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竜の棲む国  作者: 佐倉櫻
20/31

第十八話:噂

頑張った…気がします。次話もこれくらいのスピードで投稿できると良いのですが;

沢山の拍手有難う御座います!!

感想・評価・拍手メッセージなど頂けると動力源になるようです。お気が向きましたらお願いします。

 執務室の扉を開けると、正面に置かれている机はおろか、中央に置かれている応接用の机やベンチにまで書類があふれていた。……なんじゃこりゃ。

 その現状を目の当たりにして、しばらく唖然とする。

 ベリルは、180度方向転換して逃げようとしたアゲイトの襟首を掴むと、半ば引きずりながら正面の椅子に座らせた。

「さぁ殿下。こちらの書類はお目を通して頂いてサインするだけで結構です。こちらは夜会出席者の最終決定名簿です。何名か予定を変更されている方がいらっしゃいますので、きちんと目を通して下さい。それと、当日の守備配置ですが……」

「あ〜〜〜……急ぎの奴から頼む……」

「では、こちらを」

 さすがのアゲイトも覚悟を決めたのか、諦めたのか……。一応前向きに仕事をこなす事にしたようだ。私も何か手伝うべきなのだろうな。

 応接用のベンチに積まれた書類に目を向ける。が、何が何やらちっとも分からない。

「あぁ、マイカ。貴女はこれを」

 ベンチの横の小さな木製の椅子に私を座らせると、一冊の分厚い本を手渡した。本の題名は「ディアマンタイト国史・上巻」……あれ?

「大人しくそれで勉強してて下さい」

 ベリルは応接用の椅子に座り、書類の隙間から顔を覗かせてそう言った。

「いや……私も手伝わなくていいのか?」

「……貴女に何が出来ると?」

 何が出来る……か。たしかにここにある物はほとんどが報告書やその関連資料などがほとんどで、私が見てもさっぱり分からない。

 いや、少しくらい何か手伝えたら……と思うのだが。

「貴女はそこで殿下がサボらない様に見張っていて下さい」

「そ、そうか……」

 なんとなく腑に落ちないが、それで良いなら良いか。

 その後、会話は無く、紙を捲る音と、ペンを走らせる音のみが執務室に響く。私もまた、その音に触発されるかのように、手元の本を捲った。





 ディアマンタイト国史。

 竜討伐時代、その先陣を切って竜討伐を成し遂げた英雄アダマス。その英雄が竜の屍を積み上げ、作られた国。その国はアダマスを慕って討伐に加わったものを中心として、近隣の小国や村などを吸収して、一時は巨大帝国を形作るまでになった。

 竜討伐後の時代というのは、今ほど世界が安定しては居らず、人が住めるような環境と言うのは限られていたらしい。と言うのも、竜の死後、その地は灼熱の地になり、あるいは暴風の吹き荒れる地となり、氷に閉ざされる地となったからだとか。

 その地を平定し、今の様に人が住める環境にしたのはアダマスの息子である、オブシディアンの働きによるとされる。

 彼は、その地に篭る竜気を拡散させ、あるいはその地の竜(死んでるから死霊みたいな物だろうか?)を懐柔、あるいは契約して、元々世界中に世界を運営する力としてあった、竜脈へと帰属させた。

 彼の活動に賛同し、あるいは従属したものは、後に教会を立ち上げる。それが、現在有る教会の原型らしい。

 竜気を拡散させる技術というのは教会にしか無いらしく(現在も門外不出だとか)、他国は教会の力を借りる代わりに、ディアマンタイトに忠誠を誓う事になる。そして、ディアマンタイト帝国が築かれた。

 が、各地で竜気が拡散され、世界が平定されると、一気に帝国の権威が揺らぎ始める。

 早い話が離反する国や、内乱が勃発したのだ。

 その頃のディアマンタイトは、権威を振りかざし、繁栄の極みにあったが、政治は腐敗し、首都と地方の格差は開き、各地の一般庶民には不満ばかりが募った。

 一時は最強、最大を誇ったディアマンタイト帝国も、相次ぐ反乱に疲弊し、各国の独立を認めてしまう。

 そんな訳で一気に帝国は解体され、現在のディアマンタイト王国になるわけだが、そこまでされて何でこの国が滅亡しなかったのかと言えば、これもやはり、教会の御蔭……と言う事らしい。

 と、言うか教会を盾に国の存続を諸国に納得させた。と言ったほうが正しいかもしれない。

 そもそも、竜脈と言うものは安定しているように見えても、時折何らかの影響で暴走したり、枯れたりするらしく、それを元の状態に戻すことが出来るのも教会のみ。故に、いくら世界が平定したとは言え教会は人々にとっても、各国にとっても必要不可欠なものであった。

