死
いったい、どれくらい時間が経ったのだろうか。
二人には果てしない時間に思えた。
琉依の手術は終わった。
成功したのか、失敗したのか、そんなのことすらわからない。
手術室から医師が出てきて、立ちあがったおばあさんに何か告げた。
琉依のおばあさんは何の感情も示さずに小さく会釈をした。
先生とおばあさんは何も言わずに手術室に入って行った。
契とるなは待合室に案内されて、座っているようにとだけ言われた。
しばらくすると、おばあさんが待合室に現れた。
手術室から出てきたらしい。
おばあさんはそのまま二人のところにゆっくりと歩いて来た。
「あなたたち…琉依のお友達のるなちゃんと契君ね。あの子に……会ってやってくれ
るかしら?」
二人は小さく小さく頷いた。
案内された病室に入って、二人は硬直した。
入った瞬間、ベッドに横たわっている琉依が見える。
だが、彼女は動いていなかった。
医療機器に繋がれてもいなかった。
よくドラマか何かである”ピーピー”と甲高く鳴る機械も、心臓の動きを知るために
ギザギザを示す機械も…。
彼女の周りには何もなかった。
ただ異様に静かな、厳かな、もの悲しげな空気が存在してるだけで―――――。
「ほら、琉依。お友達が会いに来てくれたわよ。よかったわねぇ」
おばあさんは優しく、だが虚ろな表情でベッドに近づき、そう言った。
「頭を強く打ってねぇ。この子……ほんとバカだねぇ」
おばあさんは呟くようにそう言った。