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旦那の態度が変わる時

作者: りおとち

初作品となります

拙い文章で読みにくいかもしれないですが

読んでもらえると嬉しいです

最近なんだか旦那が変だ。数日前から、急に私に優しくなったような気がする。

結婚して今年でもう25年が経過して、子供にも恵まれて、兄妹が無事成人して都会にて2人とも一人暮らしをしている。

今この家には、私と旦那とペットの猫が1匹いるだけ。

旦那も私も、年の割には見た目に気を使っているので、若い方だと思う。

高校時代の同級生だった私たちは、高校を卒業と同時にすぐに結婚をして、翌年から子供を年子で授かった。

若くして結婚したのと子供が出来るのも早かったため、お互いに共働きで生活するのに必死だった。

子供を中心とした生活をしてきたせいか、夫婦間の感情はかなり冷えきっていたと思う。


数日前の事だ。

朝、私が朝食の準備をし終わって、旦那が起きてきて朝ごはんを食べ終わった時に


「ご馳走様。今日も美味しかったよ」


私は、何を言ってるのだこの男は? と思った。

そんな事20年以上言ったこと無かったのに、いきなりボソッと言ったのだ。


「はぁ? なにいきなり? まだ寝ぼけてるの?」


「・・・」


旦那は何も言わずに席をたち、出社の準備をしだした。

いったいなんだというのだ。


別の日にはこんな事もあった。

晩ご飯も終わり、寝る準備もある程度終わり、眠くなるまでリビングのソファーに座り猫を撫でながら映画でも観ようかなと思っていると


「この映画一緒に見ないか?」


「・・・はぁ?」


いきなりの事でびっくりした。


「この映画前に見たいって言ってなかった?」


いや、確かに子供との会話で言ったことはあるけど、なぜ急に?


「その映画なら、前に観たわ」


「そっか・・・」


旦那がしょんぼりしている・・・。なんとなく悪い気がしてしまったので私は


「まぁ面白かったしまた観てもいいわ」


「よかった!」


いそいそと、旦那が観る準備をして私の隣に座った。

肩が触れ合う距離、なんだか少し恥ずかしい。

ここ何年もこんな気持ち忘れていた。

付き合っていた頃や、新婚の頃は、毎日がこんな感じだったな・・・。

ふと思い出しながら、その日は映画を観た。


そんな些細な変化が他にも色々ありながら、半月がすぎた頃。

夜の営みを誘われた。

いやいや、ちょっとまってよ!

もう10年以上そんな事してなかったのに、いったいどうしたのよ!


「あなた最近変よ? 何かあったの?」


「・・・そうかな? ごめんやっぱいい」


私に背を向けて、旦那は寝てしまった。


何かある。あれは何かを隠している。

浮気か? 浮気でもしたのか??

旦那のおかしな行動に、私は我慢が出来なくたったので、意を決して聞いてみた。


「あなた、私に何か言わなくちゃいけないことは無い?」


「な、なんだよいきなり」


「最近あなたへんよ? いきなりどうしたは、私のセリフだわ」


しばしの沈黙の後、旦那が喋りだした。


「僕は、やっぱり君が好きなんだよ。でもね、もうあまり時間がないみたいなんだ」


私の頭の中は、ハテナで埋め尽くされた。


「こないだね、体調悪くて仕事を抜けて病院いったんだ。で、検索結果がでたんだけど、癌だって。余命半年」


私は旦那が何を言っているのか理解できなかった。


「言わなきゃと思ってたけど、言えなかった。手術したら延命は出来るらしいけど、それでも1年もてばいいほうらしい」


ゆっくりと、旦那の言ってる意味を理解していき、私の頬には涙か流れていた。


「僕は残された時間を、子供たちではなく、君と過ごしたいと思ったんだ」


私の感情は、色々な気持ちがグルグルして、上手く言葉が出せない。

旦那は黙って、私の反応をまっていた。

少し時間が経って、落ち着いてきたら、私は無性に腹が立ったきた!


「なんですぐに言わないの!」


旦那は「ごめん」と謝った。


「これからどうするの? 入院は? 会社にはもう言ったの?」


色々と、どうしたらいいのかわからなく、捲し立てるように質問攻めにしてしまった。


「会社にはまだ言えてない。君に言うのが先だと思って・・・。入院もしなくちゃダメだけど、日程はまだ返事できてない」


私たち夫婦は、今後について話し合った。


会社に伝えて、入院する事。

子供たちに伝えること。

親族や、友人達に伝えること。


私は、終わりのある旦那との時間を大切にするため、パートを辞めて、全ての時間を旦那との時間に使おうと決めた。

旦那が入院してから、私は毎日病院に行き旦那との時間を大切にした。

付き合ってた頃や、結婚したての頃よりも、沢山の話をした。

子供達や、会社の同僚、友人達も、沢山お見舞いに来てくれた。

そして、旦那は延命手術はしない事を決めた。

日に日に弱っていく旦那を見るのは、辛くて家に帰ってから沢山泣いた。

でも、病院では明るく接するように頑張ったよ。


来なければいいとどれだけ願っていても、別れの時はやってきた。

吐血して、意識を失ってから、病院の先生に、もう手の施しようがないと言われた。

私と子供達が見守る中、旦那は静かに息を引き取った。

覚悟していたこととはいえ、やはり辛かった。

私は呆然としていたが、子供達はしっかりとしていて、葬儀の段取りなどをしてくれた。

子供達はしっかりと成長していて、少し頼もしく思えた。


数日が経ち、落ち着いてきたので旦那の荷物を整理していると、手紙がでてきた。


内容は、恥ずかしくなるくらいの私に対する愛の告白だったよ。

別れの言葉もなく、ただただラブレターだった。

あの人らしいなと、頬には涙がつたい少し笑みが零れた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 普通に小話として綺麗にまとまってると思います [一言] こうやって綺麗に終われるのは実際あると幸運でしょうね 最近は寿命が延びて認知症なども絡んで感情関係が破綻して行く事もありますからね …
[一言] この旦那さんは素晴らしい人ですね。 やけになってしまって、こういう事ができない人がほとんどだと思います。 あんまり書くとネタバレになりますが、受け入れるということも悪くないと思いました。
2020/05/19 18:21 退会済み
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