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琉依

琉依は、二人を押しのけてトラックに跳ね飛ばされた。


二人がゆっくりと感じたあの時の場面は一瞬に過ぎ去っていたようだ。


勢いよく舞い上がった身体は、その勢いを失うことなく身体を固いコンクリートに叩


きつけられ、その拍子にさまざまな骨を骨折し、頭を打ち付けたのだという。


そしてそのトラックの運転手は、とある宅配業者だった。彼は連日の仕事で疲れ切


り、居眠り運転をしていたのだ。


このことは、琉依の死亡が確認されてから来た刑事さんから聴いた。


琉依のおばあさんに二人にも一緒に聴いてほしいと頼まれたからだ。


二人は、真相を知って本当に頭が真っ白になった。


人間、本当にショックを受けると本当に何も考えられなくなることをこの時知った。


居眠りをしていたせいで、琉依が死んだ。


運転手は大変反省しているらしい。


泣きながら遺族に会わせてくれと頼んでいるという。


そんなことで許されるものか。赦すものか。


許されてたまるものか…!


二人はそう思った。強く強くそう思った。


復讐してやりたい…。


痛かったはずだ。怖かったはずだ。死にたくなかったはずだ…。


刑事さん達は裁判の説明を始めた。正直、二人は裁判なんて必要ないと思った。


法律のことなんて何も知らなかった。裁判のことなんて何もわからなかった。


ただこの世で一番重い刑にしてほしいと心から願った。


だが、おばあさんは首を振った。


「今は、そんな話などしたくありません…。そんな話をしたところで、あの子は戻っ


てこないのですから…」


琉依のお葬式は、とても静かだった。


誰もが信じられない様子だった。


あんなに突然琉依が死んでしまうなんて誰も考えていなかったから。


面倒見がよくて、頭がいい。皆の憧れだった琉依…。


皆で泣いた。静かに静かに泣いた。


おばあさんは前でこう言った。


「孫は幸福者です。こんなにたくさんの人に愛されて。そして、大好きな両親のとこ


ろに逝けて……」

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