中編1
ギィィィ
「うへー、めっちゃきしむ!」
「なんで木造なんだよ!」
「中は改装してないんじゃね?」
そう、旧校舎は見た目:コンクリート、中:木、という意味不明な作りになっていた。
「きしみすぎじゃね?」
「崩れたりしてな!」
「おいおい、縁起でもねーこと言うなよ!」
「「「『あはははははははははは』」」」
「ん、何か今高い声混じってなかったか?」
「は?気のせいだろ?」
「それか呪われたとか?」
「こえー」
「怖がってねーだろそれ」
『』
誰かの気配を感じる。
恐る恐る振り向くと、
『見、た、な、』
「「「で、出たーーーーーっっっっ!?」」」
痩せこけて骨と皮ばかり。
ボサボサになっている髪をツインテールにした制服姿の少女が落ち窪んだ眼球をギョロリと回していた。
彼らは当然悲鳴をあげた。
思わず逃げ出すと彼女も追いかけてくる。
「ま、待てよ?もしかしたらふつうの女子かもしれないぜ?」
「そう思いたいなら勝手にしてろ!」
「そうだったら後で謝ればいい!今は逃げろよ!!」
彼女は髪の毛を振り乱しながら追ってくる。
その形相を見てしまい、一人が転んだ。
「おい、ダイジョブか!」
「お前らは逃げてろ!俺は説得してみる!ふつうの女子かもしれないし!」
「それさっきも言ってたよな!?」
「もうそこまで来てる!!」
「っまた後でな!!」
「置いてくのかよ!」
「仕方ないだろ!!俺だって置いてきたくなんてないに決まってる!!」
「ほら、急げ!」
「くそっ!!」
転んだ一人を置いて二人は逃げた。
泣きながら走った。
置いていかれた方はというと、
「な?話せばわかる。な?な?」
『………………………………』
必死の説得に立ち止まる少女。
「わかってくれたか。」
動きを止めた少女を見て彼は思わず安堵の息を漏らした。
だが、つかの間の安堵だ。
彼が最後に見たのはガサガサの唇を三日月形に歪め、包丁を振るう少女の姿だった。
「っぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
その悲鳴は逃げる二人にも届いた。
「おい、まさか。」
「あ、あいつは怖がりだから大げさなんだろ。」
その声について考えを巡らせている間に彼女に追いつかれそうになる。
「二手に別れよう!」
「じゃあ俺は次の階段降りるからお前はその奥の階段で降りろよ!」
そうして二手に別れることとなった。
意味など無く、助かることもないと知らずに……………