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棒を片手に俺はVRMMOを満喫する。   作者: かぼちゃ頭
第1章 新しい世界
9/60

第7話 訓練は続く

テスト期間のため、次回からちょっと更新ペースが遅れるかもです;w;


放課後、俺は圭介と互いにゲーム内でのキャラ名を教えて家へと帰宅した。


帰り際に聞いたのだが、圭介は今は臨時で組んだPTのメンバーと行動しているらしい。


まあ、圭介はアホな行動が目立ちはするが周りを巻き込んでいつの間にか笑わせたりしてくる奴だ。それなりに人望もあるし、コミュニケーション能力も高い。ゲーム内でも仲間と楽しくやっているだろう。


俺も一緒にPT組まないか、と誘われたがまだゲームに慣れていないし断っておいた。それにあの訓練場での練習は思ったより力になりそうだしな。


今日の夕飯は何にしようか、ゲームでは何をしようか。

考えることは尽きないまま、気が付いたら俺は家の前に着いていた。

玄関を開け、誰もいない家へと入る。

親は共働きだし、帰ってくるのは夜遅くだ。

今日もギリギリまでログインできるだろう。


俺は荷物を置き、先に夕飯を食べるためキッチンに入りテキパキと調理していく。


今夜は冷蔵庫に入れてあった魚を使った焼き魚と豆腐、ほうれん草のお浸しというザ・和食メニューだ。


魚は簡単に味付けをし、強火で一気に焼き始める。

表面が若干焦げるように焼けたら、今度は中火に替え、中の方へと少し時間をかけて火を通して焼いていく。

魚の焼ける香ばしい匂いをかぎつつ、俺は魚が焼けていくのを確認すると、

今度はほうれん草を調理し始める。水で手洗いし、ギュッと水気をきると一口サイズにほうれん草の束をカットしていく。


ふんふふ~ん、と最近はやりの鼻歌を歌いながら魚が焼けたのを確認し、ご飯をよそい食卓へ並べる。


一人なので誰もいないがいつものことだ。


「いただきます」


手を合わせ合掌。

俺はさっさとログインするため、夕飯を書き込むと自分の部屋に行きVR機を装着する。

ベッドに寝転がった俺は再びゲームの世界へと意識を落としていくのだった―――――







目を覚ましたのは昨日、ログアウトした場所……ではなく何故かベッドの中だった。


ベッドから起き上がり周りを見てみると、そこはどこかの一室らしかった。簡素なベッドに壁際に設置された机と椅子。

生活に必要最低限なものしか置かれていない質素な部屋だ。


どこだここ?


