第57話 短期決戦。
なかなか各時間が取れない;w;
「はっ!!」
鋭く息を吐き出すと同時に棍を前方へ勢いよく押し出す。
ウインドブーストによって上昇したAGLの効果か、いつもより手早く放たれた突きは今度は防がれることなくウォリアーサハギンへと突き刺さった。
「キシャァアアアアア!?」
突然素早くなった俺の攻撃に対応出来なかったウォリアーサハギンは悲鳴のような叫び声を上げる。
だが、攻撃力の低い棍ではやはりそこまでのHPを削ることは出来ず減ったのは1割ほど。
たった1割。
不意を突いた一撃で削れる量はそれだけ。
………そう、それだけあれば十分なのだ。
俺は目の前のウォリアーサハギンが態勢を整える前にさらに追撃を加える。
手元から棍を突き出し、引き寄せる。
単純な作業だからこそ、その人の技量が出る突き技。
ここ数日何度も繰り返した突きは、2回3回とウォリアーサハギンの体に突き刺さりHPを少しずつ削り取っていく。
1割削れるということは10回当てればいいのだ。
10回当てれば、目の前のサハギンは消え去っていく。
「シャァアアアア!!」
だが、無抵抗で相手もやられるわけではない。
態勢を整えたウォリアーサハギンの奇声と共に他のサハギン達も動き出す。
俺はサハギンウォリアーの槍が届く前に、素早くバックステップで距離を取り追撃を躱し、今度は呪文を口ずさむ。
「ウインドカッター」
見えない風の刃は、ウォリアーサハギンの後方。
シャーマンサハギンに向かって放ったそれは着弾と同時に悲鳴が上がる。
「よしっ」
不意打ちによる攻撃でシャーマンサハギンのHPは半分ほどにまで一気に減ったのを確認した俺は思わず喜びの声を上げた。
やはりシャーマンと付くだけあって防御力の方はそこまで高くないようだ。
………さすがにこれでウォリアーサハギン並みに堅かったら泣いているけどな。
だが、これでやっと状況は5分5分。
無傷なサハギンが3匹未だに残っている。
「キシャァアアア!!」
どうやら相手も仲間がやられてお怒りのご様子ですし………
ウインドブースとの残り時間は7分。
あまり長引くとこちらが不利になるだけ。
自分の状況、相手の状況を見極め、最善の手段を考えていく。
………まあ、取り得る手段なんて一つしかないんだけどね?
すなわち短期決戦。
持てる力を持って最短で決着をつけるため、俺はこちらを威嚇するウォリアーサハギンに勢いよく突っ込むと、一番近いやつに向かって思いっきり根を薙ぎ払う。
「キシャァッ!?」
三又槍による防御が間に合わず直撃を受けたウォリアーサハギンの悲鳴を無視して、今度は別の奴に向かって、棍を跳ね上げ、一気に叩き潰す。
振り落とされた棍はウォリアーサハギンの脳天に直撃し、そのままHPをすべて消し去り、ようやく1匹減らすことに成功した。
仲間が殺られて怒り心頭のサハギン達を尻目に、こちらの攻撃回数は徐々に増え止まらない。
すぐさま別のサハギンに詰め寄り着実にダメージを与えていく。
時折来るウォリアーサハギンが放つ三又槍は棍で受け止め、そのまま呪文を唱えゼロ距離での魔法。
「ウインドカッター」
容赦のない風の刃は至近距離ということも相まって大きくウォリアーサハギンのHPを消し去っていく。
そのまま追撃しよう……として俺は視界に入ったあるものを見て慌ててその場を飛び退いた。
ボコッ、と明らかに異常な音を立てシャーマンサハギンが放った水球は直前まで俺がいた地面を大きく凹ます。
…………明らかに威力が上がっている水球に、冷や汗を流しつつも俺は尚も相手に肉薄していく。
シャーマンサハギンを狙って防がれるのなら先に他のサハギンを潰してしまえばいい。至極単純な結論だが、それをウインドブースターによって上昇したAGLが可能にしていた。
「受け止めるのではなく、受け流す」
ウォリアーサハギンが放つ突きを棍で受け流し、そのまま距離を詰めすれ違いざまに根を薙ぎ払い力任せに吹き飛ばす。
「ギシャァ!?」
さすがに吹き飛ばされるとは思っていなかったのか、驚愕するサハギンを視界の隅に置き次の獲物へと向かう。
喉元を狙った突きに、脳天を狙った叩き付け、足元を狙った薙ぎ払い。
急所ともいえる場所に狙いを定めた俺の攻撃に徐々にサハギン達は回避を選択し後退していく。
そうして出来た俺とウォリアーサハギン達との隙間。
後退したサハギン達の方向と反対側。
一匹だけ孤立した相手に俺はすぐさま一歩を踏み出し一気に肉薄する。
後ろで何やらウォリアーサハギンが騒いでいるがもう遅い。
「そおぉらっ!!」
勢いよく振られた棍は突進の勢いも相まって無防備なシャーマンサハギンの脇腹にヒットし大きく宙へとぶっ飛ばす。
宙に浮かんだシャーマンサハギンのHPはすべて消え去り為す術もなく地に伏せた。
これで残り3匹。
笑みを浮かべた俺は再びウォリアーサハギンの元へと飛びかかるのだった――――