 が、各国もそれで黙っているわけが無く、ディアマンタイトを存続させる代わりに、教会の技術の流出。あるいは、教会の独立を条件に出した。

 結果、教会は独立機関となり、どの国にも属さない事となった。

 にも関らず教会が現在もディアマンタイト国に在り、選王まで任されているのは、その成り立ちがディアマンタイト国に大きく由縁しており、選王の儀は教会の設立とディアマンタイト国の建国以来の伝統だからだとか。

 現在、ディアマンタイト国は、帝国時代に培った交易を生かし(帝国時代、各国の名産品や貴重品はすべてこの国に輸出されていた為、交易ルートはそのほとんどがこの国を経由している)、交易の国、商売の国として成り立っているのだそうだ。

 そして、もう一つ。この国が諸国に恐れられているのが『アダマスの血脈』らしい。

 その昔、竜を屠った英雄の血は現在、ディアマンタイトの王族に受け継がれており、その正当な血筋は強大な力を有していると言う。

 曰く、街を一瞬で灰にしたり、流れる大河を一瞬で干上がらせたり……本当か?


 思わず、正面の机で書類に向かい……大きなあくびをしている赤毛の大男を見る。

 私に気付くと、咄嗟にあくびをかみ殺し、気まずそうな笑みを浮かべた。

 ……嘘くさいな。得てして英雄譚などと言う物は多少誇張されて書かれるものだ。多分、そう言うことなのだろう。

 再び、本に目を戻す。

 と、不意に執務室の扉が勢い良く開かれた。

カリメーラ(こんにちは)! 兄上、アクア・マリン卿! やっと視察を終えて来ましたよ」

 満面の笑みを浮かべ、上機嫌で入ってきたのは、明るいオレンジの髪と蒼天の瞳を持つ少年。

 少年は長衣を纏った十数人の文官と背の高い金髪の騎士(なんとなく見たことがある…気がする)を引き連れていた。

「おう、アズ。や〜〜っと戻りやがったか」

「えぇ、兄上。ご機嫌麗しゅう。こんな田舎何も無いと思ったんですけど、本当に何も無いんですね。僕、退屈で退屈で」

 少年は無邪気な笑顔でアゲイトに、そう報告する。

 ベリルは眉間に皺を寄せていた。

「こんなに何も無いと分かっていたら視察なんて適当に終わらせて城に居ればよかったなぁ。ね、アクア・マリン卿」

 人懐っこい笑顔でベリルに話しかける。

「アズライト様。……それで、視察はいかがでしたか?」

 ベリルが眉間に小さな皺を刻んだままにっこりと微笑む。……怖い。

「聞いてください! 酷いんです。本当に何も無いんですよ?! ここも昔は重要な交易地だった、って言うのに。あぁ、でも旅芸人の一座と知り合いになりましてね、酷くやぼったくて品位のかけらも無い連中でしたが。芝居は結構おもしろいんですよ」

 熱弁する少年。

 アゲイトは、その様子を面白そうに見ている。

「王都ではなかなか見られない様な素人臭い物ですが……」

「アズライト様! ……視察はいかがでしたのでしょう?」

 ベリルが少年の言葉を遮って、返事を促す。

「……あぁ、視察。ですね。それなら……はい」

 少年はベリルに一枚の紙切れを渡す。

 アゲイトも席を立ち、ベリルに並んでその紙面を覗き込む。

「街道の補修工事を許可します。……ちゃんとサインしておきましたよ。国王にもきちんと許可を取っています。こちらが国王の委任状」

 そう言ってもう一枚紙を渡した。

 ベリルは許可証をアゲイトに手渡すと、もう一枚の紙に目を移した。

「……たしかに。委任状にはアズライト様にこの件を一任する。と書かれています」

「えぇ、ですから、許可証に僕がサインして、この件は終了です」

 にっこりと笑う少年。

「いや〜〜、実の所。僕、父上に許可証もらってすぐにサインしちゃったもんだから、此処に来てもやる事無くて暇だったんですよね」

 ……今、さらっと酷い事言わなかったか?

