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第五話 「俺に近づくと焼け死ぬぜ」

登場人物


エイジ / 二年四組 出席番号13


トシヤ / 二年四組 出席番号16









「ふー、いい天気だよな。たまにはこうやって授業をさぼって、屋上で昼寝するのもいい感じだよ」


「そうだな」


「そういや、エイジ。昼はどうする? 今日、オレは学食で食べるけど、一緒に来るか?」


「そうだな」


「あそこの食堂安いから便利だよ。昼は恐ろしく混むけど」


「そうだな。……ところでさ。ひとつ聞いていいか」


「ん。何だよ?」


「お前、誰だっけ?」


「うおおおおおおおおおおおおおおい!?」


「確かナオ……ナオなんとか。ナオタニ?」


「全っ然違ぇよ! てか響きが完全に名字じゃん! トシヤだよトシヤ! 二年四組出席番号16番。クラスメイトでお前の後ろの席。そして、一年の時からの付き合いがあるトシヤだよ! てか普段から名前で呼んでいるだろうが!」


「分かってるよ。ちょっと初めて見ている人のために説明してもらっただけだ」


「……なに言ってんだ?」


「安心しろ。こっちの話だ。で、なんでお前がここにいる? この物語は俺とある少女の甘くて切ない青春恋物語(100%ウソ)を描いたものだったはずだ」


「オレにはお前がなにを言っているか全然分からない……というか、話があるって誘ったのはエイジじゃないか」


「ああ。そうだったな。アマガサキ」


「トシヤだっつーの。てか、せめて文字数くらいは揃えろ」


「実は……好きな女ができたんだ」


「ほう。それはそれは。それで、どんな女の子なんだよ」


「そうだな。単純に言うと、桜の木の下に宙づりになっている男子を心底面白そうに笑ったり、告白した男にものすごい勢いで塩を投げつけるような女の子だ」


「……そいつ、霊媒師かなんか?」


「普通の女子高生だよ。……多分」


「ふーむ。エイジは昔から変な女の子ばっかり好きになるからなぁ」


「おい。他の誰に言われてもいいが、絶対お前にだけは言われたくねぇ。お前なんか昔『ルルはUFOと交信できるんだぴょん』とか言っていた女好きになってただろ」


「や、止めろおおおお! ルルちゃんのことは言うなああああ! 忘れてたのにいいい」


「まあ、そんなことはどうだっていい。その後、そのルルちゃんに『トシヤくんはキャトルミューティレーションされて手から炎が出る能力を得たんだよ』という戯言を見事に信じ切ってたトシヤよ」


「なななななななななぜそのことを知っている!? 大体、それは中学時代の話でお前は知らないはずなのに」


「まあ、気にするな。その後、しばらく『おいおい。俺に近づくと焼け死ぬぜ。なんせ俺の右腕には炎が宿っているんだからな』と言い続けた中二病全開なトシヤよ。おいおいなのはお前だ」


「止めてえええええ! 止めてくださぁぁぁぁぁぁいっ! もういっそ殺してええええ!」


「まあ、その話はいいや。そんで……今回の相談というのはその女の子のことだ」


「と、いいますと?」


「……正直俺は彼女が好きすぎて、一目惚れのうえ初日から求婚しているんだが」


「早っ!? 展開が早すぎるよお前!」


「ただ、彼女の方はそうでもないらしく、はっきりした答えは返ってきていない。俺は。……俺はどうすればいいんだろうか」


「ふーん。お前にしては珍しく迷ってんだな。それで、その子はなんて言ってんだ? 求婚したんだろ」


「嫌われてはいないと思う。いつも『嫌です』って言われるけどな」


「……めちゃくちゃはっきりした答えが返ってきてるように思えるのはオレだけかな」


「うるせ。あれは彼女なりの親愛の証なんだよ。今は無理だけど、いずれは結婚しようねってことを伝えようとしているだけだ。今そう俺が決めた」


「あっそ。――だったら、それでいいじゃん」


「あん?」


「どうせ、お前のことだ。初めからオレの意見なんか聞きやしないと思ってたよ。それに……オレの親友は女の子に嫌われるようなことはしねぇよ」


「トシヤ」


「まあ、エイジの好きなようにやってみな。オレが言えるのはそれだけだよ」


「………………」


「………………」


「さすがに手から炎が出るやつは言うことが違うな」


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉい!? せっかくオレめっちゃ良いこと言ったのに! 後、念のため言っておくけど出ないからね! 炎は決して出ないからね!」


「ありがとう」


「あ? なんか言ったか?」


「なんでもねーよ」


「あ、エイジ。これだけは言っておく」


「なに?」


「もし女の子に嫌がるようなことをして、万が一に絶交とかされてもストーカーになるんじゃないぞ」


「他の誰に言われてもいいが、絶対お前にだけは言われたくねぇ。ルルちゃんがUFOから卒業しても『俺に近づくと火傷&感電死するぜ』って言い張ってたトシヤ君」


「ななななななななな、なんでそれをー!?」


「てか、さりげなく電撃打てる設定つけるな」


「どいつだ! どいつがバラしだんだー!」


「さーて、クラス中に噂を流してきましょうかね。第六話のサブタイトルは『電気ウナギも真っ青の能力者ですね』で決まりだ」


「止めてえええええええ!? それだけはかんべんしてくださぁぁぁぁぁい! ……てか第六話とかサブタイトルって何――ってああ!? エイジがとてもいい笑顔で去っていってしまうううううう」










 第五話 「俺に近づくと焼け死ぬぜ」 終わり



えらい間が空いてしまったorz

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