表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪いの旧校舎  作者: 鈴夏
3/4

中編2


旧校舎からでる方法は大きく分けて三つだ。

旧校舎には階段と昇降口が三つある。

そのうち、西階段の一階から二階はすでに通れなくなっている。

彼らは西階段を四階から降りていき、二階の中央階段前で二手に別れた。

昇降口と階段は近く、中央昇降口は常時開放されている。

また、東昇降口は彼らが入ってくるとき開けたままにしていた。

よって、彼らが旧校舎から逃げるには追い付かれる前に階段を降りる事が必要だ。


閑話休題。


一人になったことで心細さや恐怖心はどんどん大きくなっていった。

それでも足を止めることはできない。

彼も、足を止めれば終わりだと分かっていた。

何度も何度も段につまずき転びそうになった。

恐怖から足はもつれた。

それでも彼は止まらない。

止まれば最後………。

突然、バランスを崩す。

階段から落ちていくなか、彼が最後に見たのは、

息を乱し、歪んだ笑みで彼を突き落とした少女の姿だった。


一方その頃、もう一人は無事に階段を降りきっていた。

「は、は、は、は、はははは。」

口から乾いた笑いがこぼれる。

もはや、気が狂いかけていた。

それでも、彼は昇降口から旧校舎をとびだした。

そのまま荷物をもって家に向かい駆け出した。

家に帰ると、彼の祖母は驚いた顔をした。

「今日はずいぶん遅かったねぇ。夜ご飯食べるかい?」

とまどいながら、笑みを浮かべて尋ねる祖母にも彼はそっけなく返事をする。

「いらない。もう寝る。」

ただそれだけ言うとそのまま自分の部屋に行きベッドに飛び込んだ。










ピチャリ、ピチャリ

どこからか響く水の音。

目の前は真っ暗だ。

気がつくと前にいたのは痩せこけた少女。

あの幽霊だ。

すぐに逃げ出す。

髪を振り乱して追ってくる。

逃げ切ったはずなのに、迫ってくる。

ああ、逃げられない。

『死、ね、』

その言葉を最後に意識は失われた。

彼が最後に見たのはガサガサの髪を振り乱し、その目に歪んだ狂気を宿す少女の姿だった。

補足説明です。


最初の犠牲者……一番最初に発言した彼。自他共に認める怖がり。本当にあった話を最初にしていた話の次に話していた人。


階段を降りる事ができなかった人……すべての元凶。旧校舎に入ろうと言い出した。百物語中、あまり怖くはなかったと言った人。


家に帰りついた人……一番かわいそう。旧校舎に入ることに最後まで反対していた。祖母と二人暮らし。おばあちゃん子。最初の怪談は祖母に聞いた話。最初の階段を話していた人。


祖母……家についた人の祖母。孫に《呪いの旧校舎》の¨呪い¨として、最初の怪談を教えた。呪い騒動の始まりからピークまでの事を知る数少ない人物。最初の怪談は幽霊騒動の中で先輩が後輩に話していたもの。


少女……幽霊。最初の怪談に出てくる少女。病によって骨と皮ばかりのまま死んだが実は結構美人。家についた人の祖母の三つ上の先輩。



四という数字にこだわりましたが、死人の数(男子三人+少女)なのか、この話の開始時点で生きていた人の数(男子三人+祖母)なのか、はたまた別の数え方なのかはご想像にお任せします。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