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あーちゃん家の心霊事件簿  作者: MOKO
あーちゃん家の心霊事件簿
2/24

夢を見ていた…。

ふふっ 変な夢

イケメンに抱きしめられて、空を飛んでいる。

っもう、数多(あまた)ある欲求不満

全解消だね♪


最近の夢ってずっとおっさんの

つぶやきだったから…

久々に華やかなこの感じ、

幸せだわぁ~(*´▽`*)


『おいw 寝ぼけとるな?お前。』

「えっ? あれっ?

 …あっ…もしかして あんた、九郎丸?」


思い出した…。

確かミサンガ着けたら全身燃えるように熱くなって…


…って

今、空を飛んでいるって事は

私死んじゃったのねwww(;・∀・)


きっと明日の三面記事の見出しはこうね。


【まさか!!】

神社の祠で女子高生 焼死体見つかる!!!

火元はミサンガ?!

事件か 事故か はたまた鴉の呪いかっ?!

             (〇〇新聞)


『…ぷっ、くくくwww

 ちゃうぞ、お前は死んでへん。

 勝手な妄想や

 ほんと想像力たくましい、あほ娘やなぁ~。

 現実では気ぃ失って倒れとるけど、それも一瞬だけや。

 今は意識だけ飛ばしとんねん。

 最も、お前だけやったら飛べられんへんし、

 飛んでも迷子になるんがオチやけどなww』



黒い法衣(ほうえ)に浅紫の袈裟(けさ)

淡くて明るい黒髪。

切れ長でナイフのように鋭く光る瞳。

背中から生えた……漆黒の翼。

その翼で高く、更に高く 飛んでいる。

意識だけっていう この感覚

風がまともに吹いているのがわかる。

たくましい腕で私を抱えるこの人が、九郎丸。


…思わず息を飲んだ。

女の私が思っちゃうほど、綺麗。



「九郎丸…これから私。どうなるの?

 今、何処に向かってるの?」


『ああ? これから面接しに行くんや。

 …まぁ、怖がらんでもええ。

 お前が力をまともに使えればええっちゅうだけの話。

 使えん奴なら…力と記憶を根こそぎ 剥ぎ取られる。

 不合格やったらお前の望み通り、

 ただの人になるんや。』


「面接官って…誰?」

『ああ、俗に言うところの神さんやな。』

「…へ?」


え…えええええ???!

さらっと言っちゃったよwww

この人、神さんって…

k、か…神様って…!!


「ま、待ってよ!!

 そんな急に神様とか言われても…

 心の準備ってもんがいるでしょう?!」


九郎丸にお腹の中まで見透かされるのに

神様って…。

どんだけやばい人なんだろう…!!!


『ああ、アカシックレコードはもう手元にいっとるわな。』


「…赤?シ…レコード??なにそれ?」


『魂が生まれた時から 刻んできたその全ての記憶。

 それに(つちか)われてきた、

 お前の全ての時代の思考っちゅうとこかなぁ。


 まぁ どう転んでも

 お前に悪いようにはならんから、心配するな。

 …ワシも側におったるからな。』


自信たっぷりにニヤっと笑う九郎丸…。

悔しいくらいかっこいい。

どうしよう。私、今までにないくらいドキドキしてる。

あ、私の思考、九郎丸にもろ聞こえなんだった!

ああああああ恥ずかしい!!!


九郎丸の

考えた事、読まれないように

慌てて心の中で呪文を唱える。


【普通の人に戻れます様に…。】

【普通の人に戻れます様に…。】

【普通の人に戻れます様に…。】


『普通の人ねぇ~…

 ワシは嫌やけどな。

 ………

 まぁ、それはお前次第や。』


寡黙になった九郎丸。

な、なんか怒ってる?


ちらっと顔を覗き込もうとしたら、耳元で声がした。

『しっかり、つかまってて。』


…その瞬間。

九郎丸はスピードさらに上げて

高く、高く飛んだ。


えらい勢いで飛んでますね、はい。

もはやここは地球上ではなく

宇宙とかそういうレベルじゃないの??!