「……アズ?」

「何ですか? 兄上」

「んじゃ、何か? お前、ここに来る前から許可証にサインしてたって事か?」

「当然じゃないですか。僕は兄上の成される事に反対なんてしません」

 少年は、さも心外だ、と言いた気に驚いてみせた。

「んじゃ、何で視察に……」

「そんなの決まってるじゃないですか。兄上とアクア・マリン卿に会いに来たんですよ」

「……要件だけ済ませてさっさと帰れば良かったものを」

「酷い、兄上! 僕、こんなにも兄上の事慕ってるのに!」

「阿呆か! お前が執務官共を引き連れて遊びまわってた御蔭で、見ろ! この書類の山を!」

 少年は、ゆっくりと部屋に積まれた書類の山を見る。

 ……と言うかどっちもどっちだろう。この場合。この山を作った原因はこの兄弟にある、と私は思う。

「随分お忙しいみたいですね。僕、邪魔しちゃいました?」

「お前が執務官を連れまわしたりしなきゃここまで忙しくはならねぇよ」

「それって僕の所為なんですか? 僕、仕事してきただけなのに」

「仕事にかこつけて遊びまわってただけだろ!」

「遊んでなんて居ません! だって此処、遊べるような所何も無いじゃないですか!」

「はっ! まだまだ餓鬼だなぁ。良いか?何も無いからこそ遊べるって事もあるんだぞ?」

「何ですか? それ……」

「それはな……」

 なんだかどんどん会話がおかしな方向に流れて行く。

 こそこそと人目を忍ぶように内緒話を始めるが、この場に居る全員が見守る中では滑稽な光景だった。

 何? このコント。

 時折、少年の「えぇ?!」「……そんな!」等という嬉々とした歓声が上がる。……そろそろ止めた方がいいか?

 少年の引き連れてきた文官(おそらくは執務官と思われる)はこそこそとベリルの顔色を伺いながらも、この馬鹿兄弟のやり取りを疲れ切った表情で見守っている。

「……、……、……の、馬鹿殿下共」

 その声は小さく、不明瞭なものではあったが、この部屋に居る馬鹿殿下二人を除くすべての者に恐怖を感じさせる程の怒気を含んでいた。

 一瞬にして身をすくめる私、以下十数名。見ると、金髪の騎士も固唾を呑んで見守っている。

 ベリルはアゲイトの襟首を掴み、内緒話から引き剥がし、少年に向き直った。

「視察、お疲れ様でした。以後の練達事項は執務官より報告させます。どうぞお下がりください」

 にこりともせずにそう言う。

 そして、再びアゲイトを椅子に座らせた。

「殿下は引き続きサインをお願いします」

「……執務官が戻ったなら俺はもういいんじゃないのか?」

「殿下!」

 ここからはベリルの表情は見えない。が、アゲイトが気おされている所を見ると、相当怒っているのだろう。声色からもそれが伺える。……なんか、心なし部屋の気温が下がったような……と、ベリルの影からアゲイトが私に手招きした。いや、行きたくないし。

 嫌だ、と首を振ると、尚もしつこく手招きされる。その間にも、ベリルとアゲイトのやり取りは続いていた。行かないと駄目か? 眉間に皺を寄せ、アゲイトを睨むが、アゲイトは「いいから来い」とでも言いた気にしつこく手招き。……やれやれ。

 しぶしぶ席を立ち、アゲイトに近寄る。……ますます寒いような気がする。と、近くまで寄ると、素早くアゲイトに腕を掴まれ、ベリルの前に突き出される。

 目の前には呆気に取られた様子のベリル。はいぃ?

「だからよ、アズが戻って、執務官が仕事できるんだったら俺は要らないだろ? ほら、俺は来客の接客とかアズの相手もしてやらないといけないだろ?」

 私の影に隠れるようにしてベリルに抗議するアゲイト。

 逃げようともがくが、後ろから両肩をきっちり固定されて身動きが取れない。

「ちょ、私を盾にするな!」

「いいじゃねぇか。お前、俺の護衛だろ?」

 そう言う意味の護衛なのか?

 見ると、ベリルは困惑の表情を浮かべている。

「殿下、マイカをお放しなさい!」

「……嫌だ」

 どうしよう? ここでアゲイトを殴るのは簡単だが、それは護衛としてどうなのかという疑問が。つい、助けを求めるようにベリルを見上げる。

「殿下!」

 ベリルがゆっくりと右手を振り上げる。

 その先には光が収束し、ゆっくりと『竜杖』が現れた。

「ちょとまて! ……お前、こいつまで巻き込む気じゃねぇだろうな?」

 こいつ……と言いながら私をベリルに突き出す。……おい?

 間近に迫る薄蒼色の瞳。

「貴方と言う人は、どこまで愚劣なんですか!」

 まったくだ。もっと言ってやれ。

 ベリルは怒りの為か、心なし顔が赤い。

「ふん、俺は目的の為なら手段は選ばん!」

 こそこそと隠れながら言う台詞じゃ無いな。

「いい加減マイカを放しなさい!」

「お前こそソレを引っ込めろ!」

 両者、私越しににらみ合う。

 素直に執務をこなせば良いものを。なんでこんなに拒むんだ?

