第42話 始まりの場所
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「随分と久しぶりだね、シャオ」
入ってそうそう軽口を叩くネルヴィ。
「珍しく起きてるんだな」
「私は夜型なんだよ」
俺が珍しそうにしてるのが気に食わなかったのか、不満げに口を尖らせる。
そういや、いつもネルヴィが寝てるのって夜遅くまで起きてるからなのか?
そんなことを考えつつも、俺は久しぶりに訪れた訓練場で不敵な笑みを浮かべネルヴィに話しかけた。
「とりあえず久しぶりに稽古つけてくれよ、ネルヴィ」
辺りは夜の帳が落ち、大きな三日月と星々が夜空を照らす中、俺とネルヴィは訓練場で向かい合っていた。
以前訓練場を訪れた時とは違い、装備もレベルも上がっている。
あれからどれほど自分の実力が上がったのか確認するためにも、今から始める模擬戦に俺はワクワクしていた。
「随分と楽しそうだね」
「まあな」
俺の様子に気づいたのか、面白そうにこちらを見てくるネルヴィに俺は闘志を漲らせながら、見つめ返す。
「それじゃ、始めるよ」
そう言って互いに武器を構え…………、どちらも合図もなく前へと一歩を踏み出した。
カァアン!!!
互いの視線が交差する中、夜木の棍とネルヴィの両手剣が交わり甲高い音を訓練場に鳴り響かせる。
多少の鍔迫り合いが続く中、俺は棍で両手剣を受け止めたまま思いっきり右足を蹴り上げた。
っが、この攻撃を教えてくれたのはネルヴィなのである。
いとも簡単に避けられ、逆にお返しと言わんばかりの鋭い蹴りが俺の横腹を捉え、体を宙に浮かす。
「ぐっ」
思わず呻きながらも、俺は目を見開きネルヴィから来るであろう次の攻撃へと備える。
…………っ来る!!
牽制として放たれた斬撃を棍で受け止め、流れるように放たれてきた回し蹴りを不安定ながらも辛うじて足で受け止め、距離を取るためわざと吹き飛ばされる。
相変わらずの強烈な一撃に俺は顔を苦痛に歪めながら、受け身を取り地面をゴロゴロと転がる。
っが、相手はあのネルヴィ。
容赦なんて微塵も感じさせない斬撃が地面に転がる俺に襲い掛かってきた。
「くそっ!!」
思わず悪態をつくが状況は変わらない。
上段から振り下ろされる両手剣が風を切る音を聞きながら俺は反撃の機会をうかがう。
というか、ネルヴィさんめっちゃ楽しそうですね。
顔思いっきり満面の笑みですもん。
怖い、怖いからネルヴィ。
嬉々として迫ってくるネルヴィに俺は顔を引きつらせつつも攻撃と攻撃の合間。
撃ち下ろされる斬撃の合間に狙いを定め、タイミングを計るように剣を引く瞬間に体を一気に起き上がらせ棍で足を払う。
地面に片膝をついた状態だが、棍の長さも相まって結構なスピードでネルヴィの脚へと直撃したはずなのだが…………
「なんで平気そうな顔して立ってるんですかね?」
ええ、まったく効果がありませんでした。
なに、なんなの?
足を強化外骨格で覆ってるんですか?
「久しぶりに会ったが、腕を上げたみたいだね」
「俺の攻撃くらって全く動じなてないけどな」
余裕そうにこちらを見下ろすネルヴィに、俺は悔しさを感じつつも再び前へと一歩踏み出す。
カァアン!
カンッカンッ!!
