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第54話 ケディアのPT

今回はケディア視点です・w・

第41話直後のお話。

シャオ達と分かれた後、いつものPTメンバーと宿で合流した俺は先ほど手に入れたばかりの情報について話し合っていた。


「でも、よかったすか?お友達と一緒にプレイしなくて?」


「ああ、あいつなら大丈夫だろ」


PTの火力役であるウォルが心配して聞いてくれたが、俺はまったく心配していなかった。


心配というより、むしろワクワクしていると言ったほうが正しい。

あいつが次はどんなことに巻き込まれるのか……と考えると、思わず笑い出してしまいそうだ。


………さすがに、一人笑いだしたら怪しい人なので表情には出さないが。


「でも、一度会ってみたいわね~。そのケディアの友達って子」


そう言ってこちらを見てくる回復役(ヒーラー)のクレア。


「あー、まあそのうち会うだろ」


「ふ~ん、まあそうなればいいけど」


そう言いかえすと、クレアはつまらなさそうに頷き再びメニューを弄り始める。


にしても、今日は珍しくいつものメンバーが揃わないことに気づき、少しばかり思案に耽る。

ウォルやクレアが遅刻するのは分かるが、リーダーが遅れるとは考えにくい。


なにかあったのか……と考えていると、急に念話の合図がメニューに表示される。


差出人はちょうど俺が想像していた人物だった。


(どうしました、エランさん?)


我らがPTのリーダーであり、NWOでもトップクラスのプレイヤー。

俺の憧れでもあるエランさんからの念話によると、どうやら集合に少し遅れるらしい。


エランさんが事前に連絡もなく遅れるとは珍しいなとは思いつつも俺は了承の意を伝えるとクレアとウォルの二人にも遅れることを話しておく。


「珍しいっすね~、リーダーが遅れるなんて」


「ほんとね、いつもなら真っ先に集合して私たちを待ってるのに」


ウォルとクレアも不思議そうな顔で呟いているが、正直遅れるとしか聞いていないので推測のしようもない。


「それにしてもエランが遅れてくるとなると暇ね~」


「準備も終わったすから、やることないっす」


2人とも暇だ暇だと言いながらテキトーに会話していたので、俺も準備が終わり手持無沙汰なので混ざることにする。


「それにしても、第2の街っすか~」


「何気になるの、ウォル?」


どうやら話題は新しい街についてらしい。

まあ暇をつぶすにはいいネタだろう。


「そりゃ気になりますっすよ。いい加減森も飽きてきたところですし」


「確かにあの薄暗い森はもう嫌ね」


2人とも飽き性なのか、早くも違うフィールドへ行きたいらしい。


「じゃあ、新しいフィールドでも探すのか?」


「「嫌よ(っす)!!」」


何気なく発した言葉なのに、ものすごい勢いで否定された。

何があったんだよ……


俺が不思議そうにしてるのが分かったのか。クレアが説明してくれる。


「新しいフィールドを探すのってかなりしんどいのよ」


「そうなのか?」


「新しいフィールドって言っても適正レベルでの狩場ってのはなかなか見つからないのよ」


「それにその狩場に辿り着くにもテントで野宿しながらの強行軍っすからね、狩場に行くまでがしんどいっす」


「そのテントの設営がしんどいのよ!!」


若干ヒステリックな感じで叫ぶクレア。

でも、それぐらいなら大した手間でもないような……


「でも実際テントを建てるのって意外とめんどくさいんすよ」


いつもは能天気なウォルですらめんどくさがるとは珍しい。


『テント』

NWO内での特殊アイテムであるテントは所謂セーフティーエリアを作り出すアイテムである。

使える場所には制限があるが、遠方に遠征する時や狩場に泊まり込むときなどは重宝するアイテムだ。


まあ、その制限がおそらくこの二人がめんどくさいと思っている原因なんだろうが………


「建てられる場所を探すのがだるいっす」


テントを建てれる条件は2つ。

・テント周辺にアクティブモンスターがいないこと。

・設営位置の地面が平らであること。


一見簡単そうに見えるが、実はそうではなかったりする。


まずテント周辺。

この『周辺』がかなり曖昧なのである。


現在、検証チームが躍起になって調査しているらしいが、場所や時間帯などによって変動するらしくどこからどこまでのモンスターを狩ればいいのか不安定な部分があるため建設まで時間がかかる。


さらに、『平ら』であるというのも結構重要なのである。

多少の凸凹なら問題ないが、砂漠や森などでは平らな土地が少ないため、そもそも建てれる場所自体が少ないという仕様。

しかし、一度設営してしまえば街と同じように攻撃も受けず安全にログアウトできるためその有用性から使わないという選択肢も取れないのが実情である。


「まっ、はやく次の街の周辺でゆっくり狩りをしたいわね~」


「そうだな」


そんな感じで3人で駄弁っていると、ふっと視界が暗くなる。


「待たせたみたいだね」


「エランさん!!」


爽やかに笑いながら現れたエランさんは、俺たちが座っているテーブルに近づくと軽やかに椅子を引き寄せ、腰を下ろす。


「随分と今日は遅い登場っすね」


「ちょっと有益な情報を手に入れたから、いろいろと調べていたらね」


そう言ってエランさんはメニューを操作し、いつもの狩りに向かう時の装備に切り替え始める。


「さてと、そろそろ検証組もテントの検証が終わるだろうし、それが終われば本格的に第2の街への遠征を始めようと思う」


「随分検証終わるのが早いのね~」


「彼らの検証魂に火が付いたんだろうね」


にっこりと語るエランさん。


「それじゃあ、しばらくはレベル上げに専念っすか」


「そうかな、レベルが高くなれば生存率が増すだろうし」


「「了解です(っす)」」


俺たちは了解の意を伝えるとエランさんはいつも通り爽やかに笑いながら立ち上がる。


「それじゃあ、今日も頑張ろうか」


NWOでもトップクラスの戦闘集団。

俺は他のメンバーに後れを取らないよう意気込みつつ、エランさんの後を続くのだった―――――――





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