 どう考えてもアゲイトのこの抵抗はおかしいと思う。

 さっきまでは普通に政務に取り組んでたくせに。

「え〜〜と……僕、お邪魔みたいなのでこれで失礼しますね。では兄上、例の件。僕の方で進めておきますのでご心配なく」

 少年は、場違いなほど明るい声でそう言って退散しようとした。

「なっ……アズ?! ちょっと待て!」

 アゲイトがそれを追いかけようと身を動かす。

「待つのは貴方です!」

 ベリルが竜杖を構えた。

 ……と、私は背後から強い力で押し倒され前方によろめいた。何?!

 ついでに足を払われ、転びかける。倒れざま、アゲイトが、片手で「すまん」とかジェスチャーしてるのが見えた。何だそれ!

「マイカ?!」

 私の手が床に付くより一瞬早く、ベリルがその間に身を割り込ませる。結果、私はベリルを押し倒す形で床に転がった。

 薬草と香の香り。柔らかい布の感触。

 ベリルを下敷きにした御蔭で私には怪我は無い。

 どさどさと積み上げられた書類の崩れ落ちる音。

「す、すまん」

 素早く半身を起こし、目でアゲイトを追う。

 扉の端に鮮やかな赤毛が一瞬見えた。

「あの馬鹿! とっ捕まえて来る!」

「待ちなさいマイカ!」

 背後でベリルの静止する声が聞こえるが、構わずあの馬鹿を追いかける。

 ベリルに怪我が無ければ良いが……いや、捕まえるのが先だ。ベリルにはあとできちんと謝っておこう。

「ベリル様! お怪我は……」

「セレン! 殿下を捕まえなさい!」

 扉を出かけたとき、背後でベリルの指示が耳をかすめた。

 あぁ、そうだ。あの金髪の騎士。たしか竜鱗騎士団の副団長……ぼんやりとそんな事を思い出しつつ、アゲイトを追って廊下を走った。







 行けども行けども、扉、扉、扉。そして延々と続く廊下。

 っち、たしかこっちに人影を見たと思ったのだが……巻かれたか? 立ち止まり、耳を澄ます。近くに人の気配は、無い。……おかしいな。ひょっとして階下に下りたのだろうか?

 まさか翼竜ペト・エルペタに乗って逃げたんじゃないだろうな? ありえる。……いや、そっちは多分早々にベリルが差し押さえて居るだろう。ならば、やはり城内か。

 ずんずんと廊下を進むと、建物と建物を繋ぐ回廊に出た。眼下には庭園へと続く石畳が見える。

 この先は人気が無い。もし、アゲイトが外出目的で逃げたのだとしたらやはり階下だろう。回廊から見える範囲には人影は無いが、庭園にはいくらでも身を隠せる場所がある。以前捕まえた時も庭園だったしな。よし。

 回廊の手すりに足をかけ、そこから飛び降りる。下が石畳という事もあり、ちょっと足が痺れたが問題ない。

 う〜む。やはり体が鈍っている気がする。この程度の高さ、何でもないはずなのに。

 やはり騎乗訓練だけでなく、組み手もやり込むべきだろうな。柔軟ももっとしっかりやろう。……最近どうにも鍛錬が足りていない。決意も新たに、庭園を警戒しながら進む。

 とりあえずあの馬鹿を捕まえるのが先だ。人が隠れられそうな茂みや東屋を重点的に捜索する。が、なかなか目的の人物は見つからない。

 話し声に飛び出してみれば別人。(おそらくは滞在中の貴族とおもわれる)人影に踊りかかってみれば……やはり別人。(こちらは城の女中だった)そこかしこで悲鳴をあげられ、その度に謝罪して回る。

 ……くそ。私がこんな目に遭うのも元はといえばあの馬鹿が……

 腹立たしいやら、情けないやら…。私は何をやっているんだろう。と、再び話し声。その方向に走りかけて踏みとどまる。

 次、間違えたら今度こそ変質者扱いだ。それは避けたい。何としても。慎重に様子を伺う。

「……って言ってるだろ」

「じゃぁ何で……」

 何を話しているのかは分からないがその茂みの向こうからは、確かに聞き覚えのある低い声と、少年の声。

 よし、今度こそ当たりだな!

 鉄扇を握り締め、身構える。

 茂みから身を乗り出しかけたその時、一際高い少年の声。

「あなたが僕の本当の父親なんでしょう?! 兄上!」

 はいぃぃ?!

 とっさに身を翻し茂みに隠れる。

 な、何事?! え? 父親? 誰が?

「だから違う、っつってんだろーが」

 うんざりしたようなアゲイトの声。え? えぇ?

