恐怖実話を体験したくて行った先で起こった恐怖体験
ありきたりの毎日の中、僕はこんな不思議な体験をするなんて思いもしなかった。
僕は本を読むのが好きで、特にホラーものを好んで読んでいる。
ゾクゾクする感じが好きなのだ。
自宅の棚には怖い本が所狭しと並べられている。
「ハァー、今回のはあんまり怖くなかったなぁ〜。」そう呟きながら本を棚に乗せる。
もう300冊くらい溜まっている。
なぜこんなに溜まったのか…。
もともと本は嫌いではない。
だが、ハッピーエンドの話はむずがゆかしくあまり好きではないというのが本音だ。
棚にはいろんな小説があるが、ホラーがほとんどだ。
中には気に入っている作品もある。
だいたいが体験談的なものだが、この本は想像で書かれていたものだ。
ゾクリとして背筋に汗が伝う。
そんな中、こんな怖い体験を自身がするとは考えもつかなかった。
いろんな場所を見て回るのが好きな僕は仕事の合間を縫っていろんな場所を歩いて回る。
廃墟となったホテルや病院、廃駅や自殺の名所など、皆がいかない様な場所を見て回るのだ。
そのせいか今朝は肩が凝っていた。
皆に話すと決まってこう言う。「そういうところに行くからだ。連れてきてるんじゃないの?」
そう、確かにそう見られてもおかしくない様な場所ばかり行ってるのは僕もわかってる。わかってはいるがやめられないのだ。
ある廃墟ホテルでは1人で探検することが出来ず、ネットで仲間を募って行ったことがある。そのホテルは10階建てで地下もあり、浴槽はボロボロにくずおれていた。ただ、水はあり、露天風呂だとわかる。
懐中電灯の明かりのみで周りを見るには不気味すぎてゾクゾク感が止まらない。
時々ピチャッ、ピチャッと水の垂れる音が聞こえた。
「なぁ、ここ、ちょっとヤバくね?何かこう…ゾクゾクするんだけど。」「そうか?そういう風には感じないんだけど…。でもさ、足が重い。」「それヤバくね?出たほうがいいって。」「そうかもな。じゃあ、出ようか。」そう言った時、生暖かい風がどこからともなく吹いてきた。
テッシュを広げてすみを持ってみると浴槽の方から風が入ってきているみたいだ。テッシュがパタパタと揺れているからだ。
「ヤバイって。行こうぜ。」
しかし、1人は全く動こうとしない。顔は真っ青だ。
「どうした?」「お、俺、今どうなってる?」そう言いながら涙声で喋りだした。
「お、俺の体、どうにかなっちまったみたいだ。動けない。動けないんだよ。なぁ〜、助けてくれよ。」片手を前に伸ばし仲間に助けを求めるが、仲間も真っ青になっており、近寄ろうとはしない。
僕も近寄ろうとしたが、何かに邪魔されたかの様に近づくことが出来ずにいた。
そこに天井から髪の長い女性の霊が現れた。出口は1つ。
僕たちの側がそうだ。
仲間は1人反対側に立っている。
どうしようか悩んだ。
でも、恐怖には勝てずその場から逃げ出した。
その後、すぐに戻ってきたが、そこにいたはずの仲間の姿はなかった。
ただ、懐中電灯だけがその場に残されていた。
明かりをつけたまま…。
慌てた僕らは辺りを探し始めた。
皆同じ部屋を一斉に探す。いなければ隣の部屋へ。そんな探し方をしていたら深夜になってしまった。
同じフロアーにはいなかったので、一つ上の階へと上がり探し始めた。
するとその階のある一室に小さくなって縮こまっている仲間を発見した。
「ハハッ、ハハハハッ。」引きつった笑いとともに真っ青な顔は変わらない。あの後一体何があったのか…聞くのも怖かったが、あえて聞いてみた。
「なぁ、大丈夫か?お前、俺らがいなくなった後どうなったんだ?」
そう聞くと、仲間はこう答えた。
「お、俺、あの後気を失ってしまったからな…。わからないんだ。だけど、目を開けたらここにいた。」
「大丈夫か?たてるか?」「ああ、たてるよ。」
皆揃ったところでその場を後にした。
戻る途中何度も仲間の1人は訴え続けた。
「足が重くてなかなか前に進めない。」何気に1人の足元を見た仲間の1人が叫んだ。
「お前の足元にいる女はなんだ?」と。
「ギャ〜!!」「ワァ〜!ワァ〜!!ワァ〜〜!!」「ヤベーヨ」等と皆叫びながら散らばった。
「お祓い、しようぜ。」「でもどうやって?」「ここに来る前にお守りもらってきておいたんだ。人数分。」「何だよ。それを早く言えって。」「まさか必要になるとは思わなくてさ〜。」そう言いながら皆に一つづつ配っていく。残りは取り憑かれた仲間の1人のみ。お札をしっかりと持ってそいつの元へと歩いて行く。
お札がバチバチ言ってるみたいな感じがした。それでも何とか近くまで行くと手渡しすることができた。
そいつもお札を持ったことで足が動くようになり慌ててその場から逃げ出した。皆揃ってその廃墟から出ると車へと向かって行った。
車にはヒトの手がたくさん付いていた。
一応車にもお札を置いてある。
3台の車を走らせると皆安堵のため息をついた。
「なぁ〜、もうやめようぜ。ヤバかったからさ〜。」「そうだな。確かに今回はヤバかった。やめた方がいいかもな。」「そうかぁ、じゃあみんなとはここまでだな。」僕はそう言って車を止めた。ここは何も無い道路の一角。
下された2人は残りの2台の車に乗り込むとそのままどこかへ走り去って行った。
僕も今日はもう十分だったのでそのまま帰宅することに。
そしてあれこれと考えてまた1人で体験をする方向で考えがまとまるとひとっぷろ浴びて布団に入った。入った直後、体が急に固まって動けなくなった。
だけど一応お守りは首からぶら下げていた為首から上は動けた。
汗がドッと出てきた。
それでも何とかやり過ごし、眠ることができたが、翌朝目を開けた時、天井に手形が幾つもついててビックリした。
あんな高い場所、登ることなんかできないはずだから。それからはもう毎日肌身離さずお守りは持っていることにした。するとおかしなことは起きなくなった。
この不思議なことは一体なんだったのか?そして首筋についた爪痕は一体…。
僕は恐怖が怖くなった。
今では持っていたホラー小説を全部処分してしまった。
それでもまだ時々怖くなる。
ふと、またあの体験をしたらと思うと…。




