第13話 思わぬ日常
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ログアウトした翌日の昼休み。
俺は昼飯を取り出し、圭介が机を移動し向かい同士で座る。
「「いただきます」」
二人そろって昼食をとり始めると圭介はニヤニヤと笑顔で話しかけてくる。
「ま~た、やらかしたみたいだな俊」
こいつは何故こうも耳が早いのだろうか。
何のことを言われてるのかはなんとなく想像がつくが、俺は思いっきり顔を引きつらせながら、ひとまずは誤魔化してみる。
「なんのことだ?」
「とぼけんなよ、ちゃ~んと証拠は押さえてるんだからな」
そう言って圭介はスマホを取り出すと一つの動画を見せてきた。
「だから、なんのことだっ…………げっ」
圭介が見せてきた動画。
大量の観客に囲まれた広場で、棒を持った金髪のキャラと革鎧を着こんだ両手剣の男が映っている。
うん、明らかに俺とジークだな。
俺が昨日ジークとPvPした時の戦闘場面だ。
「いや~、また随分と面白いことやらかしたな」
こいつ……道理で朝からニヤニヤしながらこっち見てたわけか。
キャラ名を教えたのは間違いだったか……
「まさかあのジークとPvPして勝つとは思わなかったぜ」
圭介が一人納得していると、後ろから牧村ともう一人の女子がこちらにきて会話に加わってくる。
「なになに?なんかあったの?」
「ん?ああ、牧村か。お前も知ってるんじゃないのか、昨日のPvPの件」
「あ~、あのβテスターを倒した謎の初心者!てやつでしょ?」
なんだそれは。
なんかマジで俺の知らないところで話が大きくなってるぞ。
「美桜ちゃんも知ってるでしょ?」
「うん、私も昨日噂になってたから聞いたかな」
牧村が美桜ちゃんと呼ぶ女子に話題を振ると知ってて当然のごとく会話が成立していく。
「ところで牧村、その隣のやつは?」
圭介が疑問に思ったのか牧村に問いかけた。
「あ、自己紹介がまだだったね。私の隣にいるのは中島美桜ちゃん、美桜ちゃんもNWOやってるんだよ~」
「中島美桜です、よろしくね」
そう挨拶してぺこりと頭を下げる中島さん。
身長は170㎝に届くぐらい、長い黒髪を綺麗に後ろで束ね、いかにも大和撫子といった感じの女子だ。
逆に牧村の方は、身長160㎝、短い黒のショートカットに若干焼けた小麦色の肌でいかにも活発そうな印象を受ける。
そんな対照的なような二人の美少女がどうしてNWOをやってるのか……と疑問に思うでもないがそこはまあ個人の自由だろう。
「それで、そのPvPの件がどうしたの?」
俺が考え事をしている間に、牧村が圭介に問いかける。
「いや、ただ……」
「ああ、その当事者から事情を聞こうと思ってな」
俺がこの話題を無理やり終わらせよう……とする前に圭介が余計なひと言を言ってしまう。
ちっ、遅かったか……。
「「当事者?」」
牧村は驚いたような顔をして、中島は小首を傾げ俺の方を見てくる。
「つまり昨日のPvPをしたのは神谷君ってこと?」
「そういうこと」
ああ、話がどんどんめんどくさい方向へと転がっていく……
「っで、なんであんなことになったんだ?」
こうして俺は興味津々という顔で迫ってくる3人に事情を説明するのだった――――
「つまりお前から喧嘩吹っかけたのな」
「人聞きの悪いことを言うな」
事情を話した後、俺と圭介が言い争いを繰り広げ、いつの間にか牧村や中島が話に加わり、会話が弾んでいく。
もちろん話題はNWO、お互いのプレイスタイルやスキルの考察。
他にもゲーム内での面白い出来事など話題は尽きない。
こうして、学年でもトップクラスの美少女との昼食は昼休みの終了のチャイムが鳴るまで続いた―――――