 心臓がどくどくとせわしなく音を立てる。

 おそるおそる茂みから覗いてみると、そこにはアゲイトとアズライト殿下の姿。

「僕、知ってます。何で隠すんですか?! ……当時、国王にはすでに生殖機能は失われていた。なのに僕が出来るなんて不自然です!」

「そりゃ例外もあるだろ。大体親父にゃ愛人がわんさか居たからな。その何人かが子供が出来なかったからってそうと決め付けるのはおかしいだろ?」

「当時の主治医からも証言は取ってます! それに……母上は……あの女は兄上と恋仲だったって……」

「噂だろ? 本気にするほうがどうかしてる」

「じゃぁ何で! 何で兄上があの女を……」

「アズ! ……お前は親父の子供で俺の弟だ。何度も言ってるだろう。くだらない噂なんかに踊らされるな」

「城中のみんなが知ってる事です! 兄上が玉座を拒まれたのだってあの女と僕が原因だって……」

「アズライト! いい加減にしろ!」

 アゲイトが少年を叱咤する。

 その迫力にこちらまで身を硬くする。

「僕……」

「話を蒸し返すな。いいか、お前は誰が何と言おうと親父の息子だ。それに玉座がどうのってのは単に俺の素行が悪いのと俺が乗り気じゃ無いってだけだ。わかったな?」

「分かりません! ……僕、絶対に兄上を玉座に据えてみせます! そして誰に憚ることなく僕を息子だと認めさせて見せます!」

 少年はそう言い捨てるとそのまま走り去った。

 ど、ど、ど、どうしよう。なんか、聞いてはいけないことを聞いてしまったような……

 何あれ? ……あれ? ……芝居とかじゃ、無いよな?

 アズライトが……アゲイトの息子で……息子……。あの女って……

 両腕ががくがくと震え、力が入らない。

 アゲイトはきっぱりと否定していたが、アズライトの様子は演技などではない。

 頭の中が真っ白になる。

 え……と……

 そうだ、私はアゲイトを追って……

 頭上から低い声が降ってきた。

「……何やってんだ? お前」

 見上げると、そこには見慣れたはずの顔。

「おい、大丈夫か? 顔色悪いぞ?」

 何も言えずにその顔に見入る。

 彼はしゃがみこんでいる私の傍に、同じようにしゃがみ込む。

「……聞いていたんだな。どこからだ?」

 目の前には金色の瞳。

「……お前が、父親だって……」

 ゆっくりと大きな手が私の頭を掴む。

 そしてそのまま思い切り力をこめられた。

「痛っ! いたたたたっ!」

 痛い、痛いって! 

 額がくっつく程間近に顔をつけられた。

「ばーーーーーーか。真に受けてんじゃねぇよ」

 心底呆れた顔と口調。しかし手は緩まない。

「痛い! 痛いってば!」

 抗議すると、ようやく手の力が抜ける。

 アゲイトはゆっくりと笑った。

「……本当に違うのか?」

「ち・が・う」

「……本当に?」

「違うっつてんだろーが」

「でも、心当たりはあるんだろ?」

 アゲイトは少しだけ視線を泳がせた。

「……無い……事も無い」

「本当なんだな?!」

 やっぱりアズライトの父親はアゲイトで……

「違う! いや、心当たりは無くは無いが俺じゃねぇ!」

 アゲイトはやや取り乱しながら必死で否定する。

「何でそんな事言えるんだよ!」

「やっても無いのに出来るかっ!」

「……は?」

 やってない……って何を? ……ナニを、か。

 頭の中が混乱する。

「心当たりって……」

「あ〜〜〜、もう! ……だから、何だ! この際だから正直に言うが、たしかに当時そういう関係はあった」

「じゃぁ……」

「話は最後まで聴け! ……時期が合わねぇんだよ。その時俺は他国に行ってた。何ならスティーブに確認しろ」

「関係はあったんだな?」

「……若気のいたりって奴だ。一度だけだぞ? ちゃんと避妊もした」

「一度でも出来るものは出来るだろ! 本当に避妊したのか?!」

「しつこい! 俺がそんなヘマするか!」

「若気のいたりだって今言ったばかりじゃないか! 完璧じゃない事だってあるだろ!」

「生々しいわ! ……何で俺、お前にこんな話してんだか」

 まったくだ。だが、若気のいたりと言えば間違う事もあるだろう。

 アズライトは12、3歳くらい。アゲイトはおそらく30前後。17歳頃の子供だとしたら大いにありえる。よくよく考えてみれば高校生くらいの年齢ならば避妊に失敗して出来ちゃう事だって珍しくは無い! この女好きがその例に漏れるとも思えず……。

 そうだ、今だって散々遊びまくっているのだから、発覚していないだけで、隠し子だってこの男の知らないところにわんさか居てもおかしくない!

 まてよ? この世界の避妊方法って何だろう?

 ゴムとかは……無いだろうな。ピルも……無い……と思う。じゃぁ……。

「おい、やけに静かだが……もしかして何か失礼な妄想働かせてるんじゃ無いだろうな? 何考えた」

「いや、避妊法についてちょっと……って聞くな!」

 思わず答えてしまったではないか!