少なくとも昨日居た場所ではないのは確かだが……

部屋にはここがどこか分かりそうなものがないため、今度は部屋の外の方へと出てみる。

部屋を出た先にあった廊下には下に降りる階段だけ。

窓もなく、明かりのようなものも見当たらない薄暗い廊下だ。

俺が出てきた部屋と階段以外どこかへ繋がる場所はなさそうなので俺は慎重に階段を降りて行く。


俺は階段を降り切ると、そっと階段の陰から当たりの様子を伺う。




そこから見えたのは、受付のある部屋。

昨日俺がログアウトした場所だ。



俺がいたのは訓練場だったが、だが2階に行った覚えはない。というか2階があったのすら知らなかった。

どういうことだ?と戸惑っていると後ろから声を掛けられる。


「起きたか」


振り返るとそこにはネルヴィがいた。


俺はどういう状況か戸惑っていると、ネルヴィはそれを察したのか俺の疑問に答えてくれる。


「あたしが起きてもずっと寝てたからね、2階の部屋に運んで寝かせておいたのさ」


つまり、ログアウトしても俺の体は残ってたってことか。

周りからみたら寝てるように見えるのか。


とりあえず、俺はベッドを貸してくれたお礼を述べておく。


「なに、私も久しぶりに訓練しに来たのと戦えたからな、はしゃぎ過ぎた私も悪かったしな」


少しバツが悪そうな顔をしてそう呟くネルヴィ。


道理であの戦闘中嬉しそうな顔をしてたのか……


「ところで今日も訓練していくのか?」


細く吊り上がった目でこちらを見定めるかのようにこちらを見て、問いかけてくる。答えはもちろんYesだ。


視線を合わせ頷くと、俺の答えに満足したのか、ネルヴィはニヤリと笑うと身を翻すと訓練場へと向かう。


俺も昨日言われた自分の欠点を思い出しながら、訓練場へと足を進めた……







訓練場は円形のフィールドに高い塀に囲まれた場所だ。

周りには観客席らしきものが見えるので、さながらコロッセウムのように見える。




「さて、準備はいいか?」


獰猛な獣のようにニヤリと笑いながらこちらの準備を待つネルヴィ。


なんというかこの人、戦闘する時とそれ以外での時とのキャラが違いすぎるだろ。あの受付でぐーたらしていた奴はどこいった……


目の前の人物に疑問を抱きつつも準備は進めていく。


俺は装備を確認し、昨日言われたことを思い出す。


多少体を動かし体の調子を確かめた後、俺は棒を構え準備が終わったことを伝える。



訓練場の中央、そこで俺とネルヴィは二人睨み合って対峙する。

開始の合図なんてない。互いにじっと見つめあい隙を探る。


先に動いたのは俺だ。

自分が持ちうる最速の速さで一気に接近し、突きを放つ。


「しっ」


だが、ネルヴィはいとも簡単に避けられるがそんなことは昨日のうちに分かり切っている。


避けられたのを確認したら俺は素早く手元に棒を引き戻す。


「ほう」


感心したかのようにネルヴィは呟くと、カウンターで両手剣で斬りかかってくる。


ギリギリ棒を引き戻すのに間に合い自分と剣の間に棒を滑り込ませ、斬撃を受け止める。


幾度も続く連続した斬撃に俺は棒を滑り込ませて防御するので精いっぱいだ。


そんな体制の崩れた俺にネルヴィは体重の乗った一撃。上段からの振り下ろしを容赦なく放ってくる。


俺は棒の端と端を両手で持ち、両手剣と直角に交差するように受け止め、歯を食いしばりながら上段からの一撃にひたすら耐える。


ギリギリと歯を食いしばり耐えるが、ネルヴィはニヤッと笑って獣のような眼でこちらを見下ろす。


一体なんだ?


そんな疑問を持った瞬間。

棒にかかる重さが倍以上に増した。


「くっ」


その瞬間、膠着状態は強制解除され俺の態勢はさらに崩れていく。

上から体重の乗った一撃に対しこちらは微妙な体制での防御だ。圧倒的な力に押し負けして崩れた体制の俺にネルヴィの蹴りが俺の腹を捉え、後方へと弾き飛ばされる。


おいおい、どんだけ基礎ステータスあるんだよ。人を吹き飛ばす蹴りとか化け物じゃねぇか。


悪態をつきつつ、空中でなんとか姿勢を整え地面へと着地する。


っが、着地してもうかうかしてられない。

俺が着地する前からネルヴィは俺の方へと駆け出してきていた。


俺は迎撃するべく突撃してきたネルヴィに向かって走り出す。

若干驚いたような表情をするネルヴィを見つつ、俺は棒を槍のように構え突進する。


あと10m、5m、3、2、1m!


ネルヴィの空気を割くような鋭い横なぎの斬撃が目前へと迫ってくる。

現実では感じないような死の気配、一撃でも喰らったら致命傷であろう一撃。


怖い、すんげぇ怖い。それでも前に、前に行かなきゃ攻撃は届かないんだ。


自分にそう言い聞かせ斬撃が届く瞬間、俺は姿勢を低くしたまま飛ぶ。


「なっ!?」


避けるでもなく、防ぐでもなく、剣筋ギリギリ下を低空飛行しながら俺はネルヴィの懐に飛び込む。


体当たりのような不格好な一撃。

だが、それでも現状俺が出来る最善の一手だ。


ネルヴィの腹に確かに俺は棒を突き付けそのまま押し飛ばす。

今回は確実に入った!


ネルヴィへの初となる一撃に俺は若干浮かれながら吹き飛ばした方向、ネルヴィの様子を伺い思いっきり息をのんだ。




直立。


吹き飛ばされたにもかかわらず、最初に俺と対峙した時とまるで変わらぬ余裕を感じさせる立ち姿。


見たところ息が切れている様子もないが、先ほどまでとは違う部分があった。


目。

真っ赤な充血したような爛々と輝いた眼がこちらを見ている。



ゾクリ、とした。このままではいけない。

俺はネルヴィへ追撃を掛けようとした次の瞬間―――――









目の前にネルヴィがいた。






「はっ?」


素っ頓狂な声を上げ驚愕をしながら目の前の光景に目を疑う。

先ほどまで離れていた距離は20mはあったはずだ。それなのにそんな距離など無かったかのように俺の目の前にいるネルヴィ。


「さっきの一撃はよかったぞ」


そう呟いたネルヴィ。

その声を合図だったのだろうか。

両手で持った剣の一閃が俺の体を捉え……





俺は昨日と同じく再び壁に叩きつけられるのだった――――――




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