全身を使い素早く突きを放つがどれも両手剣の腹に阻まれ甲高い音を立てていくが、それでもなお連続して突きを放ち続けた。
突く、腕をひねり素早く戻しまた前へと棍を押し出す。
単純な動きに見えて、案外これが難しかったりするのだ。
少しずつ突きのスピードが遅くなるのを自覚した俺は、今度は体術へと切り替える。
突きから蹴り上げ、薙ぎ払い、薙ぎ払った勢いに体を乗せての回し蹴り。
どれもゲームを始めたばかりでは出来なかった連続攻撃。
息をつかせぬ猛攻を畳み掛けるが、それでもなお俺の一撃は両手剣によって逸らされ避けられる。
「ふむ、攻撃スピードは以前より格段に上だな。攻撃と攻撃の間の隙も小さい」
一方、俺の攻撃をいなすネルヴィといえばまったくもって余裕そうであった。
両手剣を巧みに使い攻撃を反らすことで、回避までの時間を生み出している。
おまけにこちらの実力を測るように、こちらを観察しなにやらブツブツと呟いていた。
それから俺は何度も攻撃を繰り出すが、弾かれ、躱され………とまったく有効だが与えられない。
(いったいどうすれば………)
攻撃を弾かれるたびに俺は焦りを感じるが、攻めることを止めない。
というより、止められない。
この攻撃を止める時は俺の集中力が切れた時。
それをネルヴィが悟ったならおそらく、ネルヴィは反撃に出てくることは容易に想像できる。
時間にして15分。
並のモンスターなら確実に仕留められるであろう時間が経っているが、ネルヴィにはダメージはおろか、かすり傷一つすら与えられてなかった。
「さて、そろそろかな」
そして、その時がやってくる。
キィイン!!!
全身全霊を賭けた懇親の一撃。
それでもネルヴィには……………届かない。
一際甲高い音を立てて弾きあげられた棍は、俺の体を引っ張るようにして前のめりへと態勢を崩させる。
「…………いくよ」
ゾワリッ!
全身が震えるかのような低い声が、ネルヴィから発せられた。
ネルヴィを見やれば、いつぞやの時のように目が赤く爛々と輝いている。
ダンっと大地を蹴り上げる音が訓練場を木霊し、一瞬にして距離が無くなり目の前にはネルヴィが眼前に迫ってきていた。
「はっ!!」
気合一閃。
いままでの攻撃を遙かに超える重みの斬撃が棍を通して全身に伝わってくる。
「ぐぅ、おぉおおおおおお!!」
以前と同じ攻撃。
なら、ここで負けるわけにはいかない。
雄たけびを上げながら、最初と同じ鍔迫り合いのような形に持ち込む。
ミシリ、っと棍が悲鳴を上げるが、それでも俺は鍔迫り合いを続ける。
どうみても俺が不利な状況。
ネルヴィが一歩、また一歩と前へ進もうとするたび、棍が音を立て俺の体に響くような重みが伝わってくる。
だからこそ、俺はここで一度も使わなかったある技を使った。
受け流し。
ネルヴィがまた一歩踏み出すと同時に俺はわざと体を右に傾け、左側へと力を逸らすと一気に弾き飛ばす。
「むっ」
だが、ネルヴィはあっさり態勢を整え不機嫌そうな声を漏らす。
っが、そんな余裕もつかの間。
受け流したと思えば、すぐさま反転し裏拳と同じ動きで両手剣を振り切り圧倒的な速さで距離を詰めなおされる。
「のわっ!?」
間抜けな声を上げた俺は、上体を反らし俺の眼前を両手剣が通り過ぎ去る。
よし、このまま…………
「まだまだ、詰めが甘いね」
ドンっ!!
そんなネルヴィのセリフが聞こえた俺は、その意味を確認をする間もなく訓練場の壁へと叩きつけられたのだった―――――――
ステータス
名前:シャオ
種族:ヒューマン
性別:男
Lv16
HP:160
MP:66 (+13)
STR(攻撃力):32 (+13)
DEF(防御力):16 (+21)
INT(賢さ):12
AGL(素早さ):39
DEX(器用さ):20 (+2)
MND(精神力):10
LUK(運):21 (+30)
【ステータスポイント】:0
【スキルポイント】:2
【スキル】
〈棒術Lv25〉〈気配察知Lv15〉〈回避Lv11〉〈足技Lv5〉〈鑑定Lv4〉〈料理Lv18〉
【スキル控え】
〈風魔法Lv7〉
【称号】運命神の加護
【装備】武器:夜木の棍
防具:頭
胴 魔力布の衣
手 魔力布の手袋
脚
足 骨の靴
アクセサリー 対の指輪(右)
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