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第51話 締まらない決着

戦闘の結末はあっけないものです。

「へっ?」


虚を突かれた顔の幼女。


しかし、彼女も幾百もの修羅場を切り抜けてきた強者である。

投げなられた棍を払落し、すぐさま視線を俺に移していた。


「こんな子供だましでっ!?」


「だろうな」


俺は彼女の目の前で言葉を発した。


本日2度目の驚愕した顔。

端整な顔立ちは、疑問と驚きで満ちている。


棍を投げた直後、俺も一緒に空を飛んでいた。

距離を開けた分、助走の威力も上乗せされ彼女との距離は一気に詰まってゆく。


いくら強者であってもこの突発的な行動までは読めまい。

本日2度目の空中ダイブ。


どっかの仮面ライダーのような不格好なキックは彼女の目前まで迫っていた。


武器もない、HPもほとんど残っていない。

あるのは自分の体のみ。


全身全霊捨て身のライダーキック………


俺が当たる!と確信した瞬間。













「いや、さすがに当たらないから」


呆れたように体をずらし、ひょいっと避けられるライダーキック。

標的を失った俺が向かうのはむき出しの大地。


(ですよねー………)


地面と熱いキスをした俺はそのまま、大地に倒れ伏すのだった―――――――



















「じゃ、改めて自己紹介!僕は孫悟空、この神山の主だよ」


戦闘終了後、俺はまたもや神酒をぶっかけられ強制的に回復させられ、目の前の孫悟空とおしゃべりタイムに突入していた。


先ほどの戦闘。

掠り傷一つ与えられないという、圧倒的な強さ。

さすがに、そんな格の違いを見せつけられれば多少は凹むものだ。


「それにしてもシャオは随分と面白い戦い方をするね~」


「面白いって……、あれしかなかったんだよ」


「あはは、普通は考えつかないよ!」


心底楽しそうに笑う孫悟空。

そんなに面白い戦い方をしただろうか?


内心、疑問に思っていると何やら聞いたことのある鳴き声が聞こえてきた。


「キキィー」


「おかえり、みんな!」


先ほどまでの楽しそうな笑みでなく、優しげに笑いかける孫悟空。

その笑みの先には、傷だらけの猿たちが集団でゾロゾロと歩いてきていた。




猿たちは俺の前まで来ると、ズラッと整列し―――――







「ウ、ウキキィー!!」







―――――――――土下座していた。


「………は?」


素っ頓狂な声を上げ、戸惑う俺。

猿たちは微動だにせず、ただずっと頭を下げ続ける。


「なあ孫悟空さんよ、なにこの状況?」


「たぶん、ここに来るまでに戦いを挑んだことを謝ってるんだと思うよ」


しばらく時間が経って頭が冷えたってことか。

まあ、あのタンコブ猿が原因なんだが、そのタンコブ猿も集団の先頭で土下座しているし許してやってもいいだろう。


「次からは気を付けてくれよ」


「キキィー!!」


俺の言葉を理解したのか、嬉しそうになる猿の集団。

うん、嬉しそうなのは分かるがうるさい。

甲高い声で100を超える群れが鳴けば辺りは一気に騒がしくなっていった。


「よ~し、それじゃあみんなで宴だぁあああ!!」


賑やかな気配に毒されたのか、孫悟空まで宴だなんだの言い出す始末。


宴と聞いた猿たちは一気に山を下り、各自どこにあったんだそれ!?というような酒、果物、出来立ての料理などを運んでくる。


特におかしいのは出来立ての料理だ。

誰が作ったんだ、誰が。


しかも、味が美味しいのだから性質が悪い。

ほんとにこれ誰が作ってるんだ………


猿たちは各々酒を飲んでるやつもいれば、傘回しをする器用なやつ、料理を運んでくるやつなど様々。


最初は呆れていた俺も場の空気に流され、気づけば料理を振る舞っている始末。

気が付けば俺の横には大量の食材が置かれていた。

今か今かと俺の作る料理を待つ猿の行列。

その瞳はキラキラと期待の眼差しとなり、俺を見つめてくる。


はぁ………、仕方ない。

俺はテキトーに見かけでなんとなく食材を判断し、それっぽい料理を作っていく。

さすがに、手足の生えたキノコを渡されたときは固まったが………


まあ、大体の料理には火を通したから問題はないはだろう。






楽しい宴が続く中、孫悟空と俺はいろんな話をした。


彼女の冒険譚や、他の神の情報。

どれもこの世界でもなかなか知れないような話ばかりだ。


まあ、一番驚いたのは神酒の話だな。

俺が手渡されて飲んでいたやつ、盗品らしい。


数百年ほど前、酒神のところに押しかけた孫悟空が神酒を気に入りぶんどってきたらしい。

なんとも男前な幼女である。

酒神からしたら悪夢以外の何物でもないが……



戦いが終わってからの、杯を交わす宴。

猿と人と神が交わる奇妙な宴は、結局日が沈むまで続くのであった―――――――


ステータス


名前:シャオ

種族:ヒューマン

性別:男

Lv17


HP:370

MP:66 (+13)

STR(攻撃力):37 (+13)

DEF(防御力):16 (+21)

INT(賢さ):12 

AGL(素早さ):39

DEX(器用さ):20 (+2)

MND(精神力):10

LUK(運):21 (+30)


【ステータスポイント】:0

【スキルポイント】:2


【スキル】

〈棒術Lv25→Lv26〉〈気配察知Lv15〉〈回避Lv11→Lv13〉〈足技Lv5〉〈鑑定Lv4〉〈料理Lv18→Lv21〉


【スキル控え】

〈風魔法Lv7〉


【称号】運命神の加護 戦姫の愛弟子


【装備】武器:夜木の棍  

    防具:頭 

       胴 魔力布の衣 

       手 魔力布の手袋 

       脚

       足 骨の靴 

       アクセサリー 対の指輪(右)


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