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棒を片手に俺はVRMMOを満喫する。   作者: かぼちゃ頭
第2章 生産の日々
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第34話 芽生え

今回は美桜の視点です

 

「またね~」


そんな声を掛けて友人たちと別れ、私は1人家へと続く道を歩いていた。


(はぁ……、俊君と一緒に買い物にいくことになったけど……)


初めて異性との買い物。

これは彼女にとって未知の出来事だった。


自分自身で言うのもなんだが、私の容姿はかなりいい方だと思う。

それに家がそれなりに大きいせいか、昔から自分に近づいてくるのは私の容姿や家を目的にした人が多かった。


学校では容姿がいいというだけで女子からは妬まれ、男子からは不躾な視線が自身の体を見つめてくる。

家では、やたらと己の自慢しかしてこない金持ちの相手。


もちろん、今まで出会った人すべてがそんな人たちだったわけではない。


だが、決して少なくないそんな人たちを相手に愛想笑いをし、自分の心を押し込めて生活をしていた私はたまたま知り合いから貰ったゲームを通じて彼らと出会った。


『Next World Online』


世界初のVR技術を用いたゲームは連日ニュースとなっていた。

それはもちろんゲームに詳しくない私の耳にも入っていたし、PVで見た広大な世界には心が躍った。


(ここなら私も自由に過ごせるかしら……)


あの綺麗な景色に彩られた世界で、誰にも縛られず自由に過ごせたら………。


現実に辟易していた私は一塁の望みをかけてゲームの世界へと入り込んだ。


そんな世界で私に声を掛けてきたのはひなちゃんだった。

噴水広場で多くの人がいる中、私を見て美桜ちゃん?と話しかけてきたのだ。


驚いた私に笑顔で話しかけてくるひなちゃんと私は、いつの間にか上手いこと話を進められて二人で行動するようになっていた。


草原で狩りをしたり、道具屋で買い物をしたり……。

私が望んでいた普通の生活だった。


そんなある日、ひなちゃんの紹介で二人の少年に出会う。

1人は明るくひなちゃんのように笑う少年、もう一人は静かな、でも冷たさを感じない穏やかな少年だった。


彼らは今まで出会ってきた男の子とは違い、不躾な視線も向けてこないし、普通に会話を交わしてくれる。


いつの間にか私の周りには3人がいるようになっていた。


普通にお話して、一緒にお弁当を食べて、一緒に遊んだり……他の人には当たり前のことでも、私にとっては全てが新鮮なことだった。



そんな生活が数週間続いたある日、私はひなちゃんと俊君が手を繋いでやってくるのを見てしまった。



何故だろうか?

それを見た私は少し胸の奥が痛んだ。

いままでなかった感情が胸の奥で渦巻いて行く。




その時は気が動転していたのか、いつもと違う態度になってしまったので私は一人ログアウトしてからベッドで悶えた。


何故自分が俊君にあんなお願いをしたのだろうか?



そんな疑問と共に私の心はドキドキしていた。


彼とどこに行こうか?

何をしようか?


それを想像しているだけで私は一人ベッドの上で転がりまわる。







それから2週間。


今日ひなちゃんによって半ば無理やり約束が取り付けられた。


確かに彼との約束は細かいことなど決めていなかったが、向こうから誘って欲しかったというのは本音だ。


いつだって、女の子をリードしてくれる男の子に憧れてしまうものらしい。

私は自分の女の子らしい一面を感じて苦笑を漏らす。


まあ、俊君はいつもどり彼のペースで動くだろう。

いつだって遠慮することなく、私に話しかけてくる彼に私はいつの間にか安心感のような物を抱いていた。






そうして考え事をしているうちに、私は家の前へと辿り着いていた。


(とりあえず、週末に向けて準備しなきゃ……!)


1人の乙女の、まだ小さいが確かに存在する特別な感情。

彼女はそれを自覚しないまま自分の部屋へと向かうのだった――――――


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