し緩くなっていくのを感じた。ライナに向けて、少し微笑むとカタリナはライナの肩を優しく叩いて、ライナを通り過ぎる。
「私の行きつけで良ければそこへ行こう。おごるわよ」
カタリナの言葉を聞いてライナは一瞬、体がかたまったがすぐに返事をする。
「お、おう!」
そうしてライナはカタリナについて行き、ギルドを出ると街の中へと向かったのであった。
最後までお読みくださりありがとうございます!
【作者から皆様にお知らせがあります】
「この作品が面白い!!」
「物語の続きが気になる!!」
「第2章完結おめでとう!!」
そんな風に思ってくださったら是非ブクマ、評価ボタンを押して応援してくださると嬉しいです!!
作者が泣いて喜び、執筆速度が向上します(本当です)
下記の評価ボタンを【☆☆☆☆☆】→【★★★★★】にして頂くだけでとても励みになります!!
皆様、応援とご協力をよろしくお願いします!!