第10話 ギルドと嘲笑
森の中での狩りの日々は金、土と2日間のログインできる時間ギリギリまで使って続いた。
森の中で出会えるモンスターは、ゴブリンとポイズンスネークの2種類とフォレストボアのみのようで、途中フォレストボアに遭遇しかけることも幾度かあったが、茂みで息を潜めることでやり過ごしたいた。
2日間に及ぶ狩りで俺のステータスはだいぶ上がっている。
ステータス
名前:シャオ
種族:ヒューマン
性別:男
Lv.2→Lv12
HP: 80→150
MP:48→60
STR(攻撃力):12→22
DEF(防御力):8→15
INT(賢さ):8→12
AGL(素早さ):15→39
DEX(器用さ):10→15
MND(精神力):8→8
LUK(運):9→19
【ステータスポイント】:0
【スキル】
〈棒術Lv18〉〈気配察知Lv11〉〈回避Lv4〉〈足技Lv3〉〈鑑定Lv3〉〈風魔法Lv5〉
【スキル控え】
〈料理Lv1〉
【称号】
レベルが10を超えたことによりスキルスロットが一つ解放されたので、気配察知と棒術で入手したSPを使い、新しく〈回避Lv1〉と〈足技Lv1〉を入手した。
2つのスキルを追加したことで、回避してからの反撃がしやすくなり狩りの効率が一気に増したので結果的には大成功だろう。
ステータスの方もどうやらキャラクターレベルが10になるごとにボーナスSTが貰えるようで、全体に万遍なく振っておいたが、MMDはしばらくは上げなくてもいいだろうと思い、今回は見送りだ。
そんなわけで俺は2日間の森籠りを終え、クレアシオンに戻ってきていた。
街に戻ってきた目的は2つ、消耗品の補充と素材の売却だ。
日曜日、セザンに朝の挨拶をし宿屋を出た俺は素材の売却のため冒険者ギルドへと向かう。
『冒険者ギルド』
その名の通り、冒険者、この世界で探索者と呼ばれる人々を統率する組織だ。
ギルドは冒険者や探索者がクエストと呼ばれる様々な依頼をを受注できる場所であり、また素材の換金も行ってくれる便利な施設だ。
多くのプレイヤーがここを訪れ、利用しているとwikiに書かれていたので俺も行ってみようとなったのだ。
ギルド通りのほぼ中央、一つだけ飛びぬけて大きな建物が冒険者ギルドらしく、通りには他にも、鍛冶や木工などの生産職のギルドが立ち並んでいるが規模の大きさは比べ物にならない。
中へ入っていくとギルドの中はステップフロアの様な仕組みで1階と2階で別れており、1階は受付や掲示板が置かれており、隅っこには換金所が設置されている。入り口から向かい側の方の段差が2階だろう、酒場らしき店があり、いくつかのテーブルとイスが並んでおかれ、カウンターで一人の男性がグラスを磨いていた。
今回の目的は換金なので端っこに設置されている換金所に向かい、同じ換金所に並んでる人たちの列の最後尾へと並ぶ。
俺が列に並ぶと、なにやら同じ列に並んでいた連中がひそひそとこちらを見て小声で話をし始めた。
なんだ?
俺が不思議に思っていると、前方で換金を終えたのだろう3人の男性が俺たちの横を歩いてきた。
そのまま俺の横を通り過ぎる……のではなく男たちは足を止めた。
「ん?」
俺が訝しむ目で男たちを見ると、ニヤニヤした目で俺を見ていた。
「おい、こいつ棒使いだぜ」
「うっわ、あの棒術かよ。勇気あるな~」
「棒なんて大して使えないのにな」
これ見よがしにわざと聞こえるよう、嘲け笑いながら会話をする男たち。
俺はイラッと来たのでこいつらに問い掛ける。
「おい、何笑ってんだ」
若干の怒気を含めて声を掛けると彼らはさらに笑いながら答える。
「お前、そんな誰も使わない棒なんてもってたらそらなぁ?」
「だな、今じゃ誰も使ってないと思ったけどまだいたんだな」
誰も使ってない?どういうことだ?
「お前もしかして知らないのか?」
男たちのうちリーダー格らしき男が嘲笑しながら説明し始める。
「棒っては近接武器の中で地雷武器って言われてんだよ。βの時に扱いずらいはダメージが見込めないわ、使い勝手の悪い武器って悪評ばかりでな」
はぁ?棒のどこの使い勝手が悪いんだ?むしろ使いやすいだろうに。
俺が不思議そうな顔をして考えている間も男は話を続ける。
「初日は何人か使ってるやつがいたが、周りの視線に耐えかねてみんな武器を変えていったよ」
なるほど。
そんな使えないと言われる武器を持ってたから、みんなこっち向いてヒソヒソ話してたのか。
「まっ、精々使えない武器で頑張るんだな」
男たちは言いたいことを言い終わったのか、そのまま出口を出て行こうとして……
「お前ら、待てよ」
俺は連中を呼び止める。
男たちは足を止め振り返ったので俺は一つ提案をした。
「なら、この棒が使えないか試してみようぜ」
俺は不敵に笑いながら、男たちに勝負を挑んだ――――――
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