剣士と魔導師
「テトーーーー、ミルクティーでの動画撮ろう」
二人は、テトに詰め寄って、動画を撮ろうと言う。
「そうだね」
テトは、素っ気ない気持ちで、言った。
そして、三人で、テトの牧場の牛から母乳を絞って、絞っ
たミルクを手に持った紅茶の入ったコップに入れて一杯
と、イメージして。
バーカウンターの様なのをハンマーで板を叩いたり、電動
ドライバーで、ネジを閉めたりと組み立てるイメージで。
椅子の設計図を見て、寸法の訂正を電卓で計算して頭を抱
えているイメージで。
他、色々と動画を撮った。
「テトー、どう」
二人は、確認する様に動画を見ている。
「イイね、イイね」
テトは、動画は早く切り上げて帰りたかった。
「テトーーーー、動画、もっと撮ろう」
二人は、動画をもっと撮りたそうだった。
「そうねー」
テトは、乗り気の無いまま、一緒に動画を撮る。
ありがとう、ありがとう、ありがとう。
何度、言ったら、この状況から、解放してくれるのか。
僕はここから、離れたい。
動画から、離れたい。
テトの気持ちを察知したのか、二人が、疲れたのか、動画
を撮るのが終わった。
疲れた、疲れた、どっと疲れた、こんなにも、嫌な事を続
けるなんて、キツイ、キツ過ぎる。
フウーーーーーー、二人には悪いが、この位で止めにして
帰ろう。
それしか、今の僕には、考えられないよー。
「ヒナー、アヤー、・・・・・・・・帰ろうか」
テトは、気力なく言う。
「エッーーーーーーーーー、そうなのーーーー・・・・帰
りたい・・・・帰ろうか、帰ろうかな」
ヒナが満足感、薄く言う。
「エッーーーーーーーーー、そうか、そうしよう、テト、
疲れたねー」
アヤが、納得して言う。
二人には、スマナイ、スマナイ、僕のワガママを許してく
れー。
・・・・帰ろう、帰ろう、やっと帰れる。
「ヒナちゃん、楽しかったねー、テトー、色々ありがと
う、又ね、また、川に来る時は寄ってね、今度、家にも案
内するねー、バイバイーーーー」
アヤは、笑顔で、サヨナラをする。
「アヤちゃん、楽しかったねー、色々ありがとうねー、ま
た会おうねーーーー」
ヒナは、笑顔で、サヨナラをした。
「アヤーーーー、楽しかったよーーーー、バイバイーーー
ー」
テトは、アヤに、少し気まづさを押し殺してサヨナラをし
た。
テトはヒナとアヤは家に三人は、別れた。
家に向かう二人の横をどう猛なイノシシが、横切る。
「ヒナー、アヤが危ないーーーーーーーーーーーー」
テトは振り返り、直ぐさま後を追いかける。
「テトーーーーーーーーー、アヤちゃんーーーーーーー」
ヒナもテトの後を追う。
「アヤーーーー、大丈夫かーーーー」
アヤの根元に野犬に襲われたイノシシの子どもがいた。
イノシシは、今にもアヤに襲い掛かろうとしている。
「アヤーーーー、逃げるんだーーーーーー」
「テトーーーー、ダメだ、ここで逃げたら、秘密基地まで
破壊されてしまう」
アヤは、イノシシと対峙しながら、必死に言う。
「そうか、アヤーーーー、僕の言う通りにしろ、そこで待
ってろ」
テトは、アヤに合図する。
「ウオーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
テトは、剣を構えて大声を上げてイノシシに向かって行
く。
テトの背中への一撃で、イノシシが、テトの方を向く。
「アヤちゃんーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
ヒナが、テトたちに追いついた。
テトは、向かって来るイノシシに、避けながら背中へ一撃
を、更に加える。
「アヤーーーーーー、戦えるかーーーーーー、ヒナはケア
ルの準備して、行くぞーーーーーーーーーーーーーーー」
テトは、二人に合図する。
アヤは、武術に精を出す武道家でもあった。
森の中をいつも走り回り、大木相手に組み手も練習
していた。
「ソリャーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
アヤが、向かって来るイノシシを横にさばきながら、ロー
キックを脇腹に食らわした。
「ウワッーーーーーー、チイーーーー」
テトが、向かって来るイノシシのスピードに屈して、上空
へと跳ね飛ばされた。
ヒナは直ぐにテトにかけ寄り、ケアルを施す。
「ウオーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
テトは、直ぐに、立ち上がり、イノシシに向かって行く。
「ソリャーーーーーーーーーーーーーーーーー」
アヤは、気合いをためて、静止している。
このまま戦っても良いが、イノシシに、悪気はないはず。
ただ、イノシシの子どもの仕返しがしたいだけだ。
殺すまでは行かないだろう。
ヨッシー。
「アヤー、ヒナー、僕の言う通りににして、モナの山の登
頂まで、走るぞーーーーーーーーーー、一、二、三、四、
走れーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
テトには、考えがあった。
登頂七百メートルの山頂に大樹がある。
そこまで、一キロ弱の坂道、登るのはキツイが、イノシシ
の走行に追いつかれたら終わりだ。
三人は、必死で走った、無心に。
そして、三人には今までの事が走馬灯の様に繰り返してい
た。
後、二百メートルの付近で、テトは、イノシシに追いつか
れた。
「いいからーーーーーーーー、行けーーーーーー」
二人は、テトの五十メートル先で立ち止まり、振り返り、
身構えてテトの所まで戻って来た。
「オイ、何やってる、早く逃げ」
「テトーーーーーー、キターーーーーーーーーーーー」
テトの声をさえぎって、イノシシが、向かって来た。
「グワーーーーーーーーー」
テトは、イノシシをぶつかるすんでで、横っ飛びでよけ
る。
「テトーーーー、大丈夫ーーーー」
ヒナが、直ぐに側に行って、ケアルの準備をする。
「ヒナー、ありがとう」
テトは言う。
「アヤー、ヒナー、頼りない僕で、ゴメンなー、・・・・
戻って来てくれて嬉しいよー」
テトは、二人に声掛けるが、イノシシが向かって来て、横
によける。
「テトーーーー、話してる時間ないよー」
ヒナは声掛けるが、イノシシが向かって来てよける。
「テトーーーー、ソリャーーーーーーーーーーーー」
アヤが、向かって来るイノシシをよけて、かかと落としを
頭部に食らわす。
「アヤーーーー、イイぞーーーーーー」
テトは、ジャンプして喜んでいる。
「ヨーーーーシ、ヒナ、アヤ、後少しイノシシを弱らせよ
う、行くぞーーーーーーーーーーーーーーーーーー」
テトは二人に合図する。
そして、戦いは終止符を打ち、イノシシは、ヨロヨロに成
り、イノシシの子どもの方へ走り去って行った。
三人はヨレヨレ、フラフラに成り、肩を抱きながら、百メ
ートル位歩いて大樹にたどり着いた。
本当は、三人元気に木の中央の枝から、町を眺めたかった
が、それは、叶わず、大樹に川の字見たいになってもたれ
掛かっていた。
その姿を、ヒナが運転するドローンが、空から撮っている
かも知れない。