 アゲイトがいやらしく笑う。……嫌な予感。

「んじゃ、試してみるか?」

 身の危険を感じて後ずさる。が、一瞬早く足首を掴まれ、そのまま引き戻された。

 アゲイトはそのまま私の足の間に身を割り込ませると、私の上に覆いかぶさってきた。

「ぎゃーーーーっ!」

「お前、もうちょと色気のある悲鳴あげろよ」

「う、うるさい! 退け!」

 逃れようとアゲイトを押しのけつつ、もがく。

 突如、小さな金属音と共に目前―――正確にはアゲイトの喉元に突きつけられる銀色の剣。

「殿下、ベリル様がお呼びです。ご同行を」

 頭上から降り注ぐ無機質な声。見上げると、そこには金髪の騎士。

 剣が目前に現れるまでまったく気が付かなかった。

 ゆっくりとアゲイトの下から這い出る。

 アゲイトは渋い顔で舌打ちすると、その場に座りなおす。

「セレン。見りゃ分かるだろ? 俺は今取り込み中……だ」

 そういい終わるか終わらないかのうちに、再びアゲイトの喉元に剣を突きつける副団長。

「ご同行を、殿下」

 副団長は、やはり顔色一つ変えず無機質な声でアゲイトに迫る。

 この人、ひょっとしてベリルより性質悪いんじゃないだろうか。

 拒否すればそのまま剣を振りぬきそうな圧迫感。あれ? 私は今こいつの護衛なのだからこの状況はまずいんじゃないか?

 どうしよう? 副団長を止めるべきか、それとも……

 いつの間にか手を離れていた鉄扇を拾い、握り締める。

「……分かったよ。くそっ!」

 アゲイトは忌々し気にゆっくりと立ち上がる。……よかった。思わず胸をなでおろす。

「ほら、お前も。行くぞ」

 しゃがんだままの私にアゲイトの大きな手が差し出される。

「ん……」

 差し出されたその手を掴み、立ち上がる。

 副団長に率いられ、私達は執務室へ戻った。





 執務室ではベリル指揮の下、着々と書類の山が片付けられつつあった。

 執務室に居るのは数人だったが、隣接している部屋との行き来がせわしなく、活気がある…と言うより殺伐としていた。

「ベリル様。殿下を連れてまいりました」

 ベリルは私たちに気付くと、手にした書類を置き、こちらにやってきた。

「ご苦労。……マイカ、怪我はありませんでしたか?」

 へ? 怪我?

「いや、無いが?」

「そうですか」

 ベリルはにっこりと笑うと、次いでアゲイトの襟首を掴んで正面の椅子へ連行した。

「さあ殿下。サインをお願いします」

 ベリルの背中からは妙な気迫が漂っている。アゲイトは今度こそ観念したのか、素直に書類に向かう。

 ……なんか、背後から視線を感じる。

 振り向くと、副団長と目が合った。無表情のまま私に鋭い視線を投げかけている。あれ? なんか、私、責められてる?

 心当たりは……いろいろ。アゲイトを見張っていなくてはいけないのに逃がしてしまった事。しかも、逃げ出すきっかけになってしまった事。おまけに、捕まえるどころか逆に押し倒されていた事。……役立たずも良いところだな。今更ながら情けなくなってくる。

 副団長に深々と頭を下げる。

「すみませんでした! それと、有難う御座いました」

「……何の事だ」

「あの馬鹿を取り逃がした事と、助けて頂いた事です」

「問題無い。私はベリル様の命に従っただけだ」

 副団長はそっけなくそう言うと、視線をベリルに移した。

 むむ……じゃぁ何で睨まれたんだ?

