第20話 まさかの?
結局出てくるのは・・・・・・
「「「ケディア!?」」」
俺やティナ、ミーニャは茂みから現れたそいつを見て思わず叫んでしまった。
てっきり、もうあの世に行ったと思ったんだがな……
「たっく……ひどい目にあったぜ……」
ゲッソリとした顔で茂みから抜け出してくるケディア。
森に入る前とは違い、綺麗に光っていた鎧は泥で汚れ、ところどころには草木がへばりついており悲惨な姿と成り果てている。
「よくあの爆発で生きていたなお前」
「俺も心からそう思うわ……」
どうやら爆発する瞬間、とっさに地面へと体を投げ出し爆発によって茂みの方へ吹き飛ばされたらしい。
とっさの判断でよく生き延びたものだと俺は素直に感心した。
こういう判断の速さはケディアの強みだろう。
その爆発が直撃した本人は今の会話で先ほどの爆発を思い出したのか、少々顔を蒼くしているが……、今はそっとしておいてやるか。
そしてこの爆発を起こした張本人へと視線を移すと少し顔を赤くしがら下を向いて俯いてケディアに小声で話しかけていた。
「あ、あの……ケディア……その……あんなことになるなんて思ってなくて……」
術者本人がまったく想像もしていなかったと衝撃的な発言をするミーニャ。
「広域魔法なんて普段なかなか使うことがなかったし、あの数だから通常より多くの魔力を込めたら……」
まあ、確かに森の浅いところなら集団でモンスターが出てきても多くても5匹がいいところだしな。モンスターの急な群れでの出現のせいで焦ったというのも魔法の暴走の原因だろう。
「まあ、何はともあれブラックバットの群れも殲滅できたんだしいいんじゃないの?」
「そうだな、ケディアも死んでなかったしこのまま奥に進むか」
ティナがミーニャのフォローをし、俺も全員揃ったことでこのまま奥に進むことを提案する。
「まっ、生きてたし今後気を付けてくれればいいさ」
先ほどまでの蒼い顔は消え、いつも通り明るく振る舞うケディア。
「うん……ありがとう」
許してもらえ、ほっとしたのか少し目じりに小さな滴を溜めながら嬉しそうにするミーニャ。
まあ、仲間割れが起こらなくってよかったよかった。
俺もほっとしつつ地図を取出し再び進む方角を確認していると、後ろからティナが声を掛けてきた。
「あのさ……探してるのって暗薬草なんだよね?」
今さらどうしたんだ?と俺は疑問に思いつつも肯定するとティナが森の一角。ちょうどさっきの爆発でなぎ倒された木がある方角を指さし、衝撃的な事実を告白した。
「あれ……暗薬草って鑑定で出たんだけどぉ……」
全員驚愕した表情で、その指差された薬草を鑑定してみると確かに暗薬草と表示されていた。
「これはティナのお手柄だな」
ケディアが感心したように呟き、ミーニャもティナにすごい!と褒めちぎっている。
「えへへ」
みんなに褒められ、デレっとした表情を見せるティナ。
なんというかいつもハキハキとしている分こういう姿を見ると新鮮だな。
こうしてミーニャの爆発とティナの発見により、今回の目的である暗薬草を見つけた俺たちは薬草の採取を行うのであった――――




