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棒を片手に俺はVRMMOを満喫する。   作者: かぼちゃ頭
第1章 新しい世界
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第21話 因縁

「「採ったどぉおおおおおおおぉおおお!」」


薬草を片手に大声を上げ、叫ぶケディアとティナの二人。

ここがモンスターの棲み処であることも忘れ、嬉しそうにする二人を見て俺は苦笑する。


「お前ら、騒ぐのもいいがあんまり叫ぶとモンスターに見つかるぞ?」


薬草の群生地があるということは、ここが既にフォレストボアの縄張りということだ。

森に行く前、セザンが言っていたのを思い出しながら告げるが二人はまったく気にせず、薬草を採取しまくっている。


「まあ、ここに来るまで大変だったし少しは大目に見てもいいんじゃないかな?」


声につられ、横を見るといつの間にかミーニャが俺の隣に来て薬草を採取していた。


「うおっ、ミーニャか。いきなりでびっくりしたわ」


いきなり声を掛けられたため、俺は少し仰け反ったが、再び薬草の採取に取り掛かる。

内心、こんな美少女が近くにいるのにドキドキしているのだが、それを悟られないよう平静を装いながら受け答えした。


「まあ、それもそうだな」


そう言いつつ、俺は薬草を採りながら今日の出来事を思い浮かべる。


装備を整えに買い物に行き、ルカさんやウサギの紳士に出会ったり、ブラックバットの群れに襲われ、壮絶な爆発を経験したりと非常に濃い一日だったと言える日だった。


「まあ、今日一番の経験はあの爆発だろうけどな」


隣のミーニャに聞こえるよう、少しニヤッと笑いつつ呟くとミーニャはすぐさま顔を真っ赤にさせる。


「そ、それは……その事故というか……なんというか……」


恥ずかしそうにどんどん声が小さくなっていくミーニャ。


か、可愛すぎる!


真っ白な白い肌の頬が紅潮し、そっぽを向くミーニャは普段の学校では見たことのない親しみやすさのある可愛らしい姿だ。


そんな感じでミーニャの可愛さを堪能しつつも俺たちは無事薬草を採取し、街の方へと帰る準備を始める。


「あとはモンスターに気を付けながら帰るだけだな」


全員で採った薬草が十分な量を確保したのを確認した後、ケディアを先頭に来た道を引き返す。


爆発の跡地を抜け、木々の間から降り注ぐ月光を浴びながら進む一団はだいぶ気が抜けた様子だ。


目的を達成し、順調に進んできたのだから仕方がないと言えば仕方がないかもしれないがそんな油断だらけの集団を狙う者がこの森に潜んでいることを彼らは気づいていない。


この森の頂点に立つもの。

そいつは着実に獲物たちの元へと迫っていた――――――






薬草の群生地を超え、もうじきで暗き森の浅い場所に出ようとしたところでティナが頭部の猫耳をヒョコヒョコと動かし辺りをキョロキョロト見回し始めた。


「ん?どうした?」


ティナの後ろにいた俺は、様子がおかしいティナの様子を見て不思議に思い声を掛ける。


「う~ん、何か大きな音が聞こえたからなんだろうって思って」


「大きな音?」


先頭を歩いていたケディアが振り返り、そんなの聞こえたか?と自分も耳を澄まし辺りの音を拾い始めた。


ドガンッ!


ドガンっ!!



断続的に聞こえてくる何かを粉砕するかのような音に一同、首を傾げながら音の正体を探る。


ドォガンっ!!!


ドォガンッ!!!



「ねえ、なんか音が大きくなってない?」


ミーニャが少し不安そうにしながら俺たちに問いかけるが、俺は近づいてくる音の正体を僅かにだが思い当たることがあったため無言を貫く。


(順調だったはずなんだけどなぁ……)


俺の嫌な汗は止まらない。

ゲームのはずなのに、異常なまでのリアルな感覚に俺は心臓をバクバク言わせながらソイツの存在を思い出す。


完膚なきまですべてをぶち抜く圧倒的なこの森の(あるじ)

まるで他者を寄せ付けない強大な力の持ち(ぬし)


俺の心の中の警戒センサーが警報を鳴らすが、体はまるで石になったように重く思った通りに動いてくれない。







そして………


ドォッガァアアアン!!!



数十メートルもある森の巨木をいとも容易く粉砕しながら、ソイツは現れる。



「ブルォオオォオオァアアア」


雄たけびを上げ、現れたのはこの森のフィールドボス。


『フォレストボア』だった―――――



感想や評価、キャラ名、魔法名などお待ちしています!

読者の反応が作者の一番の執筆のエネルギーですw

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