…でも、怖いと思わなかった。

むしろ気持ちいい。

わー!地球ってこんなに綺麗だったんだぁ~


『ついたで。』

ずっと下の景色見てたから気付かなかった。

九郎丸の声に漫画のような過剰反応

慌てて顔を上げると

目の前に煙 色付きの雲で出来てるような

超でかいおじいさんがいる。

うまく聞き取れないけど、

何かしゃべっている…。


全く聞き取れない。

九郎丸も寡黙…いや、九郎丸もなにか話してるみたい。

だけど、やっぱり、


会話は聞き取れない…。




あっ…あれ…?

なんか、意識が…遠くな、って…

ぁ…ダメ…お…ちる…。


…って、へ?

ほんとに落ちてる??

私、落ちてるよね今!! しかも物凄い勢い…!

ヤバい浮かばなきゃって

思って九郎丸に手を伸ばした。


でも、手を伸ばした先に

ちょっと強面(こわもて)の綺麗な女の人がいて…

(やっぱり煙 色付きの雲で出来ている)

物凄い力で押さえつけられた。

私、初めて怖いって感じちゃったよ。


【やだ…怖い!! 助けて…】

「九郎丸!!!」




気が付いたらジャグジーみたいな水の中にいた。

あ…気持ちいいわ。めっちゃ癒される(´-ω-`)


バブルのお風呂 

ずっとここに入っていたい~

って思ってたら

気持ちよく目が覚めた。


祠の側 柵の外

足には…まだ少し熱いミサンガ。


「く、九郎丸…いる? 全部夢、だったのかな?」


『ワシはここにおるで。

 残念ながら夢ちゃうねんな~

 普通の人には…

 なりそびれたみたいやねwww』


「!?」

さっきまでと違う

なんか違和感がある。


そうだ、九郎丸の声。

頭に響いてない…?

外から聞こえてる?

声のする方に振り返ってみた。


「wwwwwwwww( ;∀;)」


お腹をかかえて笑う九郎丸の姿

ハッキリ視える。

しかも、おっさんの姿も

あの強面の綺麗なお姉さんも…視えてる。


いかん…目眩がしてきたwww

ちょ、今朝よりひどくなってない?


「九郎丸…私、この先どうなるの?」







最初に答えてくれたのは

綺麗なお姉さんでした。





『別に…どうもせん。

 ただ始まっただけじゃ…』


威圧感びりびりきたんですけどぉおおおwww( ゜Д゜)

思わず間の抜けた返事をする。

「は、はぁ…」


綺麗なお姉さんは九郎丸を見て


『全く、本に其方は強引な奴じゃのう…

 力の覚醒は中途半端にすると危険。

 この者が完全な覚醒をするまでは

 其方が…責任を持って見守るがよかろう。』


九郎丸はかしこまって膝をつき



『御意。』


そう答えると

強面の綺麗な人は私を一瞥(いちべつ)して

煙のように消えていった。


「今の女の方は神様?」


『ん? あぁ、 宝玉の化身…ちゅうとこかな。』


「へ~。…おっさんもいるね。」


『あぁ、やっとまともに

 声が聞こえるようになったんやし、

 本人に自己紹介してもろうたらええやんか。

 ほれ。そこのあんさん、はよ明日香に謝りや~』


「え?おっさんと話せるの?」


『すいません。ごめんなさい。明日香さん

 九郎丸さんに教えていただくまで

 ずっと私の声が聞こえているものと思い込んで

 話しかけていたんです。

 まさか 私が話しかけているせいで、体調を崩されていたとは…。』


………そっか。


おっさんには文句いっぱい言わなきゃって思ってた。

思ってたんだけど…

いろいろ有り過ぎたからさ…

怒る気力もう残ってないんだよねっ☆


「もういいよ~

それで?あなたはなんで私に憑いて来たの?

 何を話しかけてたの?」


『…私は、私はただ家に帰りたいだけなのです。

 帰って誰かに何かを話さなければいけない事があるはずなのに…。

 帰り方がわからない…。

 それどころか、自分が何処へ帰ればいいのかさえわからない…っ!』



「………ごめんなさい。

 やっぱり私じゃ、役に立たないと思います。

 だって、あなたがどこの誰かさえわからないんだもん…」


そもそも、なぜ私に憑いて来たかさえ疑問なのに…。

助けを求めるように九郎丸をちらっと見る。


白々しい顔で

九郎丸は、だんまりを決め込んだ。


『……』


手助けしないつもり?

どうしたらいいんだろう?


