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第137話 アビスブリッジの死闘②

 俺たちの進む道に四大天、レヴィ―アが待ち構えていた。

 レヴィ―アは背中から大槍を取り出すと振り回しながらこちらへと向かってくる。


「あっはははははは!! さぁ! 私と一緒に()り会いましょうか!!」


 今までの可愛らしいかったレヴィ―アの顔は、戦いに狂ったかのように歪んだ顔となっていた。


「そこをどけ!! ”火球”!!」


 俺は片手に火球ノ杖を出現させ、少量の魔力を注いで即座にレヴィ―アに向けて投擲した。俺の火球は少量であっても上級魔法”大火球”以上の威力がある。この攻撃を喰らえば、馬に乗っていてもすぐに吹き飛ばされて落馬してしまうだろう。そう思っていたが、レヴィ―アはその火球を避けようとはしなかった。


「てやぁああああああ!!!!」


 レヴィ―アが大槍を回転させながら俺の火球へと突っ込んでいく。火球はレヴィ―アに直撃した。大きな煙が立ちあがり、レヴィ―アの姿は捉えられなかった。

 やったかと思ったその時、煙を掻き切るように現れたのはレヴィ―アだった。彼女には一切傷を与えられていなかった。


「きゃっはははははは!! 回復術士の分際でそんな魔法で私を止められると思わない事ね!!」


「なに!?」


 俺たちの荷馬車とレヴィ―アが近づいてくる。レヴィーアは馬の上で立ち上がると高く飛び上がり、大槍を俺に向けて振り下ろしながら俺たちの荷馬車に乗り込んできた。

 俺は咄嗟に持っていた杖で大槍を受け止める。180㎝の巨体が勢いよく乗ってきたことによって荷馬車のバランスが崩れ、速度が若干落ちる。俺が手綱を放してしまった為、パトラのみの

 単独運転状態になっていた。


「あわわわ!! フ、フール!! 不味いんだぞ!!」


「パトラ! 俺にかまわず運転を頼む!! 絶対に馬を止めるな!!」


「お、おう!!」


「あははぁ、随分余裕があるみたいだね!!」


「くぅ!!」


 この女……力が強すぎる!


 俺とレヴィ―アの鍔迫り合いによってさらに大きく荷馬車が揺れる。隣ではパトラが俺の分の手綱を握りながら必死に操縦していた。このままではこの荷馬車自体を消耗させてしまう恐れがある。

 止むをえないがこうするしかなかった。


「パトラ! あとは頼んだぞ!!」


「ちょっ!? フール!!」


 俺はレヴィ―アを杖で巻き込んで、俺の身体もろとも荷馬車の外へと落ちた。石橋の上へと叩きつけられ、仲間の乗った荷馬車は俺たちを置いて走り去っていく。

 こうなってしまった以上、奈落ノ深淵は仲間たちに任せるしかない。


「へぇーー結構ガッツあるじゃない。いや~~ん素敵♡」


「ふざけるな! 俺は今すぐにでもお前を倒して、仲間の元へ向かう!!」


「威勢は良いんだよねーー、でも回復術士さんの弱点は知ってるんだよねん♪ 仲間が居ないと何もできない事」


 レヴィ―アは瞬く間に大槍を突き立て俺に向かってくる。紙一重でレヴィ―アの杖を受け止めるがレヴィ―アの馬鹿力によってノックバックし、体制を崩してしまう。


「魔法行使の時間さえなければお前はただの木偶の坊に過ぎないのさ!! ひゃーーはははは!!」


 レヴィ―アは息もつかせぬ程に槍術を畳み掛けてくる。俺は攻撃する手段を持っておらずただひたすらに攻撃を受け流す事しかできない。


「あは♡ あは♡ どうしたのカナ? もうへたっちゃう……の!!♡」


 レヴィ―アが最後の言葉を言い終える時、連撃最後の渾身の一撃が俺の火球ノ杖が攻撃に耐えきれず折れてしまったのだ。


「杖が!?」


 折れた杖を投げ捨て、祝福ノ杖を出す。


「無駄だよ♡ 無駄無駄ぁ!!」


 更に連撃は続き、祝福の杖もバキッと言う音を立てて折れてしまった。祝福の杖も捨て、最後に残った妖精ノ杖を取り出す。これも折られてしまったらいよいよ俺は何もすることができなくなってしまう。


「いっぱい杖持ってるね♡ じゃあ何本もぶっ壊してあげるから!!」


 まずい。そう思ったその時だった。


「“風刃烈波斬(リープスラッシュ)“!!」


 突然、横から風の刃が飛んでくるとレヴィーアの手に持っていた大槍を吹き飛ばした。


「フール! 乗れ!!」


 風の刃が飛んできた方向には馬を走らせてやってくるウォルターの姿があった。俺は即座に立ち上がり、ウォルターの手を取る。息を合わせて、ウォルターの後ろに乗馬した。


「ウォルターお前お前お前ぇ!! 殺す!!」


 怒りを露わにするレヴィーアの前には馬に乗ったクラリスが立ちはだかった。


「貴方を此処で食い止めます!! 隊長はフールさんを送り届けて下さい!」


「ああ!」


「きぃい! 自ら教えに叛くのかこの堕天使どもが!」


「私達は堕ちてなど居ません! 私達は私達の信じてきた正義を貫いています。歪んでいったのは貴方達ではありませんか!!」


「糞生意気な生娘め! その口を聞けないようにしてあげる!!」


 レヴィーアは大槍を引き抜きクラリスへ向けて突撃する。クラリスは腰のレイピアを引き抜き突撃してくるレヴィーアを迎え撃つ。

 大槍を巧みに扱い連撃を繰り出すレヴィーアの猛攻をクラリスはレイピアで華麗に受け流す。


「調子に乗るな!!」


 本体に攻撃が当たらないと判断したレヴィーアは標的をクラリスではなくクラリスの乗る馬へと変更した。

 レヴィーアは馬へ足払いをすると馬は即座に倒れた。


「きゃぁああ!!」


 馬が倒れた事でクラリスも転倒し、地面に叩きつけられた。それに合わせてレヴィーアはクラリスに槍を振り下ろす。

 間一髪のところでクラリスはレイピアの刃で攻撃を受け止めた。


「ここで息の根を止めてやる!!」


「まだ私は……死ねません!」


 レヴィーアとクラリス、石橋の上での鍔迫り合いは数分間に渡って続いたのだった。

最後までお読み頂きありがとうございます!


「面白い!」


「続きが気になる!!」


「これからも続けて欲しい!!」



もし、以上の事を少しでも思ってくださいましたら是非評価『☆☆☆☆☆→★★★★★』して頂く事やブックマーク登録して頂けると泣いて喜びます!

それでは次回まで宜しくお願いします!

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