第144話 ”巨大蛇”レヴィ―ア VS アル&イル②
奈落ノ深淵入り口周辺の谷間にて、空中を舞う竜とそれを追う大蛇の攻防が繰り広げられていた。
竜は大柄でありながらも、華麗なる空中技によってレヴィ―アの隙間を、崖の合間を縫ってレヴィ―アの攻撃を華麗に避ける。一方で竜よりも更に巨大で脅威的だと思われていたレヴィ―アだが、自分よりも小柄な竜に翻弄され、苛立ちを見せていた。噛みつく、巻き付き、薙ぎ払い、全ての体術を行うが一向に攻撃が当たることはなかった。
「ちょこまかと動き回りやがって!!」
「へへん!! 鬼さんこちら――だ!!」
「むきぃいいいいい!!!!」
こうして、戦っている2体だが勿論アルたちにの方にも弱点があった。それは攻撃するタイミングと威力だ。レヴィ―アは攻撃の手を辞めず隙が見つからない。更に、もし仮に攻撃を与えられるタイミングが来たとしても体の大きさ的に致命傷を与えられる力をこちらは持っていない。攻撃を受け止められて、そのまま返り討ちを喰らってしまうだろう。どうしようかと2人が悩んでいると、イルがあることを思いついた。
「お姉ちゃん、良い方法思いついたんだけど……」
「え!! 何々!?」
アルがイルの方を向くと少し曇った表情をしていた。
「あいつを倒す方法、思いついたんだけど……この方法だとお姉ちゃんが危ないから」
「何それ!! 早く言って!!」
妹の心配を他所に姉はものすごく乗り気な様子である。
「で、でも危ないから」
「みんな頑張ってるんだよ!! 私がやれることは全部やりたいの!!」
無鉄砲なアルは後先を考えることは無い。それは妹としてイルも分かっていた。だから、イルは諦めてその旨を伝えることにした。
「お姉ちゃんの持っている能力を使えば、あいつをすぐに倒せるんじゃないかもって!!」
「ああ!! 確かに!! 忘れてた!!」
「忘れてたって、お姉ちゃんしっかりしてよ!!」
「えへへ、だってお父さんの操縦でいっぱいいっぱいだったし」
そう話していると、竜の身体が大きく揺れた。
イルと話をしていたことで集中力が切れ、レヴィ―アの身体に竜の羽が等々当たってしまったのだ。竜の体のバランスを直そうと必死になっているところをレヴィ―アは逃すはずがない。
「やっと捕らえたぞ!! 死ねぇ!!」
レヴィーア大きな口を開けて大地巨竜へと食らいつく。口の中に入った竜は力なく、生命が終わりを告げるようにさらさらと砂に帰っていく。砂が奈落の底へと虚しくさらさらと落ちていく。
口の中に残った砂を吐き出して、レヴィ―アは高らかに笑う。
「はっはっは! ざまぁ見やがれ!!」
しかし、戦いに高揚していてすぐには気が付かなかったが、冷静になってある違和感をレヴィ―アは得た。確かに大地巨竜を倒したが2人の姿がないのだ。口の中にも感触はなく、谷間へと落ちていった様子もなかった。
レヴィ―アは嫌な予感がし、目線を上にあげると、なんと2人はそこにいた!
先ほどの竜よりもギリギリ2人が乗れるほどの小さな人型に羽が生えた何かに乗っていた。
実は食べられる直前、イルの【人形操師】の力でぬいぐるみを土人形にさせ、アルの【地母神】の力で土人形に羽を生み出させ、2人で【飛行人形】を作って脱出したのだ。
「何っ!?」
見上げた頃にはアルは攻撃の準備ができており、短剣を構える。
「お姉ちゅん今だよ!!」
「たぁあああああ!!」
アルは大きく飛び出し、レヴィーアの額に短剣を刺した。刺した途端、アルは強い願いを声に出して叫ぶ。
「倒れてぇえええええええ!!!!」
すると、アルの世界的特異能力【破壊者】の能力が行使され、大きな光を生み出す。
「て、てめぇええええええええええええええええええええええええええ!!!!」
レヴィ―アは大きな断末魔を叫びながら、短剣から生まれた傷から生まれた光に飲み込まれると、光と共に姿は消えていった。
全てをやり遂げたアルはほっと安堵するが、今度はアルが谷間へと落下していく。全てをやり切り、アルはほっと目を閉じた。
「おねえちゃーーーーん!!」
叫び声で目を開けると飛行人形に乗ったイルがアルの手を握っていた。間一髪、アルが落ちる前にイルが救い出すことができた。イルがゆっくり引き上げるとアルに抱き着いた。
「ほんとによかった……姉ちゃん、やったね!!」
「……うん!」
アルとイルは飛行人形に乗りながら、大地へと戻っていく。しかし、先ほどの戦いの疲労で大地巨竜を生み出す力は残っていない為、戦うことはもうできない。イルが高度を上げ辺りを見回すと、戦場から離れたところに騎士達のキャンプが見えた。恐らくあそこに行けばひとまずは何とかなるに違いないだろう。
「お姉ちゃん、一旦戻ろう」
「でも、フール達が」
「大丈夫だよ、それにお姉ちゃんずっと頑張ってたから少しやすもうよ」
「……うん」
そう言って、アルは気絶するようにイルにもたれかかって寝てしまった。
イルは戦場の上空で敵に気づかれないように飛行人形を操縦し、騎士達のベースキャンプへと向かっていく。こうして、小さな戦士たちは巨大な脅威を打倒すことができたのであった。
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