予感…
「まったく…」
またこれだ。
いちいちふたりのことを待っていられない。
というか待つのが面倒だ。
そう思って半ば飽きれながら琉依はため息をついた。
そしてふたりを置いてさっさと一人で歩きだす。
だが、琉依は何かを肌で感じた。
何か、とても嫌な予感を…。
「だから、男のことを可愛いって言うなって言ってるだろ!」
そんな契の怒号も無視して、るなは契に笑いながらしがみついていた。
「ほら、お前がこんなことするからまた琉依に置いていかれ…」
契の言葉はそこで途切れた。
琉依が全速力でこちらに戻ってきたからだ。
それも、血相を変えて。かばんも道に放り出して…。
「おい、琉依。いったいどうし……」
次の瞬間、契はるなもろとも琉依に突き飛ばされた。
「痛ぇ…っ!おい、琉依!お前いきなり何するんだよ!」
頭を押さえながら契が言う。
突き飛ばされた勢いで家の塀で頭をぶつけてしまったのだ。
「い、いったい何が起きたの!?」
何がなんだかわかっていないるなも混乱とどこかを打った反動でぼーっとしている。
「おい、琉依!」
契は再度言い募ろうと怒鳴る。
返事は……なかった。
ガンガンとなり響く頭のせいで音がほとんど何も聞こえない。
「なんで答えないんだよ!ふざけるにも程があるぞ!人のこと突き飛ばしといて!」
契は苛立っていた。
突然走ってきた友人に突き飛ばされたらそうもなるだろう。
だが契は目を開けて……絶句した。