「マイカ? 何ですか、その助けてもらった……と言うのは」

 聞こえてたのか。

 ベリルが眉間に皺を寄せながら私に尋ねる。

「いや、何時もの事だ。あの馬鹿に……」

 押し倒されて……と言いかけて思い出す。そういえば私もベリルを押し倒して下敷きにしていたな。

 いい終わらないうちにベリルが再びアゲイトに向き直る。その服の裾を掴んで引き止めた。ベリルが振り返る。

「そうだ、ベリルこそ怪我は無かったか? すまん。下敷きにしてしまった」

「ありません。貴女が気にする事では無いですよ。総てはそこの馬鹿殿下が原因ですから」

 ……それは、そうだが。

 その後、副団長は退席し、アゲイトはベリルに監視されながら書類にサインしていた。

 私はと言えば、再び椅子に座って分厚い歴史書と格闘。……やっぱり役には立てないのだな。

 執務官達はてきぱきと書類を片付けてゆく。

 おかげで、到底明日までには片付かないであろうと思われた書類の山々も、日が落ちて少し遅い夕食時までには、残すはアゲイトのサイン待ちの書類2山となった。

 この時点で執務官は仕事を終了し、明日に備える事に。私もまた夕食後はそのまま小屋に戻るように言われた。

 残るといったのだが、その後は隊長に引き継ぐからとベリルに追い出されてしまった。




 夕食後、一度小屋に戻り編みかけの腕輪を手に、再び食堂に戻る。

 食堂にはまだちらほらと食事を取っている人が居た。

 配膳所から厨房を覗くと、ローゼとモルダはまだ片づけが残っている様だったが、メネットさんが気を利かせて早くあげてくれた。

「お待たせ。じゃ、部屋に行くわよ」

「どこまで進んだんですか? 頑張って明日までに仕上げちゃいましょう」

 部屋までの道のり、二人はどうなのか聞いてみると、どうやら二人ともすでに編み上げてしまっているようだった。

「今年はちょっと数が少なめなの。その分凝った文様にしたんだけどね」

「私も今年は家族の分と友達にあげるものしか作ってないんです」

「へー……」

 部屋に入り、完成品をいくつか見せてもらう。

「ここにあるのは明日友達に配るものだけなんだけどね」

 聞けば、モルダもローゼも家族は別の町に居るそうで、明日届くようにすでに配達に出した後なのだそうだ。

「当日でなくてはいけない意味とかあるのか?」

「ん〜〜。まぁ、そういう物だし。家族から腕輪が届かないのって不安になるじゃない?」

「配達の都合もありますから当日の10日前後が多いんじゃないかしら?」

「そうよねぇ。王都の貴族なんかは前日か当日には確実に届けられるんでしょうけど。今日も凄い数の馬車を見たわ」

「そうそう、高そうな小箱に入ったのとか……。多分、殿下やベリル様にも送られてきてるんじゃないかしら?」

 ……そういえばあの二人の家族って知らないな。

 アゲイトは王族だからなんとなく想像できるが……ベリルの家族ってちょっと想像できないかもしれない。

「家族間や恋人、友人の間で送りあうのが一般的ですけど、上流社会では儀礼的に送るそうですよ」

「まぁ、挨拶みたいなものなんじゃない?」

 なるほど。……範囲が広すぎて区別がつかん。が、その辺りは文様や材質などで判断するのだそうだ。それぞれに、愛情や、友情、親愛、忠誠などの意味があるとか。

 そういえば買い物の時にローゼが何か言っていたな。

「そうだ、そう言えばアズライト様ってご視察から戻られたのよね?」

 唐突にモルダが話題を変える。

 昼の庭園でのやり取りが脳裏に甦り、一瞬硬直した。

「あ、ああ」

「ん? どうかしたの?」

「いや……なんでもない」

 あの噂とやらは、やはり極秘事項なのだろうから内緒にしておくべきだろう。だいたい他人のあんな込み入った話、言いふらすものではないしな。

「で、ベルチェ様も登城なさってるのよね。……って事はさ、やっぱあの噂って本当なのかな?」

「ちょっと、モルダ。やめなさいよ」

「あら、ローゼだって気になってるんでしょ?」

「そりゃ……」

 何の話だ? モルダを見ると、モルダはさも話したそうに笑った。

「ふふ、マイカだって気になるでしょ?」

「いや、気になるというか……何の話だ?」

「そっか、マイカはまだ知らないのね。……あのね。まずはアズライト様の噂からなんだけど……」

 ふ、ふむ?

「アズライト様が実は陛下のお子ではないって噂があって……」

「ぐっ!」

 い、いきなりこれか。……この国の噂って……怖いな。

「って言うのもアズライト様って王宮でお生まれにはなっていないのよ」

「……ふむ?」

 どういうことだ?

「12年前、アゲイト殿下が連れてきた子でね、『この赤子を陛下の子供と認めていただきたい』とか何とかいって。で、そのまま陛下の子供として王宮で育てられたのが、アズライト様ってわけ。でもねぇ……不思議なのよ。アズライト様のお母上はアズライト様をお産みになられてすぐに身罷られたらしいんだけど、その方。後見人も居ない普通の方だったらしくて……」

「……不思議?」

「普通、後見人も居ないのに王族の……しかも国王の子供だなんて認められる事、絶対にないのよ。事実がどうであれ、ね。他に王子が居ないって言うなら別だけど」

「ふむ……」

 たしかに、アゲイトは第5王子だとか言っていたから4人の兄が居る事になる。

 少なくとも5人も王子が居るのだから、後継者を……と言う事であればそれ以上は必要ないだろうし、むしろ、争いの種になりかねない……よな?

