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第41話 選択肢


「「次の街の情報を手に入れた!?」」


驚愕するケディアとティナの声がレストラン内で大きく響き渡る。


「お前ら、声がデカいぞ」


俺は少々眉をしかめながら二人へ注意を飛ばす。

物がものだけに、あまり公にできないことだしな………


休日のお昼過ぎ。

俺はいつものメンバーを呼び出し、エランさんとのやり取りを話していた。

もちろんミーニャは次の街の情報を知っているが、今朝のやり取りは知らないので目を丸くしている。


「お前ら昨日、デートしてたんだよな?」


「デート……なのかはともかくそうだな」


正直なところ、アレをデートと言っていいのか果てしなく疑問だ。

ガウスの店を冷やかし、ご飯食べて、孤児院で子守して……とまったくデー的な要素が無い。


「なんでそこだけ疑問形なんだよ……」


呆れた表情をするケディアに俺は無表情を突き通す。

知らん、俺から言えるのは昨日の時点で俺のデートは亡くなっていただけだ。


そんな俺の様子を見てケディアがさらにため息をつく。


「まあいい、それでどうして次の街の情報を手に入れたんだ?」


やはりケディアたちが気になっていたのはそこか。

ティナの方も興味津々といった顔でこちらを見ている。


だからこそ、俺は何一つ隠さずに淡々と事実を告げた。


「ここで、だよ」


「ここって……、このレストランか?」


「そうだ」


俺の言葉に不思議そうな顔をしている、ケディアとティナ。


俺たちが今いる場所、レストラン『パステル』は昨日ミーニャとデートで訪れたお店である。


俺自身、いくつか確認したいこともあったし、なにより他の客がいないというのもここを選んだ理由だ。

店長からしたら最後のは悲しい理由だろうけどな。


「俺たちが昨日ここに来たとき、店長が次の街のヒントを教えてくれたんだ」


「ヒントってなんだ?」


「ああ、交易路がモンスターによって封じられてるってな」


「その交易してるのが次の街ってこと~?」


「ウルムっていう街らしい、詳しいことは店長に聞けば分かるんじゃないかな?」


次の街について気になったのかティナが途中で話に割り込んできたが、答えられることが少ないので俺は店長に聞くよう誘導する。

そのティナといえば、すぐさま興味が店長の方へと移ったのか、会計スペースで仕事をしていた店長の元へと突撃していた。


すまん、店長。しばらく相手してやってくれ。


俺は心の中で店長に詫びながら、話を続ける。


「それで、俺たちはどうするかだ」


「どういうこと?」


途中まで話を聞いていただけだったミーニャも話に加わってくる。


「次の街の情報を手に入れたってことはもうじき広まるだろう、その前に俺たちで街を探しに行くかってことだ」


おそらく、エランさんが多くのプレイヤーに声を掛けて態度を改めさせるまで時間はかかるだろう。

その間に、俺たち4人はどうするかだ。

まあ、ケディアの場合俺たち以外のPTメンバーがいるので何とも言えないが……


俺の提案を受け、ミーニャとケディア、それと店長に質問攻めしていたティナは考え込む。


正直なところ俺たちだけでもいけるのか?といわれるとかなり怪しいが、せっかく一番乗りできるチャンスなのだ。出来る限り挑戦できることは挑戦してみたい、というのが俺の思いであったりする。


3人が考えている様子を見て、俺はもうちょっと時間がかかりそうだな~と思い店長へと話しかけた。


「なあ、店長。ウルムへの道のりはどれぐらいなんだ?」


「クレアシオンから歩いて5日ほどですかね、もっとも馬車などの乗り物があればもうちょっと早いですが」


やはり、次の街へ向かうというのは相当時間がかかるらしい。

そうなるとこの街の宿も出ることを考えないといけないってことか……


「シャオは次の街へ向かうつもりなのか?」


ケディアは呑気に情報収集をしていた俺の意見を聞いてくる。


「もちろん、せっかく一番乗りのチャンスだからな」


打てば響く、といった具合に俺は即答する。


「私は遠慮しておこうかなぁ……」


そんな中ティナが声を発した。


「フォレストボアでもまだ手一杯だったし、まだもうちょっとレベル上げしてから先に進みたいかな。死んじゃうのも怖いし」


能天気なように見えて、案外ティナも考えてプレイしてるようだ。

いつも明るいから気づかないが、案外怖がりなのかもしれないな……


ティナへの評価を改めていると今度はミーニャが声を上げた。


「ティナが行かないなら、私もパスかしら」


まあ二人はPTだし、普通に考えればそうだろうな。


となると、残りは………


「悪いが、俺もパスだ」


ケディアの言った一言に俺は驚く。


「珍しいな、面白いことが大好きのお前が乗ってこないなんて」


「う~ん、新しい街にも興味があるが、今のPTメンバーみんなで進みたいってのがあってな」


なるほど、まあ仲間思いのケディアにとって今くんでるPTメンバーと遊ぶのは楽しいのだろう。


「それなら仕方ないな」


「ああ、悪いな」


「気にするな、どの道大規模な遠征PTが組まれるだろうし、その時来ればいいさ」


これで全員不参加……。

まあ、寂しいと思わないでもないがそれぞれのプレイスタイルがある。


俺は全員を見渡し、解散する旨を伝えた。


「またなんかあったら教えてくれよ」


「シャオ君またね~」


「また、明日ね」


3人がレストランから出て行く中、俺は一人店へと残った。

すこし生温くなった何の素材でできてるのかわからないコーヒーを飲み、店長に視線を向ける。


「それで、交易路を塞いでいるモンスターってなんなんですか?」


ティナの質問攻めで疲れているのか、ややぐったりした店長は会計スペースで一人コーヒーを飲んでいた。


「さすがにそこまでは私も分からないですね……」


今まで多くの質問に答えてくれていただけにやや拍子抜けの回答だが、気を取り直した俺はコーヒー代を店長に私店を後にする。


「ごちそうさま」


「また来てくださいね」


やつれた顔で苦笑しながら笑う店長を尻目に、俺はある場所へと向かい始めていた――――――



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