『不思議な事ですが

 あなたが私に話しかけてくれた時、

 私が何者かを思い出せたんです。

 どうしてこんなことになったかも…。

 でも…そこから先が、どうしても思い出せない…。』


「九郎丸、私どうしたらいいの?」


『さぁ…?自分で考えてみぃ。』


腕を組んで試すように私を見ている。

かっこいいけど、

上から目線でなんかむかつく!!


やってやろうじゃない…。

見てなさいよ…

名探偵 明日香さん ここに参上よ( `―´)ノ!!



そうね…。

生きている人なら

捜索願も出てるだろうし

警察に任せちゃうって方法もあるんだけど。


「………」

迷子ってことなら…。

基本捜査から行きましょうか!!!


「ではまず、あなたの名前は?」

保多(やすた)基哉(もとなり)です。』


「年齢は?」

『たぶん…37歳。』


「季節外れの服装ね。 いつ頃亡くなったの?」

『わからない。』

「そっか。」


・長袖のフランネルシャツ

・カーキ色のジャケット

・スリムジーンズ


見た感じでは秋か冬よね。

冬だとしたら、ちょっと寒そうだし…

やっぱり秋かなぁ?

流行に左右されてない服って…

わ、わかりづらいなぁ~


いつ亡くなったかもわかんないって…

そっから先に進めないじゃん((+_+))


「他に憶えていることってあります??」

『家族がいたと思う…女の子…。

 でも…自信がない…。』


う~ん…(;・∀・)

「九郎丸、やっぱり私じゃ手に負えないよ~」


『降参か?ww』


「うん。」 


『ほな、なんか言わんとあかんよなぁ?』


「え?…何かあったっけ?」


『おいおい、本気か??!

 「お願いします。九郎丸様」やろぉが。

 人に物を頼むんなら、礼儀として当たり前やろぉ?』



【な、なんだとぉ??! 九郎丸、本気で質が悪いかも…。】



悔しい、が…どうすればいいかもわからない…。


「お…お願いします。九郎丸さ…ま…?」


『声が小さい!!』


「お願いします。九郎丸様!!」


『よし、よかろう(笑)

 やっぱりお願いされるんは気持ちええなぁ~』

「………。」


勝ち誇った顔。自信満々

澄まし顔の九郎丸…

かっこいいっていうの撤回する。 忌々しいの、間違いだわ…。


『おい、基哉。お前の持っている記憶を、明日香に見せてやれ。』


『えっ?…でも、どうやって?』


『大丈夫、簡単や

 お前の手を明日香の額の上において

 思い出せる全ての記憶と場所をイメージするだけでええ。

 

 明日香、お前は、その可哀そうなくらい

 微弱(びじゃく)な集中力と記憶力を総動員させて、

 額から流れる映像を覚えるんやで。

 わかった? わかったら二人とも返事。』


『「…はい。」』



私たちは九郎丸に言われた通り、

境内の裏手にあるベンチに座った。

あー、もう日が高くなっちゃってるわ~

今日は日曜日だから

割とたくさんの人が参拝しに来てるみたい。

選んで座ったベンチは裏側のひっそりとした木陰にあるから

まだ涼しくて、人目につきにくかった。



基哉さんは私の額に手を置いた。

頭の中ひんやりする。

九郎丸が近づいてそっと耳打ちをした。


『明日香、映像のイメージ視るんは簡単や。

 問題はその後やでww しっかり気張りなはれや。』

「そ、その後って…?

 まさか!さっきみたいに、いきなり熱くなったりするワケ?」


『いやな~。

 記憶を共有するってことは、

 死んだときの痛さや苦しさも、全部。共有するってことやねん。

 例えば、基哉が交通事故ではねられて、

 内臓とかぐっちゃぐちゃになってた場合、

 記憶が残ってたら そん時の痛みなんかも

 イメージで伝わんねんな~

 まぁ……が・ん・ば・れ✩』


「ファッ??!Σ(・ω・ノ)ノ 何それ?!

 そんなの聞いてな…『では始めますね^^』


「いやだぁぁぁぁぁ!!」

同時だった…。

まぶしい光に身体が包まれていく感覚。

…九郎丸のやつ、絶対わざとだよね?!

わざとぎりぎりまで黙ってやがったなぁああああ!!

あいつ、本物のドSだ…!


