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棒を片手に俺はVRMMOを満喫する。   作者: かぼちゃ頭
第2章 生産の日々
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第36話 思わぬ情報と小さな少年


「「いただきます」」


そう言って俺はミートソースがたっぷりと掛けられたパスタを、ミーニャはグラタンを食べ始める。


ガウスの店を出た俺たちはちょうどお昼ということで、商業通りに立ち並ぶ一軒のレストランでランチを食べていた。


「やっぱり、ゲームの世界でも現実と似た料理はあるのね」


「料理名が一緒なせいでゲームで食べてる気がしないけどな」


俺たちが食べているパスタやグラタンも使ってるのはモンスターの素材なのだろうが見た目が完全に現実と同じなため、なんというか……ファンタジーなNWOの世界をぶち壊しているというか……なんというか……


「まあ、いいじゃない。せっかく美味しい料理が食べられるんだから」


「料理は自信あったんだけどなぁ~」


俺が今食べているパスタは程よい硬さに茹でられ、ソースも味付けがしっかりと施されており、正直なところ俺の作る料理より美味しいと思う。


ミーニャも俺の渋い表情を見て俺の考えていることが分かっているのか、微笑ましそうにこっちを見て笑っていた。


「意外と負けず嫌いなのね、シャオ君って」


「そうか?」


「ええ、普段はそんな悔しそうな表情見せないもの」


確かに俺は悔しいとあまり感情に出すことはない。

正確には、悔しいと思う前に飽きてしまうのだ。


物事に対して熱くなりやすく、そして冷めやすい。

そんなわけだからか、なかなか熱中出来ることが少なく、熱中したことには一気にのめりこんでしまうのだが………


そんなことを話した俺は、いまだに笑っているミーニャを正面に見据えつつ話題の転換を図る。


「そういえばミーニャはアクセサリー系の装備は持ってるのか?」


「一応何個かは持ってるわね……、ただし指輪は除くけど」


「指輪?」


「他の部位は知り合いの職人に作ってもらったのだけれど、指輪だけは良いものが見つからなくてね……」


「その職人に作っては貰えないのか?」


「レシピはあるらしいのだけれど、素材がまだ手に入らないって言われててね。おそらくまだ未知のフィールドの素材じゃないかしら」


「次の都市周辺か……」


次の都市が見つかるまでまだ時間もかかるだろうしなぁ……、入手するにしてもかなり厳しいだろう。


そんな話をしていたら、結構な時間がたってしまっていたことに気づいた俺はミーニャと共にレストランを出ようとした。


もちろん支払いは俺の財布からだ。


「って、たっけぇ!?」


「これ普通にルカさんのところの武器が買える値段じゃないかしら……」


会計で値段を見て驚く俺とミーニャを見た店主が理由を説明してくれた。


「料理に使う素材は他の都市との交易によって入手するのですが、最近はその都市との交易がモンスターによって遮られ途絶えているんですよ」


「モンスターに襲われて街の行き交いが出来ないってことですか?」


「はい……、商人たちも護衛を雇っているのですが強力なモンスターが出現するらしくなかなか進めないのですよ」


「それで料理の値上がりですか」


「ええ、早く交易が再開してほしいものです」


切実そうに語るレストランの店主さん。

というかこれ、かなり重要な情報じゃないのか?


「その都市ってどこにあるんですか?」


「私が扱っている食材はクレアシオンから東の草原を抜けた先にあるウルムといって、海が近く肥沃な土地に囲まれている都市ですね」


「ウルム……」


俺とミーニャは思わず顔を見合し、今聞いた話を確認し合う。


「これって、次の都市のことかしら?」


「おそらくそうだろうな………」


多くのプレイヤーが血眼になって探していた情報だが、なぜこんなにも見つからなかったのか?


正直、街の人に聞けば簡単に分かるはずだが、それとも特殊な条件があるのか……


まあ、ここで考えていても仕方ないな。


「なるほど、有益な情報をありがとうございます」


「いやいや、私たちもそろそろ困っていてね。早く交易が再開できるよう協力してくれると助かるよ」


「分かりました」


そうして店主との会話を終えた俺たちは店を後にする。


なんかとんでもない状況になってきたなぁ…………











「思わぬ情報が手に入ったわね」


「あんまり望んで手に入れた情報じゃないけどな」


俺たちは隣り合って歩きながら、先ほどの情報について話し合う。

このまま掲示板に公開するってのもいいが……


「問題はなぜ、この情報が発見されなかった……ということかしら」


「何かの特殊な条件ってことか?」


「それも考えられるけど、私はプレイヤーの態度じゃないかと考えているわ」


「態度?」


「私たちみたいに普通にNPCと会話している人もいるけれど、多くのプレイヤーは一方的に命令口調で話しかけたりしているのよ」


そういえばセザンさんに最初に出会った時も冒険者は柄が悪いってのを言っていた気が………


「私も今までNPCのお店に行ったことがあるけど、無言で買い物をしていく人やどなりつけるような人もいたわ」


「ひどいな」


「もちろん注意したけれど、ただのNPCだろって言って態度を改めもしなかった」


そんなことがあったのか……

基本的に自分が行く場所は人が少ない場所にいたため、周りのプレイヤーについてはあまり気にしていなかったのだがこれは思ったよりひどい状況のようだ。


「ということは街の人が意図的に情報を隠していたってことか?」


「そうじゃないかと考えたのだけれど……」



俺たちはそれっきり黙りこくって、考えを巡らせる。









「まあ、今はあれこれ考えても仕方ないか。また明日にでもティナやケディアに相談でもすればいいさ」


結局あれこれ考えたが、これといった正解は見つからないのでひとまず保留にすることにした。


「そうね、また明日みんなで話し合いましょう」


ミーニャもそれに納得したのか、頷いて俺に微笑みを向ける。

小難しいことを考えていたせいか、頭がちょっとパンクしそうだ。



そうして俺たちは次はどこに行くかを決めようとしていると………


ん?

今悲鳴のような声が聞こえたような………


「どうしたの?」


「いや……、今一瞬、悲鳴のような物が聞こえた気がするんだけど……」


「悲鳴?」


不思議そうに首をかしげるミーニャを見て、気のせいか……っと、思った瞬間。


「ぃゃ!」


微かにだが、路地の方から声が聞こえてきた。

一応気になったので、ミーニャに少しだけ待ってもらい俺は路地の方へと駆けていく。



大通りと違い複雑に入り組んだ路地を進むと、視界に小さな人影が写り始める。


「なっ……!?」


近づいてみれば、目の前にいるのは小さな子供の獣人。

あちこちが傷だらけであり、来ている服もかなり破けている。


「おいっ、大丈夫か!?」


慌てて駆け寄ってみるが、かなり弱っていて息が荒い。


こうして俺は傷だらけの少年を拾ったのだった――――――――


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