「もちろん正式な王子として認められているわけじゃないから庶子って事になってるけど。それだって異例なんだから」

 ふむ……? って事はあの少年には継承権が無いって事か。

 そういえばベリルはアズライトを『殿下』ではなく『様』で呼んでいたな。

「じゃぁ、何で実子じゃないって事になるんだ?」

 むしろ実の子供だからこそ、認めたんじゃないのか?

「そう! それなんだけど……アゲイト殿下の子供なんじゃないかって……」

「は?!」

 ……何でそうなる?

「今じゃ考えられないだろうけど、当時の殿下って女性関係の噂がまったく無いお方でね」

「何っ?!」

 想像が付かん。

「で、実はアズライト様はアゲイト殿下の子供で、殿下は自分の子供を育てたいがために、陛下の子供だと認めさせたんじゃないか……って」

「……馬鹿馬鹿しい」

 仮に本当だとして、あの男がそこまで殊勝な事をするだろうか?

「えーー? でも結構良い線行ってると思わない? 美談だと思うけどなぁ」

「当時がどうであれ、その後はあの色ボケ女好きになる男だぞ?」

「まぁ……それはそうなんだけど……」

「それで? 何でそんな昔の噂が今頃、噂になってるんだ?」

「あ、そうそう。ベルチェ様が帰国されたのよ」

「誰だ? その……ベルチェ様というのは」

 帰国と言う事は今まで他の国に行っていたって事だよな。

 口休めにお茶で喉を潤す。

「ベルチェ様は御領主様……じゃなくて、エルバイト公のご息女よ。殿下の従兄妹で、殿下の婚約者……」

「ぶっ!」

 危ない! もう少しで噴出すところだった。

 げほげほと咳き込む私を、ローゼが心配そうに気遣ってくれる。

「す、すまん! ……続けてくれ」

「……でね、多分『竜姫祭』に合わせて帰国されたんだろうけど……此処だけの話、国王って今ご病気で危ないらしいのよ」

「ふ、ふむ……」

「順当ならこのまま第一王子が即位なされるんでしょうけど……そうなると、アズライト様は後見人が居なくなってものすごく微妙なお立場になるの」

「ふむ?」

「今までは陛下が御後見人になっておいでだったんだけど、それが無くなっちゃうと……ね。アズライト様には他に身よりもお有りでは無いし」

「……ふむ?」

 話が見えてこないな。

「だから、これを機に殿下がアズライト様を実子とお認めになられて引き取るおつもりなんじゃないか……って」

「……はっ?」

「だって殿下には子供は居られないし……ベルチェ様はそのお話の為に帰国されたんじゃないかって。アズライト様が勅使としてこの地に来られたのだってその為の取り計らいなんじゃないかって」

 むむ……なんとなく説得力のあるような……

 アズライトがアゲイトの息子かどうかはともかく、随分と仲は良さそうだったし。養子としてなら引き取る可能性も……ある……か?

 しかし、婚約者……か。たしかにそういった存在が居てもおかしくは無いだろうが……なんだろ? もやもやする。もやもやと言うかむかむかと言うか……腹立たしい。

 いや、私が腹を立てるのはお門違いだとは思うのだが……むむ。いくら病的な女好きとは言え、婚約者が居るのに遊び歩いてるのか?! しかも隠し子を認知させようとか……これは本当かどうかは分からないんだが。

 ローゼとモルダの噂話に耳を傾けながら、腕輪を仕上げる。結局、最後の部分はほとんどモルダにやってもらい、繋ぎの部分は紐で括る事にした。

 私はローゼとモルダに改めて礼を言うと、完成したそれを持って小屋に戻った。

 ローゼやモルダの作ったものと比べると随分と歪んで見えるが……まぁ、それも愛嬌って事で。

 まじまじとその腕輪を見る。

 うん。初めてにしてはうまく出来たんじゃないだろうか? きちんと腕輪に見える。ここ数日ちまちまと編み続けた甲斐あってか、妙に愛着が湧いて来た。

 なんだかあげるのがもったいないような……いや、だからこそ日頃の感謝の気持ちにはなるだろう。……いらないとか言われたら悲しいかもしれない。

 腕輪はいらないとか言っていたしなぁ……やめとくか? だが、いくら必要ないものとはいえ、こういう行事なのだから受け取るくらいは……してくれるだろう。うん。でもなぁ……。

 しばらく悶々と考えていたが、悶えた所で要は相手次第だ。

 渡せそうなら渡してしまえば良いし、そうでなければ閉まっておこう。




今回は(筆者をはじめほとんどの方が忘れているだろう)人物ネタなど。


スティーブ・ロードナイト


 スティーブ=スティーブナイト(輝安鉱)

       鋼灰色金属光沢の鉱石です。


 ロードナイト=ロードナイト(ばら輝石)

        濃いピンク色に黒い斑点のような模様。

        スペルはrhodoniteギリシャ語で「薔薇」の意味から来ているらしいです。

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