最後に九郎丸をちらっと見たとき

楽しそうに笑っていたの

私、見落とさなかったもんねっ✩



光りの中からだんだん映像が視えてきた。

頭の中にイメージが次から次に浮かんでくる。

…でも、とても断片的。



駅の改札 電車の発車音


バスの中から見た景色


角のパン屋 庭の草木 赤い屋根の家


おさげの小さな女の子 その母親らしき人

でも、顔が見えない。

……切なくて胸が苦しい。

あぁ。この人達の事…すごく、すごく愛してたんだなぁ。



新聞受けから見えてる新聞

お、日付があるじゃん✩

平成〇年10月…えっと…


日付はここまでしか見えない。

8年前かぁ~


バスの停留所 えと、名前は…

 《城南支所前》

それって…どこ??(・_・)

まぁ、大きな手がかりなのは間違いない!


あれ、今度は病院?

消毒剤の臭い。

いたっ…せ、背中……痛いっ

これ…九郎丸の言ってたやつだ…。

背中と腰 めちゃくちゃ痛い…じ、事故?


『はい、そこまでや。…おいで』

基哉さんのイメージのはずなのに

いきなり九郎丸が現れて、私の手を引っ張った。


気付いたら景色が戻っていた。神社のベンチ

『お帰りぃ~』

「………」

や、やばかった…。

あれ? でもどうして九郎丸は

タイミングよく手を引っ張ってくれたんだろ?

おかげで助かったんだけど。


「ありがとう。…ちょっと怖かった。」


『顔がいきなり変なったから、ヤバいと思って(笑)

 …ほんで、わかったか?』


「うん、おそらく

 基哉さんは平成〇年の10月ごろ亡くなってるみたい。


 バスの窓からパン屋さんが見えた!

 停留所の名前が確か…《城南支所前》

 

 あとは…

 庭のある赤い屋根の家。

 おさげの小さい女の子と、それを見てる女の人。

 顔はよく見えなかったけど、

 たぶん基哉さんのお嫁さんとお子さんだと思う…。」


『上出来やん。』


「でも、私知らない場所だったよ。」


『こっから先は、現実的に時間がかかんねん。

 とりあえず、家に戻ってからやね。』


「…家って…私ん家?…みんな来るの………?」



行く前は一人だったはずの憑きものが、

二人になって帰ってきたら、

お母さんも敦も、嫌がるだろうか…

敦の反応が目に見えて想像できるから怖い。


父さんがいないのがせめてものすくいだわ~

なーんて色々と考えながら

重い足取りで自転車をこいでいる。


九郎丸は黒い羽根を優雅に羽ばたかせながら

私の後を憑いて来ている。


神社で自信たっぷりに言ったセリフ、

『お前の家族は基哉が視えてても

 ワシには気付かんから安心しぃや~

 なんせ、ランクが違い過ぎるからなぁ✩』


「そうなの?…そんなもんなの?…

 でも、私に見えているよ、なんか不安だなぁ。」

『ふっ、お前も今日まで視えてへんかったやろwwww』


九郎丸のやつ、鼻で笑いやがったよ!!!

まあ、それはそうなんですけどぉ…!


帰り道は行きと違って完全に日が昇っていた

かなりアスファルトが熱くなっている…。

やっぱり7月、もう夏だな、じんわり汗がにじんでいる。


足首のミサンガは、もう、普通のミサンガでしかない。

足が気になっているものの、

火傷も痛みも、今は無い。

不思議な事もあるもんだ(笑)


あの熱さ、夢だったのかしら

それにあの綺麗で怖い女の人。

雲のおじいさん、あの時なんて言ってたんだろう…。


結局、普通の人にはなれなかった。

でも、面接って何だったのかな?

私、なんもしてないよね??


わずか10分の道のり、ひたすら悶々としながら自転車をこいだ。


玄関先についた同時に

おめかしばっちりの彩夢が出てきた。


「あ、おかえり。

 例の人は祓えたの?」


……………


「う~ん…ま・だ✩…かなっ?」


「ふ~ん、大変だね。ま、私には関係ないけど。

 これからのんちゃんと駅で待ち合わせなんでwww

 じゃあね~」


ううっ、冷たい、冷たすぎるよ彩夢たん。


後ろでケタケタ笑い声がする

…なんか腹立つ。

「九郎丸うるさい!!!」


『ええやん、ええ妹やん。

 ある意味最強やなwwww』


「うん。黙れ? (怒)」

『はいはい。』


「…二回返事ってさ

 こもってないんじゃなかったっけ?

