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呪いの旧校舎  作者: 鈴夏
1/4

前編

ある少女がいた。

彼女は病を患っていた。学校に行きたいという思いから苦しい闘病生活を乗り越え、学校に行けるところまで快復した 。

学校に行けるようになった彼女を待ち受けていたのは孤独だった。

『病気だから。』

ただそれだけの理由で孤立した。

学校に行くのが苦しくなり、怖くなり、持病を悪化させ、入院した。

それでも、彼女は中学に通った。

だが、ひとりぼっち。

生きる意味を無くした彼女はとうとう自殺した。

『ただ、「学校」に行きたかった。 楽しい学校生活を送りたかった。』

その思いから幽霊になってもなお彼女は学校に通っている。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

  カチリ

「怖かった~。」

 夕暮れ時の校舎。

 カーテンを締め切った室内。

 話をしていた男子が話終わった合図に手に持っていたライトを消すと、聞いていた二人の男子のうち一人がそう呟いた。

「そうか?俺はそうでもなかったけど。」

 その呟きに反応してもう一人の男子が喋り始める。

「お前と違って俺は怖がりなんだよ。というか、今の話なんか聞き覚えあるんだけど、パクリ?」

 軽く反論してから話をしていた男子に問いかけると、バツが悪そうな様子で口を開く。

「あー。パクったと言えなくないかも。

 《呪いの旧校舎》の詳しいバージョンだし。」

「マジで!?」

「うそだろ!?」

 勢いよく反応する二人

「おう。ばあちゃんが学生の頃の話らしーぜ。」

「つーかさ、どうせならその話90くらいにまわせよ。」

「ネタ切れだよ、ネタ切れ。三人で百物語はネタ切れるに決まってんだろうが。大体蝋燭でやれよ。」

 ライトを下におき、彼はふてくされたように言った。

「学校で蝋燭はまずいだろ。火災報知器ついたらやべーもん。」

「もん、じゃねーだろ。なら学校でやるなよ。」

「学校でやってみたかったんだよ。」

「だーっ。もうわかった、わかった。ほら次!」

「俺だな。」

 次の話を急かす声に怖がりだと主張する彼が返事をし、ライトを手に取った。

「いいか、これは本当にあった話だ。……………………」






 彼らは今、百物語をしている。

 彼ら中学一年生の男子三人は部活の終わった後、こっそりと普段から鍵のかかっていない部屋でライトを持ち寄り、百物語をする計画をたてていた。

 そして、今日は計画の実行日であり、すでに半分の話が終わっていた






「いまので99だから終わりでいいよな。」

「もう大分暗いしな、つか、もう夜だなこれ。」

「よし、そろそろ帰るか。」

 帰る準備をしていると、ふと、誰かが思い出したのか、こんな提案をした。

「なあ、《呪いの旧校舎》行ってみないか?」

「はぁ?呪われるぞ?」

「締め括りにはいいかもしれないな。」

「おいおい、お前ら正気か?」

「正気だぞ?」

「ついでに本気だな。行かないなら別にいーぜ?」

「はぁ。俺も行くよ。反対はしたからな。」

 その流れで一行は旧校舎に赴いた。

「やっぱ古臭ぇよな。」

「これでも補修工事は20年ごとにしてるはずだぜ。」

「あと2年だからな、次の工事まで。」

「じゃ、もう18年か……。手抜き工事か?ボロすぎんだろ。」

「中、入ってみよーぜ!」

「いよいよ本格的に呪われるな。」

「ここでいかなきゃ男が廃るぞ!」

「そうだそうだ!」

「誰も行かないなんていってねーだろ。」

「よし、開けるぞ。」

 ギィーー

 扉は音を立てて開いていく。

「今の音でばれたんじゃね?」

「……誰も来ないうちに入ろう!」

「「賛成!!」

 彼らはそのまま入っていった。

 もう、後戻りは出来ない。

 逃げ出すことは叶わないのだ。

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