表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
棒を片手に俺はVRMMOを満喫する。   作者: かぼちゃ頭
第2章 生産の日々
40/60

第37話 孤児院

小さな少年を保護した俺はすぐさまミーニャと合流した。

ミーニャが回復魔法を使い、少年の傷を癒している間に俺は辺りを警戒する。


「だいぶ傷が深いわね」


「俺が見つけた時にはそんな状態だったからな」


何故こんな小さな少年が路地裏で倒れていたのか?

見た目からして5,6歳だろう。そんな小さな子がこれほどの傷を街中で負うなどただ事ではない。


おそらく誰かに襲われた……と考えるのが妥当と言ったところか。


「ふぅ………、終わったわ」


「ご苦労さん」


治療を終えたミーニャに、ねぎらいの言葉を掛けつつ俺は再び少年へと視線を移す。


小さな体に短い耳と尻尾、体中に合った傷は今は消えているが、服に着いた血や泥の汚れは未だに残っていた。


「この子どうするの?」


「どうするって言われてもな……」


保護したのはいいが、問題はこの子がどこから来たのかだ。

さすがに誰かに襲われた様子の小さな子を放り出すわけにもいかないしな………


「とりあえず、この子が目を覚ますまで待つか」


結局は時間が解決してくれるのを祈るしかないってことか―――――













「………っん」


待つこと30分。

ようやく少年がうめき声をあげて瞼を重そうにして持ち上げる。


「ここは………?」


「お、気が付いたか」


「大丈夫?」


キョロキョロと辺りを見渡す少年に、声を掛ける俺とミーニャ。


「………誰?」


だが、少年は怯えた様子でこちらを伺うようにこちらを見てくる。

それから俺はその子に自己紹介をし、君を見つけたこと、治療したことを伝え何があったのかを尋ねた。


「えっと……、お義母(かあ)さんに頼まれてお使いをしてたら突然襲われて……」


少し戸惑いつつも、何があったのか話してくれる少年――ルイ君を心配そうに抱き抱えながら話を聞くミーニャ。


この短い間でどうやらルイ君にかなりの愛着を持ってしまったらしい。


「それで、ルイ君はどこに住んでるんだ?」


「僕が住んでるのは、孤児院だよ」


「孤児院?」


「うん、神殿の近くにある教会に住んでるんだ」


俺はルイ君の話を聞いて、かなり驚いていた。

孤児院が存在するのもそうだが、ゲームの世界でNPCが襲われていたということだ。


なんというか、セザンさんやさっきのレストランの店長もそうだが妙に生々しいというか、それぞれが自分の意思を持った人たちなのだ。


生きている、といったらいいのだろうか?


同じゲームの世界でもRPGのように話しかけたら、決まった言葉を答えるのではなく、それぞれが考え、こちらと会話をするNPCに俺は疑問を覚えた。


「とりあえず、ルイ君。ここにいても危ないからその孤児院に帰ろっか?」


「うん!!」


俺が考え事をしている間に、だいぶ仲良くなったのかミーニャの問いかけに笑顔で頷くルイ君。


まあ、とりあえずはルイ君を孤児院に届けることが先だな。

そう考えた俺は仲良く手を繋ぐミーニャとルイ君を眺めながら、孤児院の存在する神殿区へと向かうのだった――――――














細い裏路地を抜けて、大通りを横に抜けると少し寂れた教会が見えてきた。

どうやらここがルイ君が住んでいる孤児院らしい。


「ルイっ!!」


「お義母さん!!」


孤児院に入ると目を真っ赤にした、30代くらいの修道服を着た女性が駆け寄ってきた。


どうやらこの人が、ここの主?なのだろうか………




しばらくルイ君を抱き抱えた女性は俺たちがいるのに気が付いたのか、大事そうに抱えたルイ君をそっと放し、こちらに向かい合ってきた。


「あの、どちら様でしょうか?」


多少警戒するような視線を感じるが、俺たちはここに来るまでの経緯、自己紹介をし一つ疑問に思っていたことを尋ねる。


「どうしてルイ君が襲われたんですか?」


俺たちは修道服を着た女性――イリアさんに確認してみた。

ここに来る道中何度も思考を巡らしたが、どうしても狙われた理由が分からない。

孤児院ということは身代金目当て、というわけでもないだろうし払えないと襲ったほうも分かっているはずだ。


それとも、単なる偶然通り魔にやられたのか……


「それが私も分からないんです」


自分の子が襲われたと聞いて、非情に悲しそうな顔をするイリアさん。

そんな重苦しい雰囲気を醸し出しながら会話をしていると……


「ルイ~!!」


建物の方から数人の小さな子供たちが姿を現し、集団の先頭にいる獣人の少女が大声でルイ君を呼ぶ。


「シエラ!!」


あっという間に入り口は小さな子供たちで溢れかえり、重苦しい空気は取り払われ、子供たちの明るく賑やかな声が響き渡った。


どの子も幼く、ルイ君のような獣人やヒューマンの子供たちががみんな仲良く笑顔で会話しているのを見ていると、見ているこちらもなんだか癒されていく。

そんな微笑ましい様子を見ている中、俺の隣にいるミーニャはたくさんの子供たちを見て、嬉しそうに微笑んでいるのを見て俺は確信した。




ミーニャは子供好きだ………と。




そんなどうでもいいことを心に思いながら俺は彼らの元気いっぱいの様子に思わず笑みをこぼす。


こうして俺たちのデート?は思わぬ方向へと進んでいくのだった――――――





感想や評価お待ちしています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