 …誠意(-"-)」


『おぅ!よぉわかったな!!

 せやで?はなから黙るつもりないからなぁwwwww』


何故か勝ち誇った顔


『ワシが黙ってたら、ええ加減お前あほやし、困るやろ?

 いろんな意味で(笑)


 ホンマ。ただでさえ どんくさい奴やのに

 …ぶつくさ文句言わんと、はよ次の作業せぇ。

 次の工程移られへんやん。』


むっ かっち~ん!!!

ええい、腹立たしい…。


『わかったら さっさと行動せい。』


「わかったよ。」


我が家に着く前、九郎丸に言われた…。


『自分スマホあるやろ。あれで城南支所前調べてみぃ。』


言われた通り、帰宅後

そっと私の部屋へ

もう、超ダッシュ!!!!

そのまま愛しのマイベッドに勢いよくダイブ!!!!

ああ~…癒されるぅ~~~~~~~


九郎丸に言われた通りスマホでググってみたら…

って出たよ、出た出た。

これでもかってくらい、たくさん出ましたね。

コイツぁ~びっくりだねお富さん( ゜Д゜)(古っ)

私にどうしろっていうの?


「………」

あまりの情報の多さに絶句した私。

九郎丸は笑いながら

『なんも全部当たらんでも、ええねんで。

 基哉、お前 確認せえ

 この中に惹かれる場所あるかぁ?見てみぃ。』


色々みているうちに

基哉がふっと

『たぶん…ぐ…群馬…。そんな気がします。』


『なんや、思い出したんか?

 話が早いやんけ。

 そんだけわかったら、もうええわ~

 今から、そこ行ってみるとええやん、な?』


「えっ?今から?行くって( ゜Д゜)???新幹線???」


『あほぉ、学習せい。

 意識だけ飛ばすねん。

 さっきみたいにな( `ー´)』


九郎丸

そう言った後、ちょっと考え込んだ。


『………。』


『…ただ、ちょっと時間と、体力いるかな…

気合入れな この先あかんやろなぁー…』


私の顔をマジマジ覗き込む、


なに、なに? 九郎丸?

漆黒の目 吸い込まれそう

ヤバい ちょっと綺麗過ぎてドキドキする。

不覚にも固まってしまった…。


『…何ぽけ~っとしとんねん!!

 ワシがええ男過ぎるからって

 見惚れんなやww』


「えっ!?あっ…ごめん…。」


…九郎丸、性格悪いけど目だけは綺麗だ。

素直に思ってしまった。


『…あほ。ほんまお気軽な奴やな。

 あんな?意識飛ばすんは、寝るのが一番なんやけど…

 けど、意識飛ばしとる間は誰にも起こされんようにせんとあかん。

 これから行くか、夜まで待つか…。

 どうする?』


「これから寝るって…。

 まだ、昼前じゃん?

 ゆっくり寝るなんて出来るわけww」


『まぁそうやな(笑)

 明日の補習の予行演習のため、

 世界史の勉強でもしとくかぁ~?

 この九郎丸様が特別に見てやるでww』


「ほ、補習…!」

【…いきなり現実感あふれるその単語…

 忘れてた…いや、永久に忘れていたい…( ;∀;)】


「いや、お母さんに体調悪いって伝えて寝るよ!!

 今日はもういろいろ…と、とにかく体調悪いのでシャワー浴びて寝るの!!」


『………本気か?』


『………あの、明日香さん 私、急ぎませんので、

 世界史してくださって構いませんよ?』


「いえ、心配ご無用。私寝ます!!

 むしろ寝させてくださいぃいいいい!!!」


『ふむ…やっぱり……世界史から逃げる気ぃやな。』


「……だ、だめですかね?」


『当たり前や(。-`ω-)

 教科書開け、ワシが見たるゎ。

 せっかく憑いてやっとるのに、あほなまんまやったら困るやん。』


九郎丸…一言余計だよ?



みっちりお勉強に付き合ってくれた九郎丸と基哉さん。

集中したせいか、時間が過ぎるのはあっという間だった。

気付けば日が西の方に沈みかけている。

意外に九郎丸って物知り

世界史、面白いコメント満載だったww

そんで楽しく憶えられたww( *´艸`)


基哉さんも、この前のお詫びだからって

物理と数学めっちゃ丁寧に見てくれて


もう、夏休みの宿題はかどっちゃったじゃん✩

夏休み今日からだっていうのに半分済んでる!!


