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✧ 詩 ✧  孤独・夢・希望

少年は何を夢想しているのだろう 

少女は恋が踊っているのを知っているのだろうか


カタタン カタタン

心地よく揺れる青い座席


白いドアの前に立つ少年の夢想が うっとりと水色のガラスに映り

僕の隣で本を読む少女の恋が レールの継ぎ目と一緒に とび跳ねる


ピィーッ

深い渓谷を渡る赤い鉄橋にさしかかったところで鋭い汽笛が鳴った


人々はドキッとして身をすくめ

お互いを見合ってパチパチとまばたきをする


するとその隙に

少女の恋が羽ばたいて 少年へと向かって飛び立ち

少年の夢想がするりと抜け出して 少女の肩にちょこんと腰掛けた


少年が振り返って少女を見つめ

少女は本を閉じて少年を見つめた


紅葉に彩られた山裾をゆく 午後の列車

秋の柔らかな光が車窓から差し込み

色とりどりの羊毛のセーターを着た人々を包む


旅はまだ始まったばかり

何が起きるのか 誰も知らない


僕はそんなことを思いながら 窓際の席で青い空を見上げる


いつかこの旅が終わる時 

かつての少年と少女は微笑みあって 皺だらけになった手を握り合うだろう


この旅に価値はあったのか

この旅に意味はあったのか

この旅は誰のためのものだったのか

この旅は幸せだったのか

あの恋は今もここにあるのか

あの夢想は叶えられたのか


君だけが知っている 君の生きる誇り

君たちだけが知っている 二人の絆


いつか静かに息を引き取って

灼熱の炎に焼かれ 真っ白い頭蓋骨になっても

君は白い頬を輝かせて あの人へ微笑むことができるだろう


僕たちは

永遠のさようならをする ただその一点へ向かう旅の途上にある


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