もう奇跡だよww

めっちゃうれしい~(*´▽`*)


いつもぎりぎり、何教科かは友達頼りなワ・タ・シ✩

今年は、うふふふふふふh…


しかし、夕飯時には疲れがピーク。

かなりぐったり、スパルタ九郎丸にせかされ、

お勉強3か月分まとめてした感じ…。


しばらくしたら、きっとお母さんから声がかかる。

その前に夕飯準備のお手伝いをしにキッチンへ行かなきゃ…。

意外と良い子の明日香さん。


いよいよ、出陣!!

普段なら、な~んにも問題ないんだけど

今日はかなり緊張する。 



九郎丸と基哉さん

母と敦とのご対面だよw


階段をおりて

キッチンの扉を開く前。

振り返って2人に声をかけた。


「じゃ、入るからね。」


大きく息を吸って、思いっきりノブを回した

かちゃっと低い音がした。


キッチンの中に入ると

お母さんが何か作ってた。


【匂いからして八宝菜かな?

 大好きなやつだうえええええいwww】


『おま、さっきまでの緊張感どこいってんwwww』



「あら、いつ帰っていたの?

 やけに静かだったから気付かなかった~

 今日はいつもみたいに音楽ガンガン鳴らしてなかったのね?

 神社参拝で祓えたの?」


味見していたお母さんが振り返った。


「あら…?まだいるのね? でも、明日香も朝と色が違うわね?

 …なんかお札かなんか持って帰っているのかしら?

 守りが付いている??」


『うっひょー!

 おかんもすごいやんか、そんなんまでわかるんかい?』


「え?お母さん何か視えているの?」


「ううん、いつも形ははっきり視えないんだけど

 色付きの光る玉は視えるのよ(笑)」


「そうなの?今も光の玉視えている?」


「そうね。」


「どんな感じ?」


「いい感じよ。」


「何それ?わかんないじゃん(。-`ω-)」


『ぶっひゃはははwwwww

 おかん、最高やん(笑)

 ええやん、ええやん

 家族そろって天然感満載てww』


【うるさい。九郎丸、MAJIうるさい。】



「体調いいなら夕飯の支度手伝ってね。」


「へいへ~い。」


テーブルにランチョンマット、お箸をSET☆

もくもくと夕飯の支度をする。

大好きな八宝菜~♪♪ らららら~♪♪

久々に頭痛から解放されて、ごはんも美味しく食べられる~

知らず知らず鼻歌を歌っちゃってたよ~♪

ふふふ( *´艸`)


『良かったのぉ、昨日までチューニング合わんかったからなぁ(*´з`)

 ワシのおかげで美味しく召し上がれるやんなぁ~。

 めぇいっぱい!感謝してくれてもいいんやでぇ?いいんやでぇ??』


「はいはい。そんなことより九郎丸。

 この八宝菜ちゃんはあげないからね?」


『あほ、いらんわ。

 

 ワシら食べんでええねん。 

 人間みたいに殺生せえへんでええようになってんの。』


『ボクも香りだけで お腹いっぱいになれます。』


「あら、そうなの? 残念ねww

 こぉ~んなに美味しいのに✩」


「彩夢はのんちゃん家でお泊りなんだって。

 今日は明日香と敦とママの三人よ。

 あ、手が空いたら敦も呼んでちょうだい。

 いつもより人数少ないけど普通に作っちゃった✩ テヘ」

こそこそ話していたら、お母さんがそう言った。

は、八宝菜いっぱい余ってるぅうううう~!!!


【やったね✩】

『デブるで~』

「ちっ…うるさい(-_-;)」


ぶちぶち言いながら

階段を上がって

敦の部屋の前まで来てみた。


敦に恐る恐る声かけてみる。

もしこの二人が見えたら、

敦は怖がるかな~…。

また避けられ続けることになるかも?!

お姉ちゃんとしてはそれが一番心配。



はぁ…ドキドキする

こればっかりは蓋を開けてみないとわかんないよねぇ~!!


思い切って

ドアをノックした。


「敦 ご飯だよ(´・ω・`)

 今日神社行ってきたし

 もう怖くないから出ておいで。」


「ほんと?お姉ちゃん、もういなくなってる??」

敦がそっと顔を出して私の様子を伺った。


「あ、ホントだ! 居なくなってる!!!」


「えっ( ゜Д゜)!?」

【なんで?】


『心配いらん。ちょっと基哉に細工したんやwww

 敦はちょいと感が鋭いみたいやからな~』


【そんな事出きるんなら

 私ん時でも最初からそうしてくれればよかったじゃん?!】


『あほ言え!

 お前は前世の行いが悪いから

 甘やかしたらダメと決まっとるんじゃ!!

 ポケッとせんと、さっさと用意して飯食え!! 

 この先にする事があるやろがぁ( `―´)ノ』




【くそう なんだよ前世って 覚えてないのに

 人を罪人扱いしてくれちゃって…!】


「…ちっ」


『ああ~ん? なんやその舌打ちは。なんか文句あるんか?』


【べっつにぃ~~?? 文句なんてございませんよ。】


する事あるのも事実だし

文句言っても変わらないし

ここは私が大人対応しなきゃねwww



体力いるって九郎丸言っていたし 

もりもり食べて

これから先 戦いに備えとかなくちゃ…(^_^;)


夕飯おいしくいただいて

いつになくマッハで片付けして

お風呂っ♪おふr…


あれ?


九郎丸はともかく 

基哉さんっていつでもどこでも憑いてきてたよね?



「ねえ基哉さん。

 お風呂の時、私の裸とか…

 

 その…み、見てないよね?」


「大丈夫です。

 見てないです‼ 見えないです‼ 安心してください(;^ω^)」


「見えない?」


『気にせんでも、お前の後ろさんが見せん様にしとる。

 まあ、見てくれ言われても、そんな貧相な体 

 こっちから願い下げやけどなwww 』


ーごつんー

ごめん。殴るつもりはなかったんだけどね…。


「乙女の体を貧相たか言うなぁあああ!!

 え?てか、後ろさんって? 守護霊とか、いるの?」


『おらん人間おらんて。』


「!?工エエェ(゜〇゜ ;)ェエエ工!?

 いたのなら 今までは視えなかったから

 仕方ないとしても 視えるようになった今、なんで視えないの?」


『そんなん気にするんか? 

 敦と同じや。 

 必要な時には、ほっといても視える。

 反対に不必要なときには全く視えなくなる。

 テスト中に答案用紙みたらいかんのと、変わらん原理やで。

 まぁ 心配せんでもワシには視えとるし、挨拶もとうにすんどる。』


「なんか腹立つ言い草だなぁ。」


『そんな事より、禊はしかりせいよ。

 風呂出る時 真水浴びて体清めて コップ一杯の水を飲むんやで。

 それから帰って来た時ようのコップ一杯の水も、

 忘れたらあかんで きっちり枕元に用意しておかんと

 あとが辛いぞ。

 ワシと基哉は部屋で待っとるからな!』


「水浴びするの?シャワーでいいの?」


『シャワーでも きっちり冷水ならええ

 水風呂ならさらにええ。

 ホンマは 綺麗な川に全身浸かった方がええ。

 御湯はあかん 真水やで。

 その理由はな…。』


【川って…それは無理でしょ…さすがに…。

よくわかんないけど…取り敢えずシャワーとコップ一杯の水ね…。】


「はいはい、善処するから、部屋で待っててよ。」


ぶつぶつ言ってくる九郎丸

話を聞いていると長くなりそうなので


シッシと手を振って

バスルームのドアを閉めた。


『なんやねん。人が話しとる最中に…ちゃんと聞かんかい‼』


ドアの外から九郎丸が叫んでいた…。

真水のシャワー

夜は まだちょっと冷たい…。

震えながらも冷蔵庫の中に入っていた

ミネラルウォーターをコップ一杯飲む。


もう一杯のミネラルウォーターを汲んで、部屋に戻った。


私も律儀だねぇ…(*´з`)

これで風邪引いたら とことん九郎丸を責めてやろうっと


久々頭痛もなくゆっくりバスタイム

嬉しくて1時間以上入っていた…。

シャワー寒すぎて

何回かお湯に逆戻りしたためってのもあるけど


部屋に戻ると待ちくたびれた様子の2人がいた。





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